「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
われら選ぶ人のをさむる新しき 国輝けと一票を投ず
東京都目黒区目黒 小川 登子
与えられた一票は、獲得した一票とは違うかも知れない。しかし、与えられたものを十全に生かすことが凡愚のよろこびであり、生かすようにつとめるのも政治であろう。祖国は新しく民主国として出発し、婦人のよき意志の集結のままに国政も半ば運用される時を得たのだ。選ぶことの自由は、選ばれたものの政治に責任をもつことである。
善かれ悪しかれ自己の問題として婦人も一応は考えねばならない。それが与へられてはじめてもつ政治への関心であつたとしても。
おのづから政治意識に目覚めきて
四月は在りき党を人を選び
と当時私は詠んだ。そして私どもの選ぶ人の治める新しい国になつたのだ。この国の興るのも衰えるのも、この一票に左右されるところが大きい。
「祖国よ、飛躍せよ」と念じつつ、参政のよろこびをこめて、その第一回の一票を行使したときの感慨である。
(登子)