高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問18・預金関係・・・。

2021-07-14 07:21:42 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
問18・預金関係・・・。

ある意味、預金関係は、改正点によりしっかり規定されることになりました。
司法試験では、最新の論点をすぐ出す傾向にありますが、宅建では、今年か、来年ぐらいに出されるでしょうか。

うまくポイントを押えておきましょう。預ける先は、銀行ですね。
抵当権の所の知識を覚えるときと同様に、結構、銀行側の方が優遇されるのですよ。

・・・・・
問18 AはB銀行に預金口座を開設し,金銭を預け入れた。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが,B銀行のDの預金口座に振込みをするつもりで,誤ってAの預金口座への100万円の振込みをCの取引銀行に依頼し,その振込みが実行された場合,Cは,B銀行に対し,100万円の支払を請求することができる。

イ.Aが死亡してEとFがAを相続した場合,Eは単独で,B銀行に対し,A名義の預金口座の取引経過の開示を求めることができる。

ウ.AがB銀行に対して有する預金債権について,譲渡はできない旨の特約がされていた場合,AがGとの間で,その預金債権をGに譲渡する契約をしても,Gが特約について悪意又は重過失であったときは,その譲渡は効力を生じない。

エ.Aの預金口座に係る預金が定期預金の場合,B銀行は,やむを得ない事由がなければ,Aの同意なしに満期前に預金を払い戻すことはできない。

オ.HがAに対する代金債務の全額をAH間の合意によりB銀行のAの預金口座への振込みによって支払った場合,その債務は,Hの振込みによってAがB銀行に対して同額の預金の払戻しを請求する権利を取得した時に,弁済により消滅する。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、判例によって、×になります。
「振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人は銀行に対して振込金額相当の普通預金債権を取得する」としています。
振込の原因となる法律関係が存在しなくとも、預金債権は成立するとしたのですね。そして、受取人による払戻請求は「著しく正義に反するような特段の事情」がある場合には「権利濫用に当たる」として、払戻請求を全面的には認めないというわけです。

したがって、B銀行には利得がないといえて、B銀行に対する100万円の支払請求は認められません。

肢イも判例で、○となります。
預金契約を消費寄託の性質と委任・準委任の性質とを併せ持つ契約として、預金口座の取引経過の開示義務を委任の645条が定める報告義務の一環として位置づけて、開示請求を預金契約上の地位に関する保存行為とし、預金者が死亡した場合には、その共同相続人の1人は、取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるとしました。

肢ウですが、これは改正点なのでぜひ○としたいですね。
改正により、債権譲渡の制限の意思表示をしたとき、債権の譲渡は効力を妨げられないのが原則となりましたが、譲渡対象債権が預貯金債権であった場合は例外であり、譲受人等が譲渡制限特約を知りまたは重過失によって知らなかった場合には、譲渡制限の意思表示をこの者に対抗できるとなっています(466条の5)。

すなわち、譲渡制限特約付き預貯金債権が譲渡された場合には、悪意又は重過失の譲受人との関係では、譲渡が無効となるのです。

肢エですが、×です。
ここはしっかり理解しておかないとミスをします。

まず、預金契約は消費寄託の性質を有していることになりましたが、例外として666条3項で消費貸借の591条2項3項を準用しています。
すなわち、2項は「預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について、消費貸借の規定を準用する」わけです。
その591条2項は、「借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。」としているのです。
これらがわかっていないと、定期預金などの返還時期の定めがある場合でも、受寄者である金融機関は、やむを得ない事由がなくても、いつでも返還をすることができるとなるのですね。

肢オですが、これは○とできるようにしておきましょう。
ウとオのみで、正解は肢2とできるでしょう。
改正により、債権者がその預貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る全額の払戻しを請求する権利を取得した時に弁済の効力が生じるとしています(477条)。

では、また。


うかるぞ宅建士 最短25時間~最後の切り札~ (うかるぞ宅建士シリーズ)
高橋克典
週刊住宅新聞社


試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携
高橋克典
住宅新報社


にほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へにほんブログ村


資格(行政書士) ブログランキングへ

資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

意外に解ける・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問17・連帯債務・・・。

2021-07-11 07:19:15 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
問17・連帯債務・・・。

