NHKの人気番組「プロジェクトX」は、ほとんど欠かさず見ている。5月10日放送の「ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌」も見た。だが、「もはや、マンネリなんだな」というのが、率直な感想であった。
これは淀川工業高校のコーラスを扱った内容だったが、高校教育を扱ったものとしては、伏見工業高校のラグビーを扱った 「ツッパリ生徒と泣き虫先生」のほうがずっとよかったと思う。
淀川工業高校のほうは伏見工業高校のケースの筋書の二番煎じで、コーラスを指導する教師の描き方に、筋を展開していく上での欠陥があると感じられた。なぜコーラスを選んだのかという点で、その教師の育ちなどといった背景との繋がりが薄かった。そういうことが絡んで、最後までリアリティーが感じられなかった。
合唱コンクールなどの場合、彗星のごとく突然現われ、好成績を残すということはしばしばあり得ることではなかろうか。それでは、そういうものの一例を、なぜ「プロジェクトX」で取り上げるのかといえば、その背後に他にはあり得ない強烈なドラマ性があるからだろう。その点で、「ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌」はドラマ性が希薄過ぎた。おそらく、NHKのディレクターもそう感じたのだろう。それでフィクション紛いのことをしたのではなかろうか。(下に掲げた新聞記事参照)
伏見工業高校のラグビーの場合、指導者の山口良治が、かつて名ラガーとして活躍し、日本代表でもあった名選手だったということが大きかった。ともかく、山口良治といえば、プロジェクトXに取り上げられなくても話題騒然といった大人物である。つまり、あのとき、プロジェクトXが描いていたものは、山口良治という人物の人生そのものだったのだ。
NHKの「プロジェクトX」に涙していては、日本は21世紀を生き抜いていくことはできないだろう。誤解のないようにいうなら、私たち70歳に手が届こうという年齢層には、「プロジェクトX」を見てある種の感慨に酔い痴れ、思う存分涙することが許されるだろうと思う。なぜなら、これらはすべて自分たち自身がやってきたことだからだ。NHKとして問題にしなければならないのは、プロジェクトXの時代を知らない若い人々が、「プロジェクトX」を見てどう感じているかということだ。
今年3月8日放送されたこの「ツッパリ生徒と泣き虫先生」以降放送された番組は、日立金属の「たたら製鉄」、東京都道路局の「首都高速道路」、重機工業の「工業ミシン」、理想工業の「リソグラフ印刷機」、五洋建設の「スエズ運河拡張」、大成建設の「ホテルニューオオタニ」、沖縄の「公衆衛生看護婦」だが、いずれも、背後にあるドラマ性が不十分と感じられた。もちろん、ドラマ性の描き方が足りないというのではなく、それぞれの実話段階において既にドラマ性が欠けているのだ。
実話そのものに実際にドラマ性が欠けているのかもしれない。あるいは、取材における掘り下げ方が足りず、実話の中に潜んでいる予想外のドラマ性を見出していないのかもしれない。いずれにせよ、もはやNHKの「プロジェクトX」は種切れとなっているのではなかろうか。制作スタッフにも疲労感が漂っているのが伝わってくる。
日刊スポーツ
NHK「プロジェクトX」で過剰演出
2005年5月24日 07:50
5月10日に放送されたNHKの「プロジェクトX 挑戦者たち」で、事実とは異なる内容が放送されていたことが23日、分かった。番組は、大阪府立淀川工業高校(大阪市旭区)の合唱部が全国で金賞を取るまでを描いたが、高校側は毎年80人の退学者を出す荒れに荒れた学校などの表現が事実と違うとして、訂正と謝罪を求めている。NHKはプロジェクトXのホームページから、この放送を削除した。
問題となっているのは、「大阪府守口市、電気部品の下請けの小さな鉄工所が並ぶ」「この街から日本一の歌声が生まれた」というナレーションとともに始まった10日放送の「ファイト! 町工場に捧(ささ)げる日本一の歌」。多数の退学者が出るなど荒れていた淀川工に1979年、赴任した新米教師が「歌で生徒を変えたい」と1人で合唱部を作り、苦労の末、87年に全国コンクールで金賞を受賞するまでの日々を追う感動物語だった。
番組では「当時の同校は荒れに荒れていた」「毎年80人の退学者が出た」、初めて挑んだ合唱コンクールでは「舞台で暴れられたら困る」と会場にパトカーがやってきたなどと紹介。「荒れた学校」を強調した。放送後、同校には複数のOBから「当時、そこまで荒れた学校ではなく、すでに落ち着いていた」とする苦情があったという。
同校の長谷川耕三校長(58)はこの日、同校で記者会見し「卒業生らに迷惑をかけ、心苦しく申し訳ない気持ちでいっぱい」と話し、放送内容には事実誤認があるとして、謝罪や再放送の取りやめなどをNHKに申し入れていることを明らかにした。79年当時の退学者は71人だったという。
