エミアスのリハビリ
現在の老人ホームエミアスはコロナのせいで監獄のようだ。
お陰でクラスターも発生せず安楽に暮らせているのだが……
監獄のようだといったのは外部との個人的接触がすべて禁じられているから。
外出もできない。居住棟からデイサービス棟に行くのだって、マスクをはめ一人ひとり介護人の介添えが必要だ。
ただし、病院の車、あるいはエミアスの車などで通院はできる。火、木、土、ガラジイはK病院の車で透析に通院している。
週に2回デイサービスの日にリハビリがある。
指導者はM君。
M君は若いがとても有能な作業療法士だとガラジイは評価している。
とても30代には見えない好青年。
最近は、アドバイスに従って、補助用具なしにエミアスの敷地内に限るが、屋外を歩いている。5分歩いては腰を下ろし、また5分。現在はその繰り返し1回のみ。1か月後には10回くらい繰り返せるようにしたいものだと思っている。
M君はたった一人でリハビリを必要としている入居者を訓練している。入居者のほとんどがリハビリを受けるから、一人では忙し過ぎる。
この老人ホームの最大の欠点はリハビリに十分な屋内スペースと最新の器具が用意されていないことだ。
それに、もう一人くらい指導者が必要だ。受講者は体を動かすほかに、ゆっくりとM君と話をしたいだろう。一人ではその余裕がない。
M君は真っ赤な軽自動車で通勤している。
あるとき、その理由を恥ずかしそうに語ってくれた。
奥さんが、二人のお子さんを保育所にかよわせるので、自分の車は奥さんが使って、M君は奥さんの車を使用しているという。