Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

JRの安全対策に東西格差

2005-05-07 17:16:25 | 国内
事故直後NHKは、JR東日本とJR西日本における新型ATS設置比率には大きな格差があることを報じていた。極めて興味深いデータだったので続報を期待していたが、今日(2005年5月7日)に至るまで続報にはお目に掛れなかった。あまりの大惨事だったので、記者はみな事故現場に張りついていたのかもしれない。

JR西日本における弛み切った職場の状態を暴露したりすることも必要かもしれないが、今回の事故原因のうちの本質となる問題の多くは、JR西日本の経営中枢にメスを入れることにより浮かびあがってくるのではなかろうか。

そういう意味では、JR東日本とJR西日本におけるコスト構造の違いを分析する必要性が感ぜられる。私は東京と大阪のJRを頻繁に利用しているが、そうした者のひとりとして、「どうして違うの?」という日頃しばしば疑問に感ぜられるひとつひとつのことが、あの事故の原因と繋がっているともいえよう。


毎日新聞
尼崎脱線事故: 新型ATS JR西設置費01年度から激減
2005年5月7日 15時00分

 JR西日本の新型ATS(自動列車停止装置)設置工事費が01年度から激減する一方で、同社の経常利益が増え続けていることが、分かった。新型ATS設置率は8%にとどまっており、107人が死亡した尼崎脱線事故の現場も未整備だった。
 業務上過失致死傷容疑で捜査を進めている兵庫県警尼崎東署捜査本部は、同社の安全対策の実態解明が欠かせないと判断。新型ATS設置計画にかかわる部門の聴取なども視野に入れている。

 また、捜査本部は同社が02年に京都駅と出雲市駅であった事故で国土交通省航空・鉄道事故調査委員会がまとめた報告書で「定時運行の意識が生んだ焦り」を指摘されながら、03年12月に電車のスピードアップを招くダイヤ改正を行ったことを重視。事故調の指摘について報告を受けていた同社役員からの聴取についても検討を始めた。

 新型ATSは定められた場所の速度超過に反応して自動的にブレーキが作動する。JR東日本は東京駅から100キロ圏の高密度線区すべてに導入。JR西日本では阪和線から整備が始まり、90~02年に大阪環状線、大和路線(関西線)などで実施されたが、福知山線の設置決定は同社では最も遅い03年9月だった。

 全体の整備率も1けたで、JR東日本が在来線の一部で導入している自動列車制御装置も山陽新幹線にしかなく、新型ATSと自動列車制御装置を合わせた設置率もJR東日本の約30%に対し、19.9%にとどまっている。

 JR西日本の新型ATS設置工事費は、98年度~00年度は21億円~16億円と10億円以上で推移していたが、01年度に2億円に減少。その後も▽02年度3億円▽03年度1億円▽04年度5億円と推移。一方で、経常利益は▽00年度434億円▽01年度は540億円と順調で、昨年度は743億円を記録し5年連続で増益となっている。

 福知山線では、新型ATSの設置が進められていた。同社は「持てる力の中では今しかなかった」としている。設備投資額の激減については、「車両側の受信機を先にまとめて整備したので初期工事費が高くなっている。線路側の整備は通常の運行の合間に行うために時間がかかった」と釈明している。

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