長谷川校長は「パトカーの件は、取材を受けた合唱部の顧問が当時、連盟の関係者の誰かが冗談で『淀工が来るならパトカーを』という話をしただけ」と説明。合唱部は新人教師が1人でつくったものではなく、「生徒に活力を与えるため」学校全体で取り組んだものだとしている。
また、顧問教諭が放送前に編集映像を見ると、暴走族の映像が入っており、淀川工の生徒であるかのような印象を受けたため「事実と違う」とディレクターに話したが「一般的な映像として入れており、もう編集は間に合わない」と言われたという。
「プロジェクトX」は17日に日本PTA全国協議会が発表した「子どもに見せたい番組」で1位となったNHKの看板番組。かつて荒れる学校を部活動を通じ立ち直らせるという同じテーマで京都・伏見工業高校ラグビー部を取り上げ、話題を呼んだ。
毎日新聞
プロジェクトX: 「事実確認不十分だった」とNHK謝罪
2005年5月28日19時48分
NHKは28日の番組「土曜スタジオパーク」の中で、今月10日放送の「プロジェクトX」について「取材の事実確認が不十分な点があり、制作者側の思い込みが強すぎた面もあった」と述べ、改めて謝罪した。
問題の番組は、大阪府立淀川工業高校合唱部の活動を扱ったが、放送後に学校関係者から「事実と異なる点がある」と抗議が寄せられた。
経済社会情報番組部の黒木隆男部長は、イメージ映像に暴走族の資料映像を使った▽退学者が年間80人だったとした▽「合唱コンクールに警察官が来た」とした▽「求人はなかった」とした――点について誤りや不適切だったことを認めた。【丸山進】
日刊スポーツ
NHK番組内で「プロジェクトX」謝罪
2005年05月29日
NHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」が事実と異なる放送をしたと大阪府立淀川工業高校(大阪市旭区)が指摘していた問題で、NHKは28日放送の総合テレビ「土曜スタジオパーク あなたの声に答えます」の中で、問題の経緯を説明し謝罪した。
「プロジェクトX」を担当した番組制作局の部長が生出演。退学者数に関し裏付けのない数字を使うなど、事実確認が不十分だったり、誤解を招く表現があったことなどを認めた。その上で「関係者の皆さまには、ご迷惑をお掛けして申し訳ない。問題を重く受け止め、視聴者の期待に応える番組づくりに取り組んでいきます」と述べた。
NHKは淀川工業高校に対しても、文書で謝罪している。
これは淀川工業高校のコーラスを扱った内容だったが、高校教育を扱ったものとしては、伏見工業高校のラグビーを扱った 「ツッパリ生徒と泣き虫先生」のほうがずっとよかったと思う。
淀川工業高校のほうは伏見工業高校のケースの筋書の二番煎じで、コーラスを指導する教師の描き方に、筋を展開していく上での欠陥があると感じられた。なぜコーラスを選んだのかという点で、その教師の育ちなどといった背景との繋がりが薄かった。そういうことが絡んで、最後までリアリティーが感じられなかった。
合唱コンクールなどの場合、彗星のごとく突然現われ、好成績を残すということはしばしばあり得ることではなかろうか。それでは、そういうものの一例を、なぜ「プロジェクトX」で取り上げるのかといえば、その背後に他にはあり得ない強烈なドラマ性があるからだろう。その点で、「ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌」はドラマ性が希薄過ぎた。おそらく、NHKのディレクターもそう感じたのだろう。それでフィクション紛いのことをしたのではなかろうか。(下に掲げた新聞記事参照)
伏見工業高校のラグビーの場合、指導者の山口良治が、かつて名ラガーとして活躍し、日本代表でもあった名選手だったということが大きかった。ともかく、山口良治といえば、プロジェクトXに取り上げられなくても話題騒然といった大人物である。つまり、あのとき、プロジェクトXが描いていたものは、山口良治という人物の人生そのものだったのだ。
NHKの「プロジェクトX」に涙していては、日本は21世紀を生き抜いていくことはできないだろう。誤解のないようにいうなら、私たち70歳に手が届こうという年齢層には、「プロジェクトX」を見てある種の感慨に酔い痴れ、思う存分涙することが許されるだろうと思う。なぜなら、これらはすべて自分たち自身がやってきたことだからだ。NHKとして問題にしなければならないのは、プロジェクトXの時代を知らない若い人々が、「プロジェクトX」を見てどう感じているかということだ。
今年3月8日放送されたこの「ツッパリ生徒と泣き虫先生」以降放送された番組は、日立金属の「たたら製鉄」、東京都道路局の「首都高速道路」、重機工業の「工業ミシン」、理想工業の「リソグラフ印刷機」、五洋建設の「スエズ運河拡張」、大成建設の「ホテルニューオオタニ」、沖縄の「公衆衛生看護婦」だが、いずれも、背後にあるドラマ性が不十分と感じられた。もちろん、ドラマ性の描き方が足りないというのではなく、それぞれの実話段階において既にドラマ性が欠けているのだ。