最近出てないので、宅建試験では今年は要注意です。

とにかく基本的なことは正確に覚えておこう。

・・・・・
問17  ABCは,Dに対して,60万円の借入金債務(以下「甲債務」という。)を連帯して負担し,負担部分は均等とする合意をしていた。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.DがAに対して甲債務の支払請求訴訟を提起し,請求を認容する判決が確定した場合において,D及びBが別段の意思を表示していないときは,甲債務の消滅時効は,Bについても判決確定の時から新たにその進行を始める。

イ.DがCに対して甲債務を免除する意思表示をした場合において,D及びAが別段の意思を表示していないときは,DがAの債務を免除する意思を有していなかったとしても,Dは,Aに対して60万円の支払を請求することはできない。

ウ.甲債務と相殺適状にある30万円の乙債務をDがCに対して負担している場合において,Cが乙債務につき相殺を援用しない間に,DがAに60万円の支払を請求したときは,Aは,20万円についてその支払を拒むことができる。

エ.Bは,甲債務の履行期にDに対して18万円を支払った場合,A及びCに求償することはできない。

オ.甲債務と相殺適状にある20万円の乙債務をDがCに対して負担している場合において,Aが,Cが甲債務の連帯債務者であることを知りながら,Cに通知せずにDに60万円を支払ってCに求償し,Cが乙債務との相殺をもってAに対抗したときは,Aは,Dに対し,相殺によって消滅すべきであった乙債務20万円の支払を請求することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、×ですね。
絶対効があるかどうかですね。
原則は、相対効ですが、例外の絶対効は、①更改(438条)、②相殺(439条1項)、③混同(440条)の3つです。
本肢は、相対的効力事由(441条)ですね。

なお、相対的効力事由であっても、「債権者と他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したとき」は、その意思に従います。ただし、本肢では別段の意思の表示もないとなっています。

肢イですが、×ですね。
債権者がすべての連帯債務者の債務を免除する意思で連帯債務者の一人に対し免除の意思表示をした場合には、全員に対する免除の効果が生じることはあります。

やはり、そうでない場合には、肢アと同じ、免除も相対的効力事由ですね。
正解は、肢4か5になります。

肢ウですが、改正点で、○ですね。
439条2項は、「相殺を援用できる連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は債権者に対して債務の履行を拒むこと」ができるとされました。

Aは、Cの負担部分である20万円の限度において支払を拒絶できますね。
これで、正解は、肢4となります。

肢エは、×です。しっかりこれは覚えておきましょう。
連帯債務の場合、連帯債務者の一人が弁済等により共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対して、免責を得るために支出しか財産の額のうち各自の負担部分に応じた額の求償をすることができます(442条)。一回は丁寧に理解しておきましょう。

要は、負担部分の20万円を超えていなくても、Bは各自の負担部分に応じて6万円ずつAとCに求償することができるのですね。

肢オですが、○です。
悪意、通知してない、Cに相殺をもって対抗された、ならAはDに支払いを請求できるでしょう(443条1項)。

では、また。


うかるぞ宅建士 最短25時間~最後の切り札~ (うかるぞ宅建士シリーズ)
高橋克典
週刊住宅新聞社


試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携
高橋克典
住宅新報社


にほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へにほんブログ村


資格(行政書士) ブログランキングへ

資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

意外に解ける・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問16・詐害行為取消権・・・。

2021-07-08 08:32:03 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問16・詐害行為取消権・・・。

マイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。
ただし、過去1回出ています。

でも、他の国家試験受験生は、押えておきましょう。

・・・・・
問16 Aは,その債権者を害することを知りながら,所有する骨董品甲をBに贈与し,その際,Bも甲の贈与がAの債権者を害することを知っていた。この事例におけるAの債権者Cによる詐害行為取消権行使に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが詐害行為取消訴訟を提起する場合,Aを被告としなければならない。

イ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Dに対し,BD間の甲の売買の取消しを請求することができる。

ウ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Bに対し,AB間の甲の贈与の取消しを請求することができる。

エ.Cによる詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力は,Aの全ての債権者に対してもその効力を有する。

オ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合において,CのDに対する詐害行為取消請求を認容する判決が確定したときは,Dは,Bに対し,代金の返還を請求することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
・・・・・

肢アですが、×です。
詐害行為取消訴訟の被告は、受益者または転得者に限定されています(424条の7)。
債務者には被告適格がありません。

肢イですが、×になります。少し表現に気をつけてください。
転得者を相手方とする詐害行為取消請求においては、債権者は、「債務者がした行為の取消し」とともに、「転得者が転得した財産の返還を請求すること」ができるとしています(424条の6②項)。
これによると、取消請求の対象は債務者がした行為であって、受益者と転得者の間でなされた行為(BD間の売買)についてではありませんね。

