ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

K.072. ボルダロの木の葉皿

2018-12-14 | 飾り棚

幅15.4cm  Bordallo工房

 昔、風邪をこじらせてオビドスに一週間ほど滞在したことがあって、バスに乗ってひと駅のカルダス・ダ・ライーニャに温泉があると聞いて、やってきた。
 ところが温泉といっても病院温泉だった。そうとは知らずに、受付で、「風邪を引いたので温泉に入りたいのだが…」と尋ねると、「医者の処方せんがないとだめだけど、見学だけならどうぞ」と係りの女性は言ってくれた。
 ローマ風呂のような広い大浴場を想像していたのだが、中は薄暗くて、太いパイプが走り、その片隅で数人の患者がお湯の中で掛け声に合わせて体操をしているのが見えた。
 たぶんリュウマチ患者のリハビリをしていたのだろう。風邪ぐらいで来る所ではない!と、早々に退散した。

 せっかく来たのだからと、町をぶらつくと、数軒の店先の棚に奇妙な陶器が飾ってある。中でも印象的だったのが、縮めんキャベツをかたどったもの。葉脈のひとつひとつがとてもリアルに作られている。お皿や壺などがしわしわのキャベツでできていて、それはとてもシュールで独特だった。
 それがボルダロ工房の陶器だというのは、だいぶ後で知った。ボルダロは19世紀に活躍した風刺画家で、陶芸家だった。

 先日、ナザレに行く途中、カルダス・ダ・ライーニャに久しぶりに寄った。
 あんまり久しぶりなので町の様子もすっかり変わっていて、昔の閑散とした面影は全くないので戸惑った。とにかく車が多くて停める所もないので、ボルダロ工房を探すのはあきらめて、町を出ることにした。ところが道を間違えて、こんもりと木の茂る道を走っていると、偶然ボルダロ工房に出くわした。
 ボルダロの美術館は昼休みで閉まっていたので残念だったが、展示即売場でこんな食器を見つけた。
 どぎつい食器の多い中で、こんな小皿が片隅にあって、色の渋さといい、形といい、なんと控えめで和風なのだろう!
 ちょっとしたつまみを入れて、日本酒…といきたいが、ここはぐっと我慢をしてビールでもいいかな。…と2個も買ってしまった。
  MUZ 2006/11/18

©2018 MUZVIT

 

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