ヤンバルに座る---たかえをまもれ!

ヘリパッド建設に反対する現地行動連絡会(高江連絡会)

環境影響評価審査会向けの取り組み/窓は開いた! 希望が見えてきた!

2015-11-01 23:07:16 | 日記
はじめに

安倍政権の違法な「執行停止」を受けて辺野古ゲート前行動を一層強化しよう!
 石井啓一国土交通相は27日、翁長知事の「辺野古埋立承認取り消し」を「不服審査」「一時執行停止」をすると決めました。この「行政不服審査法」に基づく「不服審査」は後述すように一般国民の権利を守るための制度です。にも関わらず、基地を建設し米国へ提供する主体の政府機関である防衛省沖縄防衛局が「私人」として破廉恥この上ない請求をしており、明らかに脱法行為です。何でもありの安倍政権にあっては”力は正義”というわけです。「立憲主義を根底から突き破るもので、主権在民を否定するファシズムそのものです。安倍政権の専制的手法を許してはなりません。」
 29日、工事は「再開」されました。メディアは「本体工事」着手と表現し、政府の力を誇示して「国民」(世論)に諦観を醸成するような誤った記事の書き方をしておりますが、逆に政府の焦りが一連の行動となっているのです。予想通りの展開です。辺野古取り組みの両輪のブログ「チョイさんの沖縄日記」「海鳴りの島から」を拝見しながら落ち着いて状況に対処しましょう。ですが、政権の焦りゆえの暴走には一段と対策を練って警戒を強めたゲート前での工事の阻止体制を敷かねばなりません。辺野古ゲート前早朝行動(6:00~8:30)へ結集しましょう。

1.高江活動報告
1)環境影響評価審査会向けの取り組み
高江現地行動連絡会は、10月26日宜野湾市(於カルチャーリゾートフェストーネ)で開催された沖縄県環境政策課の北部訓練場のヘリパッド工事に関する環境影響評価審査会向けに、土木施工実施及び管理面から見た意見書を作成し提出しました。
 意見書作成は早くからKtさんの提案もあって、Okさんを先頭に取り組み、事前の10月22日、両名によるそれぞれ違った意趣の2本の意見書を提出しました。意見書は情報公開による図面に基づき作成されました。意見書では、進入道路(N1ゲートからN1地区ヘリパッド建設予定地に向かう長さ2Kmほどの尾根伝いの旧林道を工事用進入路とするために整備する道路)の道路幅狭さく部と数箇所の崩落部を持つN1地区の工事計画の杜撰さによって、赤土流出の危険性が高いことや建設資材搬送時の車両切り替えし、離合のスペース、資材(砕石)等の貯留場や赤土沈殿地の必要性によって計画外の路線変更や森林伐採も行われる可能性があること、さらには森林環境や新川ダム水質汚染の可能性等々について、施工上の詳細検討も含め、指摘しています。ちなみに、この審査は去る7月31日に沖縄防衛局が公表した北部訓練場の環境影響評価の事後調査報告書に対する審査であり、その結果は知事意見に反映され、沖縄防衛局に渡されます。
 事前の話では、審査会議においては意見陳述の機会は特に設けられていないようであったが、当日は沢山の人の参集と議事への熱意により口頭での陳述時間を確保することができました。
 ちなみに当方の意見書は沖縄防衛局の「北部(H25)着陸帯移設工事の事業行為理由書」に対する疑義として、理由書記載の4施工フローを9施工フローに見直して疑義を15事項30項にまとめあげました。
理由書記載の施工フローは①草取り→②不陸整正(聖地)→③路盤材(砕石)敷き均し→④路盤材(砕石)転圧となっていましたが、施工実体を表すには大雑把に過ぎるため見直しました。
当方が見直した施工フローは①草刈り(人力)→②表土剥ぎ取り(機会)→③抜開・除根(人力・機械)→④切土・法面整形→⑤盛土・法面整形→⑥不陸整正(整地)→⑦路盤材(砕石)敷き均し→⑧路盤材(砕石)転圧→⑨法面保護(種子吹付け)
上記施工種を基に施工時の不具合、疑義について検討した。いかに疑義検討書の目次を記します。
北部(H25)着陸帯移設工事の事業行為理由書の疑義事項(目次)
施工フローについて(草刈り)/施工フローについて(切土・盛土・法面整形)/施工フローについて(土砂流出防止対策)/崩落箇所の大型土のう設置について/崩落箇所の土のうの抑止杭について/法面崩落箇所における盛土ついて/使用機械(バックホウ)について/ 路盤材搬入における運搬車輌の待機場の設置等について/ 切土の流用について/ 土砂流出防止柵について/ 地区外からの雨水の流入について/ 指定箇所以外の崩落の危険性について/ 施設基準に規定する最低貯留容量について/ 月別の裸地部対策の計画について/ 施工区域周辺の水系流域界について

