問15・債務不履行・・・。
債権ですが、改正点も多く、ある程度数をこなしながら、マスターしていきましょう。
そういう意味で、どんな国家試験受験生でも、司法試験の問題も解くといいでしょう。
・・・・・
問15 AとBは,Aが所有する骨董品甲をBに100万円で売却する旨の売買契約を締結した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.売買契約の締結後,Bが代金100万円を支払ったが,引渡期日前に,AがBに対して甲を引き渡すつもりは全くないと告げ,Bの働きかけにもかかわらず翻意しないときは,Bは,引渡期日の到来を待つことなく,Aに対し,債務の履行に代わる損害の賠償を請求することができる。
イ.売買契約の締結の前日に甲が焼失していたときは,当該売買契約は効力を生じない。
ウ.売買契約の締結後,Bが代金100万円を支払ったが,Aが甲をBに引き渡す前に,甲がBの責めに帰すべき事由により焼失した場合において,Aが甲の焼失による損害をてん補するために支払われる損害保険金70万円を得たときは,Bは,Aに対し,70万円の支払を請求することができる。
エ.売買契約の締結後,Aが甲をBに引き渡す前に,甲が第三者の失火により焼失したときは,Bの代金支払債務は当然に消滅する。
オ.Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ,Bが正当な理由なく受領を拒絶したため,Aの下で甲を保管中に,Aの重過失により甲が滅失したときは,Bは,代金の支払を拒むことができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
・・・・・
肢アですが、できそうですから、○ですね。
履行に代わる損害賠償請求では、415条1項の要件(特に債務者の帰責事由必要)に加え、同条2項の要件も満たす必要があります。
その一つである「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」があり、履行期の前後を区別せず、明確な履行拒絶を表示したらそれ自体でできるようにしています。
肢1と2のどちらかになります。
肢イですが、×です。
これも改正です。
契約に基づく債務の履行が原始的不能であっても、契約が有効であることを前提として、「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」としました。
肢ウですが、これは感覚的に○ですね。
Bはすでに代金を全部払っていますし、Aが保険を得なくても損はないからです。
これも改正で規定され、「債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる」(422条の2・代償請求権)としました。
この代償請求にあたって、債権者に帰責性がないことは要件ではありません。
肢1が正解となります。
肢エですが、表現に今後気をつけてください。答えは、×です。
第三者の過失での危険負担での「効果」が問われています。
債権者は、「反対給付の履行を拒むことができる」(536条1項)のであって、つまり履行拒絶権が与えられるだけであり、「当然に消滅する」わけでもなく、債権消滅のためには、解除することになります。
肢オは、答えは×だと思いますが、理論は少し複雑です。
まず、債務者Aは、Bの受領遅滞により、以後自己の財産に対するのと同一の注意をもって甲を保存すれば足ります(413条1項)。しかし、それでもその後Aの重過失により甲が滅失したため、履行不能につきAに責めに帰すべき事由が認められますから、AはBに対し填補賠償義務を負います。
そして、533条は「債務の履行に代わる損害賠償の債務」も、相手方の反対給付債務と同時履行の関係に立つと規定しています。
Bは同時履行の抗弁を主張して支払を拒むことができるのです。
何回も解いて自分のものとしましょう。
では、また
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債権ですが、改正点も多く、ある程度数をこなしながら、マスターしていきましょう。
そういう意味で、どんな国家試験受験生でも、司法試験の問題も解くといいでしょう。
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問15 AとBは,Aが所有する骨董品甲をBに100万円で売却する旨の売買契約を締結した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.売買契約の締結後,Bが代金100万円を支払ったが,引渡期日前に,AがBに対して甲を引き渡すつもりは全くないと告げ,Bの働きかけにもかかわらず翻意しないときは,Bは,引渡期日の到来を待つことなく,Aに対し,債務の履行に代わる損害の賠償を請求することができる。
イ.売買契約の締結の前日に甲が焼失していたときは,当該売買契約は効力を生じない。
ウ.売買契約の締結後,Bが代金100万円を支払ったが,Aが甲をBに引き渡す前に,甲がBの責めに帰すべき事由により焼失した場合において,Aが甲の焼失による損害をてん補するために支払われる損害保険金70万円を得たときは,Bは,Aに対し,70万円の支払を請求することができる。
エ.売買契約の締結後,Aが甲をBに引き渡す前に,甲が第三者の失火により焼失したときは,Bの代金支払債務は当然に消滅する。
オ.Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ,Bが正当な理由なく受領を拒絶したため,Aの下で甲を保管中に,Aの重過失により甲が滅失したときは,Bは,代金の支払を拒むことができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
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肢アですが、できそうですから、○ですね。
履行に代わる損害賠償請求では、415条1項の要件(特に債務者の帰責事由必要)に加え、同条2項の要件も満たす必要があります。
その一つである「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」があり、履行期の前後を区別せず、明確な履行拒絶を表示したらそれ自体でできるようにしています。
肢1と2のどちらかになります。
肢イですが、×です。
これも改正です。
契約に基づく債務の履行が原始的不能であっても、契約が有効であることを前提として、「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」としました。
肢ウですが、これは感覚的に○ですね。
Bはすでに代金を全部払っていますし、Aが保険を得なくても損はないからです。
これも改正で規定され、「債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる」(422条の2・代償請求権)としました。
この代償請求にあたって、債権者に帰責性がないことは要件ではありません。
肢1が正解となります。
肢エですが、表現に今後気をつけてください。答えは、×です。
第三者の過失での危険負担での「効果」が問われています。
債権者は、「反対給付の履行を拒むことができる」(536条1項)のであって、つまり履行拒絶権が与えられるだけであり、「当然に消滅する」わけでもなく、債権消滅のためには、解除することになります。
肢オは、答えは×だと思いますが、理論は少し複雑です。
まず、債務者Aは、Bの受領遅滞により、以後自己の財産に対するのと同一の注意をもって甲を保存すれば足ります(413条1項)。しかし、それでもその後Aの重過失により甲が滅失したため、履行不能につきAに責めに帰すべき事由が認められますから、AはBに対し填補賠償義務を負います。
そして、533条は「債務の履行に代わる損害賠償の債務」も、相手方の反対給付債務と同時履行の関係に立つと規定しています。
Bは同時履行の抗弁を主張して支払を拒むことができるのです。
何回も解いて自分のものとしましょう。
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