R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問16・詐害行為取消権・・・。
マイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。
ただし、過去1回出ています。
でも、他の国家試験受験生は、押えておきましょう。
・・・・・
問16 Aは,その債権者を害することを知りながら,所有する骨董品甲をBに贈与し,その際,Bも甲の贈与がAの債権者を害することを知っていた。この事例におけるAの債権者Cによる詐害行為取消権行使に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが詐害行為取消訴訟を提起する場合,Aを被告としなければならない。
イ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Dに対し,BD間の甲の売買の取消しを請求することができる。
ウ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Bに対し,AB間の甲の贈与の取消しを請求することができる。
エ.Cによる詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力は,Aの全ての債権者に対してもその効力を有する。
オ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合において,CのDに対する詐害行為取消請求を認容する判決が確定したときは,Dは,Bに対し,代金の返還を請求することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
・・・・・
肢アですが、×です。
詐害行為取消訴訟の被告は、受益者または転得者に限定されています(424条の7)。
債務者には被告適格がありません。
肢イですが、×になります。少し表現に気をつけてください。
転得者を相手方とする詐害行為取消請求においては、債権者は、「債務者がした行為の取消し」とともに、「転得者が転得した財産の返還を請求すること」ができるとしています(424条の6②項)。
これによると、取消請求の対象は債務者がした行為であって、受益者と転得者の間でなされた行為(BD間の売買)についてではありませんね。
肢ウですが、○ですね。
詐害行為取消請求は、現物が既に転得者のもとにある場合でも、受益者を被告としてすることができます。
そして、受益者が財産を返還することが困難な場合ですから、債権者はその価額の償還を請求することになります(424条の6①項)。
肢エですが、○になります。
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有します(425条)。
肢オですが、難問ですね。結果は、×です。
肢エでも確認しましたが、転得者を相手方とする詐害行為取消請求の認容判決が確定した場合でも、A及びAの債権者に及ぶわけですが、それ以外には及ばないことになります。
したがって、当該転得者が現物返還とか価額償還をしても、前主である受益者に対してはなにも変わらないことになって、返還請求をすることができないのです。
ただし、この場合の転得者の保護からは、債務者の行為が取り消されたことで受益者が債務者に対して取得するはずの反対給付の返還請求権を転得者が一定の要件のもとで行使できることにしています。
しかし、本問ではA・B間の契約は贈与ですから、転得者DはAに対しても何ら請求できないことになります。
最後は、難しいですね。正解は、肢5でした。
では、また
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マイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。
ただし、過去1回出ています。
でも、他の国家試験受験生は、押えておきましょう。
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問16 Aは,その債権者を害することを知りながら,所有する骨董品甲をBに贈与し,その際,Bも甲の贈与がAの債権者を害することを知っていた。この事例におけるAの債権者Cによる詐害行為取消権行使に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが詐害行為取消訴訟を提起する場合,Aを被告としなければならない。
イ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Dに対し,BD間の甲の売買の取消しを請求することができる。
ウ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Bに対し,AB間の甲の贈与の取消しを請求することができる。
エ.Cによる詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力は,Aの全ての債権者に対してもその効力を有する。
オ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合において,CのDに対する詐害行為取消請求を認容する判決が確定したときは,Dは,Bに対し,代金の返還を請求することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
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肢アですが、×です。
詐害行為取消訴訟の被告は、受益者または転得者に限定されています(424条の7)。
債務者には被告適格がありません。
肢イですが、×になります。少し表現に気をつけてください。
転得者を相手方とする詐害行為取消請求においては、債権者は、「債務者がした行為の取消し」とともに、「転得者が転得した財産の返還を請求すること」ができるとしています(424条の6②項)。
これによると、取消請求の対象は債務者がした行為であって、受益者と転得者の間でなされた行為(BD間の売買)についてではありませんね。
肢ウですが、○ですね。
詐害行為取消請求は、現物が既に転得者のもとにある場合でも、受益者を被告としてすることができます。
そして、受益者が財産を返還することが困難な場合ですから、債権者はその価額の償還を請求することになります(424条の6①項)。
肢エですが、○になります。
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有します(425条)。
肢オですが、難問ですね。結果は、×です。
肢エでも確認しましたが、転得者を相手方とする詐害行為取消請求の認容判決が確定した場合でも、A及びAの債権者に及ぶわけですが、それ以外には及ばないことになります。
したがって、当該転得者が現物返還とか価額償還をしても、前主である受益者に対してはなにも変わらないことになって、返還請求をすることができないのです。
ただし、この場合の転得者の保護からは、債務者の行為が取り消されたことで受益者が債務者に対して取得するはずの反対給付の返還請求権を転得者が一定の要件のもとで行使できることにしています。
しかし、本問ではA・B間の契約は贈与ですから、転得者DはAに対しても何ら請求できないことになります。
最後は、難しいですね。正解は、肢5でした。
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