えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

第6章 ホルモン療法 27.

2007年10月10日 | 乳がん闘病記
27. 
 自分の処方が通ったのはよかったが、ひっかかる点があった。Y先生の診療を待っていた年末、妹からもらったロイヤルゼリーを試しに飲んだら体が軽くなり、よく動けたので効能を調べてみると、女性ホルモンの調整と更年期障害の改善・自律神経のコントロール・免疫力アップなどの効能があることがわかった。しかし、一方で女性ホルモンを抑えながら、他方でそれを補うようなサプリメントを服用してもよいものなのだろうか? その力関係がよくわからなかったのだ。

 そこで、ロイヤルゼリーが効いた事実をY先生に告げ、サプリメントを用いることに問題はないかどうか尋ねると、「サプリメントは薬ほどの効果はないので、服用しても問題ないと思います」と言われた。それでも、八味地黄丸の効き目が見えにくくなる可能性を考え、しばらくロイヤルゼリーを摂るのはやめてみようと思った。

 診察室を出る前に、Y先生が年内に医局長になっていたことを思い出し、「ご昇進おめでとうございます!」と言った。すると、先生は大いに照れながらも破顔一笑し、「雑用が増えるだけですよ」と言いつつやはり嬉しそうだった。

 2006年1月28日。再びY先生の診療日。前回受けた血液検査の結果を聞くのと、八味地黄丸の効果を報告するのが目的だ。
 血液検査の結果に大きな問題はなかった。リンパ球値も血小板値も低いままだが、検査の度にわずかながら改善傾向にある。ただ、中性脂肪値がその前の検査より跳ね上がり、標準値を超えてしまったのが少し気がかりだった。女性ホルモンが脂肪の代謝に関与しているので、9ヶ月間ホルモンを抑えてきたことによる当然の結果なのかもしれない。そう言えば、体重も増加の一途をたどっていた。放射線治療の頃から数キロ痩せた分を、あっと言う間に取り戻した形だ。でも、Y先生は白血球値も中性脂肪値も問題視していないようなので、私もあまり気にしないように努めた。

 八味地黄丸の効果は顕著にはわからなかったが、2週間服用したあたりから左上腕の痛みが和らいできたので、少しずつ血行が良くなっているのかもしれない。しばらく続けたいかと訊かれたので、そうしたいと答えた。でも、1日2回服用の処方ではお腹がゆるくなったので、実は勝手に自分で匙加減していた。それをY先生に伝えると、それでかまわないと言われた。

 後に産婦人科医のD君に八味地黄丸を飲んでいることを知らせると、「お腹がゆるくならない? 地黄が入ってるから、合わない人もいるよ」と言われ、納得した。そう言えば、『女性のための漢方全科』でこの薬の適用症状の中に「胃腸が丈夫」とあったが、その意味がD君のこの言葉で初めてわかった。

 この日はまた、F先生が他の病院に異動したことを知り、とても淋しい思いだった。F先生は乳がんの最初の診断を下し、Y先生とともに手術に当たってくれた爽やかな熱血先生だ。私がそのことに触れると、Y先生は「しばらく外で修行してくるそうです。またいつか戻ってくると思いますよ」と言った。「先生までいなくならないでくださいね」と私が言うと、「大丈夫ですよ。私の場合はどこにも行きようがありませんので…」と言って、先生は笑った。せっかくY先生との信頼関係が築けてきたのだから、異動しないでほしいと心から願った。

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3 コメント

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だちょうさんへ:体に合う薬 (takuetsu@管理人)
2007-10-16 00:55:28
2つのコメント、ありがとうございます。

症状に合わせて処方される西洋医学の薬と違い、漢方薬はその人の体質や体力に合った処方が大事なので、症状だけ見て人を見ないで処方すると、全く合わずに逆効果、ということも充分起こり得るでしょうね。

くだんの本、ほんとにお奨めです。ぜひ奥様にプレゼントしてあげてください。
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八味地黄丸 (だちょう)
2007-10-15 14:41:14
ひとつ前のコメントは、「ホルモン療法26」につけるつもりが、間違ってこっちにつけてしまいました。

八味地黄丸って昔から良く聞く漢方薬ですね。歴史のある漢方薬には確かな効き目があるんでしょう。日本の医療現場ももっとアジアの伝承医術を研究して鍼、漢方薬をうまく導入していけばいいですね。
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漢方薬 (だちょう)
2007-10-15 14:28:52
漢方薬はなかなか難しいです。
以前咳がなかなか止まらなかったとき、ずっと病院の処方薬を続けるのも抵抗があったので、サイボック(柴朴湯(小柴胡湯+半夏厚朴湯)) を試してみましたが、全く合わずにむしろひどくなりました。
で、病院の方にも漢方薬の処方を依頼したことがありますが、なんだかんだ言ってあまり出したがらないです。

『女性のための漢方全科』、なかなか興味深い本です。家内は健康オタク(なにか変わった症状が出るとすぐに心配して医者に行く)なので買って見ます。
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