その車線側に車が来ないと分かると隣の車線に置きなおした。暫くしてもクルミが割れないと知るとそれをくわえて飛び去った。
するとまた別のカラスが来て同じ行動をしたのには驚いた。これは特定のカラスの行動でなくこの辺のカラスたちの通常の餌獲り行動であることに違いないと思う。
自分では割れない固い殻を通行する車の重さを利用して割り、中の実を食うと言う高度な頭脳。車を利用する文化は何時頃からのモノだろうか。以前東北大学文学部の仁平(にへい)教授がこれと同じ行動を大学構内の道路で発見してマスコミに取り上げられ、東北大学構内に住むカラスはさすが頭が良いと巷間で話題となったものだ。私が仕事上でカラスの巣作りによる停電事故を無くそうと、その生態を研究していた時、東北大まで仁平先生を訪ね、親切なカラス博士のご高説を拝聴したことがある。
学都仙台の東北大から福島市まで100キロメートル以上はある。どうしてこの車利用の高度な知恵が伝搬したものか。残念ながらカラス語が喋れない身にとっては知りようがない。福島から東北大に留学していたカラスが学士課程を修了し、地元に帰ってこの高度な技術を広めたのか。その謎は解けそうもなく新年早々新たな悩みが増えた。
カラスの勝手でしょうと一笑に付されそう。

クルミが割れるのを待つ利口なカラス君