Ktさんの意見書については下記ブログ記事をご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/5ed7368bfcf653c57cfdfec04e504ff3
高江、環境影響評価審査会の傍聴を!(26日・午前9時 宜野湾)---工事の中止を求める意見書を提出 2015年10月22日 | 沖縄日記 高江

審議会結果報告
10月26日審査会当日は環境影響審査会も2本の詳細かつ強烈な意見書を受けて緊張したのではないでしょうか。実際に工事をするには抜本的な設計見直しとそれに対応した施工計画策定の抜本的な対策が必要である。そうすると大規模な土木工事が必要となり環境にも多大な影響が及ぶことになります。意見発表時間も獲得し、かつ所定時間オーバーの熱弁も振るうことになって、有意義な一日であったように思います。知事への答申がどのようなものになるか分かりませんが、それに向けた論理的なインパクトは与えたのではないかと思います。勿論当方の主眼は工事中止、工事阻止であり、北部訓練場全面返還です。
 以下のブログにおいてKtさんは、「この進入道路は工事期間中だけ使われるのではなく、もしN1地区の2つのヘリパッドが完成すれば米軍車両が通行することになる。・・・・」、や、審議会において、N4地区ヘリパッドでは多数の外来植物種が見つかり、やんばるの生態系への悪影響が考えられることやオスプレイのエンジン排気熱の影響による芝生に枯死が認められたことなどが強調されています。また「当初は、今日の審査会で知事への答申案をまとめる予定だったようだが、旧林道の整備問題など、事務局が用意した答申案が不十分だということで、再度、審査会が開催されることとなった。」とのことです。
詳細は下記参照願います。
http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/7ca4d6c533f53de9a42dbe62d24a861c
北部訓練場ヘリパッド問題、県の環境影響評価審査会で口頭陳述。審査会も危機感を示す
2015年10月26日 | 沖縄日記 高江

2).連絡会活動週報(10月26日~30日
 
10月26日(月

Tokkoさんから手作りのこころあたたまる”大きな”贈り物がとどきました。ニフェーデービタン(ありがとうございました)。


PM5:00過ぎ、N4へ向かって南下すると山瓶(やまがめ)入り口前の広場でCH53がホバーリングをしながら荷物を投げ下ろしているのが目撃され、広場に向かったところ、軍用車両が中に入っていました。3機のヘリが飛び回り、兵士たちがウロウロ動いていました。やまがめ付近での空と陸の連携訓練、N4サイト付近での野営訓練と思しき状況です。昨今の国内・国外のあちらこちらでの日米共同訓練や事故のニュースに接するといやな予感がします。来年3月以降の集団的自衛権容認(強行採決を認めたわけではありませんが)を柱とする安保関連法の施行以降はおおっぴらに自衛隊との共同訓練が行われたりするのではないかと気になります。
今日は、環境影響審査会、ご苦労様でした。沢山の参加があって、冒頭、5分ずつ話す時間を獲得できたそうです。そのことが牽引となり、委員の方からも、N1の建設の困難さを指摘する発言が続いたそうです。またN4のヘリパッドが焦げていて、動植物に影響を与えている可能性もあるとの指摘もあったそうです。知事への答申に反映してほしいところです。
10月27日(火)
 
芙蓉は満開です。秋空の下、狎れた(?)手つきの工事で汗を流す心地よさ! 白いタオルがサマになってます。
昨日の環境影響審査会の報告や新聞記事から、N4地区に数々の問題があることが分かりました。一部の返還さえもしないで先行運用しておきながら、環境破壊を起こすとはもってのほかです。抗議の声を更に大きくしなければなりません。またN1地区工事についても、審査結果から推して工事中止の可能性を追求できる段階になりました。頑張って行きましょう。食器などを載せる棚づくりを開始しました。数年前にヒロジさんの作ったやんばるの風倒木を利用した素朴な木造りの棚がずいぶん傾いてしまったので、廃棄処分が惜しまれますが、今度は単管でしっかり作りました。
10月28日(水
新しい単管の棚が出来上がり、収納スペースが広がり、また座るスペースもゆとりができました。
国土交通省の取り消しおよび代執行によって、辺野古の工事が再開されそうです。方々から出来るだけ多くの方が辺野古ゲート前早朝行動に参加していただければと考えながら座り込みをしています。今日の昼食は、Kmさん手作りのウナギ味噌煮と魚汁とせっちゃんの玉子焼き、etc.でした。
10月29日(木)
今日は、I子さんの手料理、鳥汁をいただきました。東京から、高江と辺野古に掲示している大木版画の制作者がみえました。31日に辺野古でワークショップをするそうです。
早朝、辺野古では、重機を積んだトラックなど10台くらいに入られてしまったそうです。悔しくて仕方ありません。
10月30日(金

高江連絡会のフラッグができました。どこでも畳んで持ち運べるようなサイズにしました。今、環境省が進め、県が後押しする世界自然遺産登録に対する地元の運動を政治屋菅某が逆手にとって北部三村区長を懐柔し、ヘリパッド工事を一気に完成しようとしている問題を前面に出しました。この世界自然遺産登録問題については、環境省への働きかけおよびIUCN世界大会でのアピールなどの行動に取り組んでいく予定です。自然遺産を守り、後世に継ぐには米軍北部訓練場の全面返還しかないと。
早朝の辺野古、作業員や大型重機が入り、悔しい状況です。機動隊は、昨日はリーダー達を拘束、今日は若者を気絶するまで首を締め付けました。こちらは、非暴力、さらなる人数が必要です。早朝行動支援を呼びかけましよう、集まりましょう。




2.辺野古をめぐる状況 
1).最近の経過とコメント
10月13日:
翁長知事は沖縄防衛局に対して、前知事による辺野古埋め立て承認には瑕疵があったとの第三者委員会の審議結果及び地方自治法に基づき埋め立て承認を取り消し執行。
10月14日:
沖縄防衛局(防衛省)は14日に執行停止申立書と行政不服審査法に基づく審査請求を同行政府内機関である国交省に提出。
10月21日:
沖縄県は沖縄防衛局への反論となる意見書と弁明書を国土交通省に提出。意見書は950ページに及ぶ。
10月26日:
埋立て予定地に近いいわゆる「久辺三区」(辺野古、豊原、久志)の三区長を官邸に召喚し会談。席上、政府は振興費を直接支出する考えを伝えた。後述参照。
10月27日:
①石井啓一国土交通相は「審査請求の審査過程で取り消し処分を公有水面埋立法に照らして、違法だと判断した」などと自ら説明した。
②政府は米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する県の埋め立て承認取り消し処分は「違法だ」として、地方自治法に基づく代執行の手続きに入ることを全会一致で了承した。
③これを受けて石井啓一国交相は同日午前の閣議後会見で「翁長知事の違法な埋め立て承認の取り消し処分は著しく公益を害する」として、県に対し28日に是正勧告文書を郵送する考えを示した。
④さらに防衛省が知事の効力を一時停止するために提出した執行停止申立書についても「普天間飛行場の移設事業の継続が不可能、飛行場周辺住民などが被る危険性を継続するなど重大な損害が生じる」などとして、防衛省の訴えを全面的に認めることも決定した。
※沖縄県が21日に国土交通省に提出した950ページに及ぶ意見書と弁明書に対してわずかな日数でどのような審査をしたのだろう。身内同士の結論ありきの出来レースここに極まる。
10月29日:
翁長知事は、政府が地方自治法に基づいて出した承認取り消しの撤回を求める勧告については「承認取り消しは適法。勧告には応じない」と明言した。
10月30日:
①菅官房長官が在沖縄海兵隊の一部が移転する米領グァムの米軍施設を視察し、沖縄の辺野古新基地建設反対の沖縄県民挙げての民意に触れることなく、沖縄の負担軽減に取り組むことをアピール。 ※米国への隷従シグナルを発信。
グァムと沖縄の政治状況は相似形。グアムにも基地は要らない。沖縄人とグァム人のこころを踏みにじる日本国!
②政府は佐賀県へのオスプレイ訓練移転を「佐賀県側に米軍機の訓練移転への懸念が強いことから」(30日付読売新聞)断念。山口祥義佐賀県知事に対し中谷防衛相は、「佐賀県に負担が集中するような利用はまったく考えていない」(30日付琉球新報)と。
※安倍政権のあまりにも露骨なダブルスタンダード(二重基準)のこの態度!ではあるが、連綿と続く「本つ国=もとつくに」内地の「まつろわぬ民」外地に対する歴史的沖縄差別(国内植民地と排除)の一端が水面上露わになった、と言うべきか。
 「本土」メディアは安倍政権のこの現在進行形のダブルスタンダード=沖縄差別のどれだけを、どのように伝えるのでしょう? そして「本土」の人々は事の本質をどの程度に受け止めることができるでしょうか。よく言われているように国土面積の0・6%以下にすぎない県土に米軍基地(専用施設)の74%が集中している沖縄の実態は、「本土」人の嫌がる米軍基地を沖縄に集めた、国家権力による伝統的沖縄差別・植民地政策の敗戦後の結果なのです。
10月31日:
NHKニュース「名護市辺野古の警備に警視庁機動隊派遣へ」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151031/k10010289361000.html
辺野古に県外から機動隊110人派遣
※このニュースは1879年3月27日の「琉球処分」の断行を想起させる。その日、明治政府の松田道之処分官は随行員9人、内務省官員32人、武装警官160人余、熊本鎮台兵約400人をともない首里城を取り囲み、城門を封鎖して琉球王府役人に「廃藩置県」の通達を読み上げ、井上馨の「皇国の規模を拡張する措置」の建議に始まる1872年琉球国を排して琉球藩を設置して以来の琉球強制併合プロセスの最終決着に着手した。海保も県警も「国民」の安全を守るためにあるのではなく、民意の発現を押しつぶす政権の治安傭兵。

2).政府の統治手法と米国の沖縄占領統治高等弁務官
 政府のこれら一連の行為はもはや違法の範疇を超え、脱法行為そのものである。県知事の埋め立て承認取り消し処分が「違法」であるかどうかを司法裁定によるのではなく政府内で独断決定(閣議決定)し、かつ工事再開強行のため知事の効力を一時停止するための「執行停止申立書」を全面的に認める。また、知事の埋立て承認取消し処分を「違法」とすることにより「行政不服審査」法による審議はスルーする。そして、「違法」ゆえに県に対し是正勧告する、従わない場合は代執行する、という。国が地方公共団体の法定受託事務に対して代執行の手続きを取るのは初めてとなる。地方創生といいながら地方自治を破壊する。地方創生は更なる中央集権化。まさに何でもありのなりふり構わぬアクロバット政治が横行している。まるで米軍占領統治下の高等弁務官(註1)の布令・布告による暗黒政治を思わせる。
註1. たとえば難民高等弁務官というように、高等弁務官とは通常は国連から信託を受けてミッションを果たす弁務官あるいは長官(Commissioner)のことを言うが、沖縄にあっては、サンフランシスコ条約締結において、沖縄を占領している米国は戦勝国の連合国の全体合意による信託が成立するまで米軍が暫定的に沖縄を統治するという狡知を生み出した。冷戦体制になりつつあった状況下で国連における連合国の全体合意は有りえぬことを前提にした”暫定的”処置であった。高等弁務官といわれるゆえんはそこにあったのだと思うが、つまり”暫定的”は”永久的”であった。それゆえに歴代の高等弁務官は全員米軍中将の現役軍人が配され、絶大な権力を握っていた。高等弁務官は統治のための弁務官資金を有し、沖縄住民を「自治体」を越え直接的に懐柔統治するための出版物やインフラ整備に支給された。統治に好意的であるかどうかが支給の基準となった。また、不満を抱く住民を懐柔する手段として集落の道路や水道施設の整備、公民館建設などに充てられた。
高等弁務官はいわば宗主国から派遣された軍事占領下の植民地に派遣された統治官と同等の存在であった。かつて元仲井真沖縄県知事は植民地統治官代行を演じて民意を裏切って辺野古埋の埋め立てを承認したが、今や宗主国が自ら指揮棒をやみくもに振り回すようになっている。10月26日の久辺三区の区長に対する政府の行為は蛮行と言うほかない。

3)窓は開いた! 希望が見えてきた!
 仲地博沖大学長の「裁判の進行、注視を」と題する10月28日付琉球新報の記事と五十嵐敬喜法政大学名誉教授の「【識者評論】国の代執行、沖縄県に希望」と題する10月30日付沖縄タイムス記事(http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=139389)の二つ記事は行政域における闘いの展望を拓くのに示唆的なものであった。ここに要約して掲載しておきます。
仲地博沖大学長の「裁判の進行、注視を」
①そもそも国に不服申し立てをする資格があるかどうかについては強い批判があり、100人近い行政法の研究者らが「制度の乱用」で「じつに不公正で法治国家にもとる」と厳しい声明を出した。また法律雑誌にも国の対応を批判する論文が次々と掲載された。これらの強い批判が政府に影響を及ぼし、代執行という選択肢になったとみられる。
②知事の法廷受託業務の執行について、国に異議がある場合には、地方自治法に基づいて自治体に関与を行うことが法の予定するところである。その関与の中で代執行はもっとも強力な手段であり、国はそれを選択ことになる。
③知事権限を大臣が代わって行う代執行は自治の侵害が懸念されるので、地方自治法は司法の場で争い、その上で初めて代執行を可能とする制度設計にしている。
④この代執行の手続きは1999年の地方自治法改正以来初めてのケースとなる。
⑤かつて国と自治体は主従の関係だったが、現在は国と地方自治体は対等である。裁判ではそれを十分に勘案した判断が必要である。裁判がどのように進行するか国民は注視しなかればならない。
五十嵐敬喜・法政大学名誉教授「国の代執行、沖縄県に希望」(公共事業論)
国が代執行を選んださまざまな理由として考えられるもの。
①何といっても国の権威の確立と正当性の確保である。行政内部での勝利だけではいかにも姑息(こそく)であり、最終的には「最高裁判所」を巻き込んで、その力を見せつけるというのが最大である。
②代執行によって国の主体性を確保し、公有水面に関する工事の変更などについて、いちいち県の承認手続きを経ることなく一元的に処理するというようなこともあるのかもしれない。
③国の執行申し立てや裁決の取り消しに対して、その「資格」についての疑義を解消することである。
代執行は、このような申し立てを行うことができるのは違法・不当にその権利を侵害される国民だけで、国にはそのような資格がない、という争点を回避することができる。
④そして例の大田昌秀知事時代の「強制収用に対する署名拒否」事件である。国はこの例に倣い裁判になっても短期間で処理できると考えたのではないか。
これらは一見いかにも、合理的な根拠のようにも見える。しかし視点を変えるとこうなる。
 正直言って県には、行政手続きだけでは勝利がなく、公平・中立な「裁判所」が必要である。県側から国の工事を差し止めるという「民事訴訟」を提起するという手段もあるが、今回はその土俵をわざわざ国が設定してくれた。重要なことは、そこでは国が「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること」を証明しなければならないということである。この土俵の中で、県は「他の手段」、すなわち国外あるいは県内移転さらには辺野古の移設の当否、あるいは「公益」、すなわちジュゴンをはじめとする貴重な自然、沖縄県民の総意、そして、差別された沖縄の歴史の総体のすべてを争点とすることができ、しかもこれが国内だけでなく世界中の人々に発信できるのである。
 「窓は開いた」。希望が見えてきたのである。

※日米安保の公益性?を問い、廃棄世論の興隆を考え、自己決定(民主主義獲得)のプロセスと自治の展望を考える道程になる。行政枠での闘いに呼応して直接行動の現場での大衆運動も力強く前進しなければならない。それらを推進する母体を創出しなければならない。

参考紹介:
『辺野古埋め立て「撤回、法的に可能」識者、県に意見書』2015年5月2日付琉球新報(Video有り。約25分。意見書内容について説明)
http://ryukyushimpo.jp/movie/prentry-242484.html
「 沖縄県内の弁護士や行政法研究者らでつくる「撤回問題法的検討会」は1日、県海岸防災課を訪れ、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題に関し、仲井真弘多前知事による埋め立て承認は法的に撤回可能だとの見解をまとめた意見書を提出した。検討会は「(承認を検証する県の)第三者委員会の検証結果が出る前に、撤回することも法的に可能だ」と主張した。・・・」

むすび
 辺野古キャンプシュワブの新基地建設を巡る日本国の行為は、沖縄とその民衆に対する陵辱であると言わずして何という。他国の、そして自国による陵辱を見て見ぬふりする者らの黙背の視線の先に立ち上る「無関心」を待ち構え集権化する国家の暴力にさらされるのは今が初めてではない。ずーっとだ! 戦後ゼロ年の70年、日本「復帰」後ゼロ年の43年、いや、”いま”を現出している歴史はさらにさかのぼる。<歴史的現在>の認識はいやがうえにも確かなものとなり、現在に在ることの絶望の淵は深く暗い。それゆえ沖縄には「本土」でいう「戦後世代」は存在しない。シランフーナー(知ってても知らない振りする風情)を装うことのできる者らにこの淵の暗さは分かるまい。戦前も、戦後も、「復帰」後も、それぞれの時代のトーンはあるが、統合と同化の閉ざされた円環の植民地的状況の中であえぐ実存は、それゆえに絶えず矛盾を抱えつつた歪んだ情況を生きざるを得ない。そういう者らとの<関係>を如何に創出するか、過去と未来をつなぐ<今の場>で<現在>に生きる人びとが自己に他者を取り込み、自身に投影しつつそれぞれの当事者性を交叉し考えねばならない。考える存在があること、それが希望だ。


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