ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

K.012. 羊飼いの絵柄中皿 Prato Pintura Ovelheiro

2018-10-17 | 飾り棚

直径 16 cm

 セトゥーバルで毎夏開かれる「サンチャゴ祭」の陶器市で見つけた。
 サン・ペドロ村はM・インファンテ工房の絵皿。
 もう 10 年以上も使っている愛着の中皿である。

 一日の仕事を終えた羊飼いが「やれやれ」といった表情で我家にたどり着いた雰囲気が感じられる。

 皿には描かれていないが、羊飼いの後には一匹の犬が疲れきったようすで足を引きずっている姿が目に浮かぶ。
 犬に引率された数十頭の羊たちは一日中たっぷりと草を食べてもう腹いっぱい。
 「早く寝たいよう~メェ、メェ~」と騒いでいることだろう。

 私はかつてこれに描かれているのとそっくりのハンサムな羊飼いを見たことがある。
 スケッチをしながら田舎道を歩いていた時のこと。
 50 頭ほどの羊の群れを一人の羊飼いと二匹の牧羊犬が見守っていた。
 羊飼いの指笛によって牧羊犬は自由自在に動き回り、群れから落ちこぼれる羊たちを威嚇する。
 二匹の犬は羊飼いの指笛をしっかりと聞き分けて、あっちに、こっちにと忙しく走り回る。
 犬たちは使命感に燃えた目をして、嬉々として働いている。
 犬たちが羊をまとめる技は見事なものだった。

 ここに移り住んだ始めのころは、我家の前の空地にも時々コロンコロンという鈴の音と共に羊の群れが出現した。
  アトリエから遥か下に見える牧場から羊の軍団がやって来て、前の空地や道路脇の草を食べながらかなり遠くまで移動して行った。
夏の間、あたり一面枯れ野原になって牧場の草だけでは足りないのだろう。
 羊飼いと羊たち、そして犬達。
 でもこの犬たちは羊の群れに遅れまいと、のそのそとついて行くのが精一杯で、何も働いていなかったなあ。
 羊飼いは犬たちの仕事も引き受けて、一人であっちこっちと駆け回り汗だくになっていた。
 犬の躾けに失敗したのだ…きっと。MUZ


©2018 MUZVIT

 


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