先日、町田市小野路の里山にあるピアノカフェ CHOPINで、音大の学生さんによるチェンバロの生演奏を聴いてきました。このカフェは、先月この記事で紹介したように散策の途中で偶然見つけたのですが、そのときは入れなかったので、いつか再訪しようと夫と言っていた店なのです。この辺りの里山を歩いた後、立ち寄りました。
コラージュ編集の画像でご紹介します。
(★これより下の画像をクリックすると大きい画像や別の画像が見られます。★別画像がある場合は、マウスオンするとその旨が表示されますが、ブラウザによっては読み込めない場合があります。★コラージュ画像の縦横比はハガキサイズに設定しています。★撮影日は2013年2月10日です。)
里山のピアノカフェ ♪♪♪ チェンバロ演奏とお話 ♪♪♪
町田市といっても多摩市との境界に近い里山の中にあります。多摩市側にある「一本杉公園」の駐車場に車を停め、数百メートル歩いてきました。「鎌倉の道」の一部である古道沿いにあります。この古道を使い、土方歳三ら新撰組の浪士たちが、小野路の小島家に剣術の稽古に通ったと言われています。
2階がカフェと演奏スペースに[左]、1階が音楽活動やギャラリーとしての貸しスペースになっています(アップライトピアノあり)[右]。鉄人28号や鉄腕アトムのフィギュアは、オウナーの甥っ子さん製作とのこと。
オウナーの岡氏は、将来有望な若い演奏家を招き、演奏の機会と空間を提供することで活動をサポートしているそうです。
毎月第2・4日曜の14:30~は「古楽器の日」として、音大の学生さんのチェンバロの生演奏とお話(40分ほど)を聴くことができます。飲み物つきで1,000円。詳しくはカフェのHPをご覧ください。
2階のカフェは明るく開放的な空間で、窓からはコブシの大木や向かいの尾根の景色が見えています。
コンサートのテーマは「ルネッサンスからバロックの音楽を」。曲目は、バッハを始め、バロック時代の作曲家(ブクステフーデ・クープラン・ラモー・フィリップス・ルッツァスキ・スウェーリンク)の曲から、バレンタイン・デーに因んで恋や愛の歌を中心に選んだとのことです。アンコールの2曲は耳馴染みのある曲でした。
明るい窓辺の陽だまりで、おしゃれなカップでお茶をいただきながら、チェンバロの優しい響きに身をゆだね、心地よい午後のひとときでした。チェンバロ(グランドピアノ型で鍵盤が2段式)に触れたことはあるのですが、演奏を生で聴くのは初めてでした。こぢんまりした、でも明るい空間で、気構えることなくまったりとして味わう古(いにしえ)の音色...「室内楽とはまさにこういうものね!」という感想です(*^_^*)
演奏後、チェンバロを囲んで演奏者の学生さんとお話ししたり、チェンバロに触らせてもらったりしました。
<チェンバロ 豆知識>
チェンバロにはいろいろな形があるようですが、今回のものは縦型の「ヴァージナル(virginal)」と呼ばれるもので、「弦が楽器の長辺および鍵盤と平行に張られている」(Wikipedia)タイプです。普通車にそのまま積める大きさで、実際に、この日の演奏家の斉藤さん(後述します)は自家用車に積んで移動しているそうです。
ピアノのように弦を上から叩くのではなく、下からはじく構造であるため(くだんのページに図解つきの詳説があります)、ピアノとは演奏法が異なるそうです。「触る」という意味の言葉である“トッカータ”に表れているように、鍵盤を叩くのではなく、優しく触れるように弾くのだそうです。押してみると、ピアノより鍵盤の“遊び”が大きいことが感じられました。ピアノを弾くときのようにあまり手を丸めず、指の腹で押す感じでしょうか...。
一つの鍵盤を弾くと倍音が出るのもチェンバロの特徴だそうで、それが、音を長引かせるピアノのようなペダルもないのに、独特の不思議な響きを作るのですね。倍音のためなのか、一つの音がほんの少し遅れて重奏音になって響いているように、私の耳には聞こえました。いやぁ、あの共鳴音を言葉で説明するのはむずかしいですねぇ(^_^;
フレームが木なので湿度の変化に弱く、調律が変わりやすいため、頻繁な調律が必要で、演奏者は調律も自分でしなければなりません。斉藤さんは、演奏直前に楽器から出る音や天候次第で、音のピッチを変えているそうです。その意味では、絶対音感がなくても調律できるのだとか。(因みに、絶対音としての現在のピッチが定められたのは1953年ですから、音楽の歴史の中ではつい最近のことなのですね。)
