ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

106. 久しぶりの野の花探検

2014-03-30 | エッセイ

日本からポルトガルに帰ってきたのは3月7日の夜中だった。

12月から1月、2月と久しぶりに過した日本はとても寒かったし、雨もよく降った。大雪の被害も出た。

でもポルトガルに戻ってきた翌日3月8日は真っ青な空!

リスボンに住んでいる友達に電話をすると、「今まで雨が降り続いて、北の方は嵐で大変な天気だったのよ」という意外な答え。

とすると、私たちが帰ってきたと同時に良い天気になったのだ。

「やっぱり僕は晴れ男やな~。岡山でも、僕が大阪に帰ったとたんに大雪が降ったというし~」とビトシが鼻をひくひくうごめかせた。

そんな神通力があるようには見えまへんけど、まあ、天気が良いにこしたことはない。

 

晴れ上がった青空の下、旅行バッグの片付けもほったらかしで、野の花探索に出かけた。3ヶ月以上外してあったクルマのバッテリーを充電するためにも、走り回る必要があるのだ。

3月だと野生のランがまだ咲いているだろうし、ひょっとしたら新しいランの花に出会えるチャンスがある。

近場の山に行くことにした。

 

山の上り口は野の花もまだ種類が少なく、いつもの見慣れた花がちらほら咲いているだけ。このぶんではほとんど期待できないけど、お天気も良いし、ドライブがてらだし、いいか~。

道は上りのカーヴ続き。でも細い自転車に乗った男たちがときどき息を切らしながら必死で登って行く。服装はツールドフランスの自転車競技のプロ選手とまったく同じように、完璧に決めている。今、ポルトガルは老いも若きも自転車ブームで、土曜、日曜になると道路を二列三列になって走っている。

クルマで走りながら、時々花を見つけては停車するので、さきほど追い越したはずの自転車が現れて、私たちを追い越していく。

 

野の花はまだ咲き始めたばかりで、そんなに種類は多くないけれど、瑞々しくて新鮮だ。

特にランは美しい。3月は野の花の爆発的誕生の月だ。これから4月、5月、6月まで、野の花探検で忙しい~。

 

ベニバナセンブリはちょうど咲き始めで新鮮。学名センタウリウム・エリスラエアCentaurium_erythraea

 

岩の間に張り付くように咲くピンクのシストゥス・クレティクス。Cistus_creticus

 

小さな黄色いハリミウムHalimium_commutatum

  

草丈が10センチ余りの可憐なヒメアヤメ。イリス・シシリンチューム。Iris_sisyrinchium

 

良い香りを放つスイートアリッサム。アブラナ科、ロブラリア・マリッティマlobularia_maritima

 

潮風の吹きつける断崖を一面に覆う黄色いスイセン。ナルシス・ブルボコディーム・オベシスNarcissus_bulbocodium_obesus

 

以下は今回3月に撮影した野生のランの花です。

 

足で踏んでしまいそうな小さなラン。オフィリス・ボンビリフローラOphrys_bombyliflora

 

開花時期が意外と長く、今年も出会えたオフィリス・フスカOphrys_fusca

 

ちょうど咲き始めたミツバチラン。オフィリス・ルテアOphrys_lutea

 

草の中でピカッと光る鏡ラン。オフィリス・スペクルムOphrys_speculum

 

咲き始めですごく新鮮な、しかもめったに見ないラン。オフィリス・スフェゴデスOphrys_sphegodes

 

肉眼ではもう咲き終わってる地味なランだと思ったが、デジカメでとらえた姿は、新鮮で、まるで宇宙人のような奇妙な花。オーキス・アンソロポフォラOrchis_anthropophora

 

背丈が30センチ以上もある大型のラン。しかし腐ったような色で、とてもランとは思えない。バリラ・ロベルチアーナBarlia_robertiana

 

このランは手と足と尻尾まである。オーキス・イタリカOrchis_italica

 

山の尾根のガレ場に無数に咲いてお花畑のよう。オーキス・オルビエンシスOrchis_olbiensis

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