§ (横行結腸癌の摘出手術の続きですが…)tan君の入院期間中に、ちょうど病院付属の看護師養成機関の学生の看護実習がありました。我が病室には女子1名の実習生が配属され、tan君の担当となりました。同室の患者はいずれもtan君と同じ担当医なので、どの患者さんの所に配属されてもいいわけですが、いちばん病状の軽いtan君を婦長さんが指名されたのだろうと思いました。
先輩看護師さんが付き添っていろいろの医療行為を実習しながら、だんだんと一人前の看護師さんと同じ医療行為を単独で出来るようになっていかれました。その看護実習の中でtan君が一度だけ悩んだのは、「患者さんの身体をタオルで拭く実習」のときでした。つまり、身体のどこの部分までを拭いてもらうかということが問題でした。加齢を重ねていても、見られるのが恥ずかしい箇所は若い方々と同じなので躊躇しました。しかし、看護実習の目的から考えると、どこも包み隠さず拭いてもらうのがベストだと判断しました。覚悟を決めて(開き直って?)、「お父さんの身体で実習というわけにはいかないから、私でしっかり実習をしてください。」と申したところ、「私は母子家庭育ちです。」との返事が戻ってきたので、「余計なことを言って御免なさい。」と謝るしかありませんでした。(加齢雑学講座第118回)