ZEN and ZOO  玉野大介

動物園の中に禅の精神、禅の芸術は生き残っているか、そんなわけの分からないテーマを小脇にかかえ、美術を中心につづります。

ノルウェイの森 2

2010-12-26 13:27:59 | カフカ
ノルウェイの森にはノルウェイは出てこない。これと重なるような話が途中に出てくる。緑の父の話である。最初、緑が語るには父は外国に行ってしまったということだったが、実は病院で死の床についていた。不思議なことに主人公と病床の緑の父は異常なほどの親近感の中で描かれているのだ。下の世話までするぐらいだ。もしかしたら、この物語自体が緑の父が死の床で見たひとつの夢なのかもしれないと思えてくる。

ノルウェイの森

2010-12-25 17:17:05 | カフカ
ノルウェイの森を読んだ。ラストの主人公が電話ボックスの中でここはどこだかわからないと電話の向こうの緑に話すところで終わるのだが、謎めいた終わり方だ。自分なりに考えてみた。これは導入部に語られる井戸の話に通じているのだと思われる。草原に井戸がある。草に覆われて誰も気づかない。もし、誤って落ちてしまったら、誰にも気づかれず。失踪者として片付けられ、忘れられていく、そんな話だ。電話ボックスは井戸の底を連想させる。電話の向こうの緑は草原の緑、すなわち地上だ。主人公は直子という垂直に掘られた井戸の底のような思い出に囚われている。
この物語はある男の回想として語り始める。だから、形式としては最後に男の現在に戻らなくてはならない。けれどもそうではなく回想された時制まま終わる。井戸の底に落ちたままなのだ。草原の緑のなかに誰にも気付かれず物語も沈んでいるのだ。

燈籠惑星は古代文明です。

2010-12-12 12:32:49 | カフカ
燈籠惑星は芸術作品ではありません。これはマヤ文明や黄河文明などと同じ文明であります。現在の文明が滅びた後生き残った人々が過去の遺跡から石を集め、それらの遺跡、文明を供養しながら創り上げる新しい古代文明です。文明、文化を失うと人類は先祖帰りし、まずは自らの印として石を積み上げたくなるのです。その時、どのように積み上げればよいか悩まないように、みなさんもしっかりと燈籠惑星を脳裏に焼き付けてください。