肢ウですが、○ですね。
詐害行為取消請求は、現物が既に転得者のもとにある場合でも、受益者を被告としてすることができます。
そして、受益者が財産を返還することが困難な場合ですから、債権者はその価額の償還を請求することになります(424条の6①項)。

肢エですが、○になります。
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有します(425条)。

肢オですが、難問ですね。結果は、×です。
肢エでも確認しましたが、転得者を相手方とする詐害行為取消請求の認容判決が確定した場合でも、A及びAの債権者に及ぶわけですが、それ以外には及ばないことになります。
したがって、当該転得者が現物返還とか価額償還をしても、前主である受益者に対してはなにも変わらないことになって、返還請求をすることができないのです。

ただし、この場合の転得者の保護からは、債務者の行為が取り消されたことで受益者が債務者に対して取得するはずの反対給付の返還請求権を転得者が一定の要件のもとで行使できることにしています。
しかし、本問ではA・B間の契約は贈与ですから、転得者DはAに対しても何ら請求できないことになります。
最後は、難しいですね。正解は、肢5でした。

では、また


うかるぞ宅建士 最短25時間~最後の切り札~ (うかるぞ宅建士シリーズ)
高橋克典
週刊住宅新聞社


試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携
高橋克典
住宅新報社


にほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へにほんブログ村


資格(行政書士) ブログランキングへ

資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

意外に解ける・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問15・債務不履行・・・。

2021-07-05 07:07:58 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
問15・債務不履行・・・。

債権ですが、改正点も多く、ある程度数をこなしながら、マスターしていきましょう。

そういう意味で、どんな国家試験受験生でも、司法試験の問題も解くといいでしょう。

・・・・・
問15 AとBは,Aが所有する骨董品甲をBに100万円で売却する旨の売買契約を締結した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.売買契約の締結後,Bが代金100万円を支払ったが,引渡期日前に,AがBに対して甲を引き渡すつもりは全くないと告げ,Bの働きかけにもかかわらず翻意しないときは,Bは,引渡期日の到来を待つことなく,Aに対し,債務の履行に代わる損害の賠償を請求することができる。

イ.売買契約の締結の前日に甲が焼失していたときは,当該売買契約は効力を生じない。

ウ.売買契約の締結後,Bが代金100万円を支払ったが,Aが甲をBに引き渡す前に,甲がBの責めに帰すべき事由により焼失した場合において,Aが甲の焼失による損害をてん補するために支払われる損害保険金70万円を得たときは,Bは,Aに対し,70万円の支払を請求することができる。

エ.売買契約の締結後,Aが甲をBに引き渡す前に,甲が第三者の失火により焼失したときは,Bの代金支払債務は当然に消滅する。

オ.Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ,Bが正当な理由なく受領を拒絶したため,Aの下で甲を保管中に,Aの重過失により甲が滅失したときは,Bは,代金の支払を拒むことができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、できそうですから、○ですね。
履行に代わる損害賠償請求では、415条1項の要件(特に債務者の帰責事由必要)に加え、同条2項の要件も満たす必要があります。
その一つである「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」があり、履行期の前後を区別せず、明確な履行拒絶を表示したらそれ自体でできるようにしています。
肢1と2のどちらかになります。

肢イですが、×です。
これも改正です。
契約に基づく債務の履行が原始的不能であっても、契約が有効であることを前提として、「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」としました。

肢ウですが、これは感覚的に○ですね。
Bはすでに代金を全部払っていますし、Aが保険を得なくても損はないからです。
これも改正で規定され、「債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる」(422条の2・代償請求権)としました。
この代償請求にあたって、債権者に帰責性がないことは要件ではありません。

肢1が正解となります。

肢エですが、表現に今後気をつけてください。答えは、×です。
第三者の過失での危険負担での「効果」が問われています。
債権者は、「反対給付の履行を拒むことができる」(536条1項)のであって、つまり履行拒絶権が与えられるだけであり、「当然に消滅する」わけでもなく、債権消滅のためには、解除することになります。

肢オは、答えは×だと思いますが、理論は少し複雑です。
まず、債務者Aは、Bの受領遅滞により、以後自己の財産に対するのと同一の注意をもって甲を保存すれば足ります(413条1項)。しかし、それでもその後Aの重過失により甲が滅失したため、履行不能につきAに責めに帰すべき事由が認められますから、AはBに対し填補賠償義務を負います。
そして、533条は「債務の履行に代わる損害賠償の債務」も、相手方の反対給付債務と同時履行の関係に立つと規定しています。
Bは同時履行の抗弁を主張して支払を拒むことができるのです。