昔は親指をくぐらせる奏法ではなかったため、隣の音を同じ指で連続して弾いたりするのだとか...w(☆o◎)w 必然的に指使いがピアノとは異なるし、指使いを正しく覚えることがとても重要なのだそうです。
また、ピアノのような強弱がつけられないので、音を細かく切って刻むことでディミヌエンドを表わしたりという、ピアノとは別のアーティキュレーション(articulation)が必要だそうです。
19世紀を通じ、チェンバロはピアノに取って替わられ、一時期は廃れた楽器でしたが、20世紀に入り、古楽復興運動によって再び演奏されるようになったそうです。
Wikipediaの解説にもありますが、ポール・モーリアの『オリーブの首飾り』などにも、チェンバロの音が使われていましたね。ピアノよりギターに近いともいえる音色は、ポップな音楽にもマッチするのですね。
<演奏家について>
この日の演奏家、斉藤はる奈さんについては、HP・ブログをご参照ください。
経歴がユニークなのです。生物学の研究@大学院→創薬の研究@企業→ピアノ専攻@短大→歴史的鍵盤楽器・パイプオルガンの習得@キリスト教音楽学校→現在、オルガンコース在籍@音大...。
その理由を訊いてみたところ...元々ピアノは習っていた&研究が好きで、音楽理論で作曲を習ったときにとても面白かったので、音楽の道に進んだと。研究の対象が生物から歴史的鍵盤楽器に移っただけ...と、美しい表情に理知的な笑みを湛えて語ってくれました。
バッハの時代は故人の楽曲を演奏するという習慣がなかったため、100年ほどバッハの曲が演奏されない空白の時期があったそうです。つまり、一時期伝承が途切れていたのです。
その後復刻されましたが、バッハの頃の楽譜には細かい演奏指示が書かれていなかったために、弾き方の解釈が定まらず、むしろ誤解された演奏法で復刻されてしまったのだとか。
最近当時の研究が進み、当時の正しい解釈と思われる弾き方で伝承しようとする演奏家が増えているとのこと。そんな経緯で、彼女も古楽器やパイプオルガンの魅力を伝える演奏活動をしているのだそうです。
いろいろ勉強になりました(*^▽^*) 斉藤さん、素敵な演奏とお話をありがとうございました!
ここからはおまけ...
カフェのオウナーの岡さんはおしゃべり好きで、いろいろな話をしてくれました。筍のシーズンには、そのために隣に借りている500坪の竹林で掘った筍を、お客さんにプレゼントしてくれるそうで...(*^▽^*) 次の訪問は初夏かな? ふふふ。
さらにおまけ...この日歩いた里山で撮った画像です。
「多摩よこやまの道」のごく一部を歩きました。途中「キヤノンスポーツパーク」の横を通り、初めてラグビーコートを目にしました[右]。
初めてチェンバロの生演奏や話が聴けた上、「多摩よこやまの道」の歩いたことのなかった部分を歩くことができ、満足の午後でした(#^.^#)
いつものことですが、また長くなりましたね(^_^; おつき合いありがとうございましたm(__)m
ピアノカフェの前を通って一本杉公園まで歩いたことがありますが カフェはまだ入ったことがないのです。
小野神社交差点から多摩市に抜ける道は やっと広がって通りやすくなりました。
よく利用する道です。
よこやまの道は唐木田から若葉台まで歩いています。又歩いてみたいですね。
チェンバロ、古の響き…まさしくそうですね。
なんとも言えない気持ちにさせられるチェンバロの音色、
私も好きです。
また自然の中のピアノカフェがいいです。
”雑木林を抜けると
そこはピアノいいえチェンバロの音色の響く
一軒のカフェがあり・・・・・・。”
なんて、想像してしまいました。
やはりこの道をご存知ですなんですね。カフェにも一度入ってみてください。オウナーが面白い人ですよ。こういう方がいらっしゃるから、才能のある若い人たちの活躍の場が増えるのですね。
よこやまの道、私は完歩したことがないのです。いつかご一緒してくださいm(__)m
やはりチェンバロがお好きですか? ほんとに優しく癒される音色ですよね。生はもっといいですよ。
”竹林を抜けるとそこは......”でした(#^.^#) 不思議な場所です。