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じゃぁ即興演奏って一体なんなの?

2004-09-15 19:37:08 | ジャズの話題
ぐあー、ネタがない。
どうすっか・・・・・ええと、昨日ジャズ=即興というのは間違いだ、なんて事を書いたので、今日はその「即興」という事に関してもう少し掘り下げてみようと思います。

即興・・・・・こういう時は辞書を引くのが一番。
即興=「(1)その場の情景・出来事などに感じて起こった興味。(2)興にのって、即座に詩歌・楽曲などを作る事。」だって。
では即興演奏。
即興演奏=「あらかじめ決められた譜面に頼る事なしに、即座に創作しながら演奏する事。インプロビゼーション。」という事です。

これはBill Evans(ビル・エヴァンス、p)の言葉なんだけど、「私にとってジャズとは『方法』なんだ。~中略~もしもピアノの前で何をしようか熟考して、5分の曲を5時間かかったとすると、それは作曲された音楽になる。~中略~『作曲された音楽』と『ジャズ』があるんだ」って。
ちょっとおぼろげな記憶を頼りに書いたので細部は違っているかもしれませんが、内容は大体こんな感じ。
Evansは「ジャズ=アドリブ」と考えていたようだね。

上記の「譜面に頼る事無しに、即座に創作しながら演奏する事」という辞書から引用した定義なんだけど、なんだかんだ言ってもジャズに「譜面」はあるよね。
いや、譜面って言うと語弊があるな。音符で書いていなくてもコードネームがあればいいんだけど・・・・・音を規定するものはそれが音符であろうとコードネームであろうと、それが五線紙に書いてある「譜面」という形をとっていようといまいと、一定の「決まり事」であって、ジャズにその「一定の決まり事」は確実にある。
現在のジャズの根っこになったビバップのアドリブの方法って、基本的にはコードの構成音から音を選択して吹く。転調したら新たな転調先の音階に対して二度を設けて、そこから五度、最終的には一度に解決していくという事に過ぎない(いわゆるツー→ファイブね)。
アドリブで代理コードを用いたりする時も、要はコードで決めていくんだよね。
これがモードジャズになると「コードの構成音でのアドリブ」が、コードではなく「スケールの構成音でのアドリブ」に代わったというだけの事なんだよね。
つまり色々な即興演奏の方法論はあるけど、どれにおいても「出すべき音はあらかじめ、概ね決まっている」んだ。
演奏者個人によってもこれはそう。
意識するかしないかに関わらず、指癖のフレーズやこういったコード進行を好むといった個人的な傾向はあるだろうし、「こう来たらこういうフレーズを返しておけば無難だろう」とか「こう行けば意表をつけるだろう」という、演奏における基本的なコンセプトは、一流になればなるほどたくさん持っているでしょう。
ミュージシャンは書かれているコードに即座に反応して出すべき音をリズムに乗せていく訓練をするわけで、それが楽器における「アドリブの練習」だったりするわけだ。

ええと、何が言いたいかというと、一流のアーティストほど、あらかじめ決められた方針や指針、概念に従って演奏しているという事。
で、この「あらかじめ決められた方針や指針、概念」ってのは、「=譜面」と言えるでしょ、って事ね。
ちょっと強引ですか?。
でもこう考えていくと、どんな概念にも左右されずに「即座に創作しながら」演奏する「即興演奏」ってのは、本当に在り得るのかって思うんですね。
早押しクイズみたいなもので、まぁ2択や3択とまでは言わないけど、ジャズの即興演奏も「限定された可能性の中から反射的に選択していく」という行為に過ぎないんではないか、と。
音楽というもの自体がまったくの自由ではなく、楽典や理論という「規則」によって成り立っている事を考えれば、これは当たり前なんだろうけどね。
ちょっと苦しい仮説かな(笑)。
まぁ音楽なんて聴いて(演って)楽しければ、それが即興だろうとなんだろうとどうでもいいんだけどね(自嘲気味)。

本日の安眠盤、Red Garland(レッド・ガーランド、p)の「Red In Bluesville」
ではでは。