ゑんぢんぶろぐ

のんきそうには見えますが頭の中は不安で一杯。あまり過大な期待と責任は負わせない方が互いにとって身の為です。いやマジで。

シリーズ「読了」

2020年10月22日 22時36分09秒 | 読書
「どこにもない短篇集」
著者:原田宗典

いつもなら「エッセイ」を読むところだが、今回は短編小説(つかショートショートだな)。17の掌編をまとめた一冊。
エッセイでの飄々とした、そしてちょっと情けない語り口調とは全く違う…著者の新しい面を見た思いがする(学生時代の話など見る限り、本来は「コッチ畑」の物書きのようだが)。

幾つか「ガツン」と来たモノを。

「ただ開いているだけの穴」
…一本目がコレだったが、この捕らえ所の無い不安やら皮肉の利いたヒネリやら淡々とかつ鮮明に語られる不可思議な状況やらまさに表題通り「どこにもない」著者独特の味わいにまんまと引き込まれた。

「削除」
…判りやすい文章で脳内にありありと浮かぶような風景描写がお見事な一本。
46ページからの凄まじいテンポアップと、まさに◯◯するような収束感への雪崩れ込みに心臓鷲掴みにされ目が離せなくなる。

「×(バツ)」
…シュールで、リアルで、何となく己の身に降りかかって来そうで…怖い。

「ミセスKの鏡台」
…上の「×」とはまた違った意味で怖い一作。コレ映像化したら面白いだろうなぁ…。

そして秀逸なミステリーにもなっている

「空白を埋めよ」
…『苦心惨憺ようやく辿り着いたゴールラインを跨いだ瞬間にそこが落とし穴だった』的な絶望感とジワジワ来る、短いながらねちっこく…リアルでいやぁな結末への導く筆力は流石である。

まとめ記事っ資料室(仮):「原田宗典」&「原田マハ」

蛇足…オレが読んだのは徳間文庫なので他の装幀は分からんが…それぞれの短編の表紙イラストがいちいち絶妙でイラストレーターの谷口広樹氏には賛辞を贈らざるを得ない。

「満足度:◎」
◎:オススメ
◯:まずまず
△:好きな人もいるかも
×:読まない方が…
※:絶版キボンヌ

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