実話そのものに実際にドラマ性が欠けているのかもしれない。あるいは、取材における掘り下げ方が足りず、実話の中に潜んでいる予想外のドラマ性を見出していないのかもしれない。いずれにせよ、もはやNHKの「プロジェクトX」は種切れとなっているのではなかろうか。制作スタッフにも疲労感が漂っているのが伝わってくる。
日刊スポーツ
NHK「プロジェクトX」で過剰演出
2005年5月24日 07:50
5月10日に放送されたNHKの「プロジェクトX 挑戦者たち」で、事実とは異なる内容が放送されていたことが23日、分かった。番組は、大阪府立淀川工業高校(大阪市旭区)の合唱部が全国で金賞を取るまでを描いたが、高校側は毎年80人の退学者を出す荒れに荒れた学校などの表現が事実と違うとして、訂正と謝罪を求めている。NHKはプロジェクトXのホームページから、この放送を削除した。
問題となっているのは、「大阪府守口市、電気部品の下請けの小さな鉄工所が並ぶ」「この街から日本一の歌声が生まれた」というナレーションとともに始まった10日放送の「ファイト! 町工場に捧(ささ)げる日本一の歌」。多数の退学者が出るなど荒れていた淀川工に1979年、赴任した新米教師が「歌で生徒を変えたい」と1人で合唱部を作り、苦労の末、87年に全国コンクールで金賞を受賞するまでの日々を追う感動物語だった。
番組では「当時の同校は荒れに荒れていた」「毎年80人の退学者が出た」、初めて挑んだ合唱コンクールでは「舞台で暴れられたら困る」と会場にパトカーがやってきたなどと紹介。「荒れた学校」を強調した。放送後、同校には複数のOBから「当時、そこまで荒れた学校ではなく、すでに落ち着いていた」とする苦情があったという。
同校の長谷川耕三校長(58)はこの日、同校で記者会見し「卒業生らに迷惑をかけ、心苦しく申し訳ない気持ちでいっぱい」と話し、放送内容には事実誤認があるとして、謝罪や再放送の取りやめなどをNHKに申し入れていることを明らかにした。79年当時の退学者は71人だったという。
長谷川校長は「パトカーの件は、取材を受けた合唱部の顧問が当時、連盟の関係者の誰かが冗談で『淀工が来るならパトカーを』という話をしただけ」と説明。合唱部は新人教師が1人でつくったものではなく、「生徒に活力を与えるため」学校全体で取り組んだものだとしている。
また、顧問教諭が放送前に編集映像を見ると、暴走族の映像が入っており、淀川工の生徒であるかのような印象を受けたため「事実と違う」とディレクターに話したが「一般的な映像として入れており、もう編集は間に合わない」と言われたという。
「プロジェクトX」は17日に日本PTA全国協議会が発表した「子どもに見せたい番組」で1位となったNHKの看板番組。かつて荒れる学校を部活動を通じ立ち直らせるという同じテーマで京都・伏見工業高校ラグビー部を取り上げ、話題を呼んだ。
毎日新聞
プロジェクトX: 「事実確認不十分だった」とNHK謝罪
2005年5月28日19時48分
NHKは28日の番組「土曜スタジオパーク」の中で、今月10日放送の「プロジェクトX」について「取材の事実確認が不十分な点があり、制作者側の思い込みが強すぎた面もあった」と述べ、改めて謝罪した。
問題の番組は、大阪府立淀川工業高校合唱部の活動を扱ったが、放送後に学校関係者から「事実と異なる点がある」と抗議が寄せられた。
経済社会情報番組部の黒木隆男部長は、イメージ映像に暴走族の資料映像を使った▽退学者が年間80人だったとした▽「合唱コンクールに警察官が来た」とした▽「求人はなかった」とした――点について誤りや不適切だったことを認めた。【丸山進】
日刊スポーツ
NHK番組内で「プロジェクトX」謝罪
2005年05月29日
NHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」が事実と異なる放送をしたと大阪府立淀川工業高校(大阪市旭区)が指摘していた問題で、NHKは28日放送の総合テレビ「土曜スタジオパーク あなたの声に答えます」の中で、問題の経緯を説明し謝罪した。
「プロジェクトX」を担当した番組制作局の部長が生出演。退学者数に関し裏付けのない数字を使うなど、事実確認が不十分だったり、誤解を招く表現があったことなどを認めた。その上で「関係者の皆さまには、ご迷惑をお掛けして申し訳ない。問題を重く受け止め、視聴者の期待に応える番組づくりに取り組んでいきます」と述べた。
NHKは淀川工業高校に対しても、文書で謝罪している。
しかし、投資家に流布されているニュースは、太陽電池、ボンド磁石、チタンと特殊鋼に関係ないものものばっかりで特殊鋼専業らしいものは見当たらない。しかも単なる特殊鋼メーカーとして見ると日立金属のほうが最大級なのだ。これも詐欺だと思うが誰が謝罪するのだろうか?
http://www.nikkan.co.jp/子p/prize/priz05000.html