何回も解いて自分のものとしましょう。

では、また



うかるぞ宅建士 最短25時間~最後の切り札~ (うかるぞ宅建士シリーズ)
高橋克典
週刊住宅新聞社


試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携
高橋克典
住宅新報社


にほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へにほんブログ村


資格(行政書士) ブログランキングへ

資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

意外に解ける・R2司法試験の民法問14・譲渡担保・・・。

2021-07-02 08:10:17 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問14・譲渡担保・・・。

宅建試験では、まだ未出題です。でも、いつかは出るでしょう。

他の国家試験受験生は、超重要問題ですから、押えておきましょう。
どこをしっかり押えるかですね。

・・・・・
問14 譲渡担保に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.所有する土地に譲渡担保権を設定した債務者は,債務の弁済期が経過した後は,債権者が担保権の実行を完了する前であっても,債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことはできない。

イ.所有する機械に譲渡担保権を設定して譲渡担保権者に現実の引渡しをした債務者Aは,その債務の弁済をする場合,債務の弁済と譲渡担保権者のAに対する目的物の引渡しとの同時履行を主張することはできない。

ウ.債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後,商品が滅失し,その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したときは,Aが営業を継続しているか否かにかかわらず,Bは,当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。

エ.土地の賃借人が借地上に所有する建物に譲渡担保権を設定した場合,その効力が土地の賃借権に及ぶことはない。

オ.譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は,強行法規や公序良俗に反しない限り,設定契約の当事者間において元本,利息及び遅延損害金について自由に定めることができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
・・・・・

肢アですが、×とできましたか。
最終的には、形式を重んじるのか、実質を重んじるのか(被担保債権の満足を得られれば十分)、後者でいくのがいいでしょう。そうすると、債務者が弁済期をたとえ経過していても、譲渡担保権者が私的実行をおこなうまでは、被担保債権を譲渡担保権者に弁済することで、担保目的物を取り戻すことができるとしていいでしょう。

これが判断できれば、肢3か4が正解となります。

肢イですが、応用ができたかですが、○ですね。
同時履行が言えるのか、それがいえないのならつまりどちらかが先の履行か、ですね。
ここでは、抵当権を思い出しましょう。宅建試験でも、2回ほど出ています。弁済の方が先ですね。その後、安心して抵当権の登記を抹消できます。

ここも、抵当権を同じように考えると、譲渡担保権においても、債務者は、被担保債権の弁済をしなければ、担保目的物の返還を求めることはできないといえるでしょうね。
優秀な人は、こういう解き方をします。

肢ウですが、知らなくても、「~にかかわらず」がひっかかりますね。最後は×です。
まず、これは集合動産譲渡担保というものです。
通常の譲渡担保とは、やはり違いがあります。
つまり、途中で滅失した場合でも、営業を継続していれば補充されるということですね。

集合動産は債務者が担保の目的となる「動産の販売をして営業を継続することを前提とする」ことから、通常の営業を継続する場合には、当該集合動産の滅失により保険金請求権が発生しても、物上代位を行使できる旨の合意があるなどの特段の事惰がなければ、物上代位権を行使できないと、判例はいっています。
一度、見ておけばもう忘れないでしょう。

肢エですが、×です。そこで、肢4が正解となります。
これも抵当権の応用ですね。
建物に譲渡担保権が設定された場合には、敷地利用権である借地権にもその効力が及ぶとされます。従たる権利です。

肢オですが、○でいいでしょう。
まず、抵当権においては、利息及び遅延損害金等について通算して2年分という制限がありますが、これは後順位抵当権者等の他の債権者を害するためです。

一方、譲渡担保権は、形式的には売買という形式が用いられていて、後順位担保権者の登場が考えづらいのです。こういう分析ができるかです。
もちろん、被担保債権に関して設定される利息や遅延損害金が、強行規定、公序良俗に反するような内容であれば別です。

なんか、実力が出てきたような気がしませんか。

では、また


うかるぞ宅建士 最短25時間~最後の切り札~ (うかるぞ宅建士シリーズ)
高橋克典
週刊住宅新聞社


試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携
高橋克典
住宅新報社


にほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へにほんブログ村


資格(行政書士) ブログランキングへ

資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする