高倉動物病院のブログです

高倉動物病院の院長の近況、感じたこと、飼い主様向けのメッセージなどを掲載していきます。

チビトラ入院

2023-11-04 11:57:23 | 近況

11月なのに日中半袖で動け、小夏日和なんて新聞記事には書かれていました。流石に朝晩は肌寒い気候ですが、日中25度前後の気候は11月とは思えない気候です。やはりどんどん急速に温暖化になってきているのでしょうか。

犬の鼠径ヘルニアはそうそう珍しい症例ではなく、経過さえ悪くなければ一泊入院ぐらいで退院できる手術です。残念ながら、チビトラほぼ十年ほど前にある近隣の病院でこの鼠径ヘルニアの手術を受けたのですが、経過悪く2度も手術することに。でも完治せず、十年近くこの鼠径ヘルニアと付き合っていました。鼠径輪からの突出する腸間膜は徐々に多くなり下腹部皮下には鶏卵大の膨隆ができてしまいました。この中は、多分腹膜(腸間膜?)と結腸が出てきたと思われます。一日何回となく押し込んで戻さないでおくと、結腸の💩が硬くなり戻らなくなったら大変。腸は壊死してしまいます。数時間に一回は押し込んでいました。特に朝起き掛けの時が一番大事。この時にしっかり押しこんでおくと、その後1日は心配なし。スムーズに戻ってました。ところが、ある日それが戻らなくなり、丸一日ボッコリ下腹部が膨らんだままになり、とうとう、腸が悲鳴あげて分泌物過多で、肛門からはお小水様の失禁勃発。パンツは濡れ、ベットのシーツもお漏らしでびしょびしょ。女性が使うパットを当てたぐらいでは吸収できず、とうとうオムツを履いて、防衛医大病院に急行。2時間も待たされやっと私の番。一目見て、あまりの大きさにびっくり。でも流石、「ちょっとそこに横になってください。ちょっと痛いかもしれませんよ。」とおもっきり上から、ギュッとしたら、スポッとお腹の中にストン。私はてっきり緊急手術かなと思って覚悟していたので、びっくり。自宅では、何度押し戻そうと頑張っても戻らなかっただけに、安堵、安堵!念のためにレントゲンを撮りましょう。

消化器内科だから、今日修復手術の予約もできるかなと思っておりましたら、人間の病院は全てが分業。鼠径ヘルニアはヘルニア外来。我々獣医は外科で一括りです。勿論、眼科外科や脳外科、心臓外科などは、症例数をこなしている専門医に依頼しますが、鼠径ヘルニアの専門医はいません。私を執刀してくれた先生は、病院内外では評判の良い先生らしく、来年2月まで手術予定がびっしり。不思議と私が獣医師と知って、まだ診療していることを聞くと「救急外来」の枠でなんとか考えますとのこと。いつになるか不安で自宅で待機していると、突然電話があり、何日何時に入院し、翌日手術ですと連絡。そして、無事手術が終わり、今日に至っております。術後4日目で退院。大した痛みもなく、流石です。

 

右目の穿孔創起因性視力喪失、左翼外傷で保護。自然復帰は難しそう。生涯人間が保護しなければならないようだが、埼玉県ではこのような野生動物を保護する条例はなし。ボランティアに任せるか、死ぬことも承知で森に離すかどちらかを選択しなさい、とのこと。埼玉県の財政が厳しいのか、近年野生動物保護行政は後退しています。獣医師会の方針も追従なのか。極論言えば、野生に復帰できない動物は、保護するなということですね。残念です。

 

 

 

 

 

 


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