えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

再掲:講演会を聴いて ~堤 未果さん~

2008年11月04日 | 雑記

 この記事は再掲載です:10月18日に一度掲載した後、一時掲載を取り下げていた記事の改訂版です。講演内容の詳細にまで言及してしまったため、講演内容の概要や視聴者の感想に留めてほしい旨の依頼がご本人からあったからです。最初の記事をご覧くださった方には、その旨ご了解いただきたいと思います。申し訳ありません。

 10月11日に、地元の「憲法九条を守る稲城市民の会」主催による堤未果(みか)さんの講演を聴きました。テーマは「私は9.11を体験した! そこから見えたものは...」です。

<堤未果さんプロフィール>
東京生まれ。ニューヨーク州立大学国際関係論学科学士号取得。同大学院同学科修士号取得。米国野村證券に勤務中9.11に遭遇。米国と日本を行き来しながら執筆、講演活動を行っている。著書に『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書) 『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』など。夫は参議院議員の川田龍平氏。

 堤さんはアメリカに憧れ、90年代に留学のため渡米しました。女性でも主張できる、がんばれば活躍できそう...と、アメリカに良いイメージばかりを抱いていたそうです。
 ところが、9.11直後のアメリカの変貌ぶりを目の当たりにして恐怖を抱き、日本に帰国します。
 1年間9.11によるPTSDに苦しみ、その間に頼まれるようになった通訳の仕事を通じて渡米する必要性を感じ、2004年に再び渡米しました。

 講演はとてもインパクトがあり、また私にとって瞠目の内容だったので、少しでも共有してくださる方々が増えることを願いつつ、ここに記します。ただし、上記理由のため詳細に言及できないので、伝わりにくい部分は私の力量不足ということでお許しください。

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◆9.11直後のアメリカ (@アメリカ)
 それまで無敵だったアメリカが初めて攻撃を受け、9.11直後のアメリカではメディアが一斉に口を閉じ、“war”の言葉のみが氾濫。タワーが崩れる画像とともにブッシュ大統領の「報復」「敵はテロリスト」のメッセージがテレビでくり返し流された。
 パニックに陥った国民がしたことはスーパーに銃を買出しに走ること。そして、国民が安心できるメディアの言葉は「愛国心」だけだった。
 一方議会では、国民がパニックに陥っている間に重要な法案が次々と通ってしまう。
 
 そんな大国アメリカの変貌ぶりに堤氏は恐怖を抱き、失望する。野村證券を辞め、取得申請中だった永住権も放棄して日本に帰国した。

◆通訳の仕事を通じての体験(@日本)
 9.11のPTSDで1年間苦しみ、自宅に引きこもるも、「自分が日本で平和ボケしていられたのは、日本国憲法が60年もの間守られてきたからだ」と気づく。
 頼まれるようになった通訳の仕事を通じ、イラクやアメリカを始めいろいろな国から来日した多くの外国人と接する。彼らがそれぞれの訴えのために日本を選んだ理由は、日本が唯一の被爆国であること、日本には憲法9条があること、被爆者遺族が報復を叫ぶのではなく平和を訴える方法を選んだこと、アメリカではメディアが統制されていることなどだった。
 この体験から、堤氏は自分がアメリカの“良い部分”しか見ていなかったことに気づき、2004年大統領選のときに再び渡米する。

◆取材を通じて知った真実 (@アメリカ)
 再渡米したその当時のアメリカでは、ジョン・レノンの『イマジン』を流さないよう統制され、反戦運動や労働者運動が起こっていた。
 
 堤氏は、イラクに息子を徴兵されたある母親とのインタビューをきっかけに、徴兵経験のある若者との地道なインタビューを重ねることにより、志願制であるはずの徴兵のカラクリ実質は民営化しているアメリカの戦争の実態をつかんでいく。
 それには、表向きは教育水準を上げる目的の法案だが真の目的は徴兵のためである法案や、9.11直後国民がパニック状態の間に議会で通されたいくつかの法案、社会保障費削減個人情報一元化民営化に関する法案がからんでいた。
 こうして、イデオロギーのためではなく貧困から逃れるために巧みに徴兵された、アメリカその他貧困国の若者がイラクには大勢派遣されており、彼らが民営化されたアメリカの戦争を支えているのが実態だ。

◆日本国民はどうしたらよいか?
 現在アメリカでは、派兵された若者の親たちと先生たちがタイアップし、「軍事費にかけるのではなく教育費に」と訴えている。
 対政治家としては「対立はやめ、憲法を勉強しよう。1票を大事にしよう」という姿勢で、対大企業(メディア統制に関わっている)としては「非買運動」という形で、対メディアとしては「批判するだけではなく褒めて育てる」という姿勢をとっている。
 つまり、今のアメリカ国民は、マイナスエネルギーではなくプラスのエネルギーを使って市民運動につなげようとしている

 私たち日本人は9条とセットで、25条(生活保障)と21条(報道の自由)を守っていこう!

◆結び
 <イラク帰還兵の言葉>
  イラクに行く前     敵はテロリストだと思っていた
  イラクに行ってから   敵はホワイトハウス・大企業・メディアだと気づいた
  イラクより戻ってから  真の敵は無知だった自分だったと気づいた

 個人名ばかりが表に出るニュースは要注意である。問題は個人ではなく、それを生み出した「仕組み」であることを見抜くことが大事だ。
 また、諦めたらその時点でおしまいだから、諦めてしまうことも敵になる。

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 堤さんの講演は、地道な取材と冷静な分析に基づき、自分の言葉で明快に語られたわかりやすいもので、2時間半に及びましたが終始澱みなく、聴衆の集中力を途切れさせることのない見事な講演でした。

 一度崩れたアメリカへの憧れや信頼にもめげず、また9.11のPTSDにもめげることなく再び渡米...地道に自力で培った情報を元に、プラスのエネルギーに満ちたメッセージを同輩に淡々と、しかし明快に、そして諦めずに投げかけていく姿勢には、大いに励まされ、刺激を受けました。

 個人的には、日本が着実にアメリカと軌道を一つにしていることに戦慄を覚え、メディアに踊らされる怖さと真実を見抜く目の重要性、国策と密着した教育の持つ意味をひしひしと感じました。また、自分自身が為政者にとって都合のよい「衆愚国民」の一人にならぬよう心しなければならないと、気が引き締まる思いがしました。
 さらに、「一体今の日本はどこを向いているのだ...」と、怒り、嘆き、途方に暮れ、挙句の果てに諦めるのではなく、自分の立っている位置で、自分のできることから何かを始めてみようという気持ちにさせられました。

 みなさまにどれほどその内容が伝えられたか甚だ疑問ですが、一助になることを切に願います。彼女の著書を手にとってみてください。そして、機会があればぜひ講演を聴いてみてください。

 堤さん、ありがとう!!!
 舌足らずなまとめの文章におつき合いくださった皆様にも、ありがとうございます
 


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2 コメント

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Unknown (金沢の母親)
2008-11-05 17:45:00
堤未果さんのようなジャーナリストの存在は希望ですね!今月私の地元にもいらっしゃるのですごく楽しみです!
金沢の母親さんへ:楽しみですね! (takuetsu@管理人)
2008-11-05 23:40:08
金沢の母親さん、初めまして、コメントありがとうございます!

近々堤さんの講演が聴けるのですね、楽しみになさっていてください。きっと勇気をもらえると思いますよ。
そのお話をまた聞かせていただけると嬉しいです。

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