Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

朝日「記事捏造問題」はどうなったのか?

2005-05-16 20:40:53 | 国内
先日、朝日新聞の若い配達員が、「そろそろ朝日新聞、またとってくれませんか」と声を掛けてきた。

そういえば、今回の朝日による記事捏造問題では、朝日側がとった態度の悪さに驚き、すっかり印象を悪くした。こういう恥知らずのやり方をする新聞は到底購読を続けるわけにはいかないと思い、1月下旬以降、月極め購読をやめていたのだった。

NHKが制作途中の番組を改編したかどうかは別の問題だ。NHKは強烈な権力志向を発散していたあの海老沢勝二が会長をしていた公共放送なのだから、あるいは、政権与党に尾を振るような番組改編などのことがあったかもしれない。だが、そのことはまた別の問題である。

その後、安倍晋三氏と中川昭氏には、NHKに対して圧力を掛けた事実がないことが明らかにされた。もっとも、両氏の言葉だけでは潔白が照明されたとはいえないかもしれない。だが、一般国民が受けた心証では安倍氏も中川氏もともにほぼ潔白と感じられた。

従って、問題の記事は誤報であったか、あるいは捏造であったわけである。そればかりか、記事を書いた本田雅和記者(朝日新聞社会部副部長)は、かなり思い込みの多い、杜撰な取材をしていたことも明るみに出てきた。加えて、記者会見をしたNHKの元局長に対し、本田記者が「話し合いをしたい」と密かに申し入れてきた事実も明るみに出た。こんな不可解な行動が明らかにされたのでは、朝日にはもう勝ち目はないだろうと思われた。

安倍、中川両氏は、朝日に記事の訂正と謝罪を要求した。もし朝日が両氏に反論するなら、第三者にも納得できるしっかりした証拠の提示が必要である。朝日はそれを拒否し、取材源の守秘を理由として「だんまり」を決め込んでいる。朝日のそういうやり方は、暴力団員が仲間をかばうために黙秘するのと何ら変るところがない。

私の家系は、祖父以来3代続けて朝日の愛読者であった。また、私は過去半世紀以上朝日の愛読者であったことを誇りとしてきた。昭和初期に朝日で花形記者として活躍した縁戚の者もいた。そういう立派な先達が私の縁戚にもいたことを、私は密かな誇りとしてきた。だが、このところ、朝日の偏向記事には正直いって辟易していた。朝日はもはやイデオロギーを唱えるだけの新聞になり果てたのか。

朝日はそのイデオロギーから、安倍、中川両氏の政治的抹殺を狙ったのか。そのために、わざと際どい記事を流すという、「暴力団の拳銃」紛いの禁じ手、「捏造記事」という紙の弾丸を発射したのか。この冒頭で私が「朝日は態度が悪い」といったのは、つまりは、こういうことであったのだ。

今回、「asahi.com」で改めて問題の記事を調べてみたら、2005年1月12日当時の記事に改変されている箇所が見つかった。

まず見出しが、「NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」 幹部呼び指摘」から「中川昭・安倍氏「内容偏り」指摘 NHK「慰安婦」番組改変」と変っていた。「(NHKの)幹部呼び」は取り消したらしい。

また、NHK番組制作局長(当時)の発言から、「番組が短くなったらミニ番組で埋めるように」という箇所が削除されていた。これは本田雅和記者の取材が杜撰であったことを認めたことか。

末尾の「憲法21条」と「放送法3条」の引用も消えていた。泥仕合の中で、「言論の自由」など、いまやどうでもいいのか。


朝日新聞(asahi.com) 2005年1月12日当時の記事の姿
NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」 幹部呼び指摘
2005年1月12日 08:52

 01年1月、旧日本軍慰安婦制度の責任者を裁く民衆法廷を扱ったNHKの特集番組で、中川昭一・現経産相、安倍晋三・現自民党幹事長代理が放送前日にNHK幹部を呼んで「偏った内容だ」などと指摘していたことが分かった。NHKはその後、番組内容を変えて放送していた。番組制作にあたった現場責任者が昨年末、NHKの内部告発窓口である「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に「政治介入を許した」と訴え、調査を求めている。

 今回の事態は、番組編集についての外部からの干渉を排した放送法上、問題となる可能性がある。

 この番組は「戦争をどう裁くか」4回シリーズの第2回として、01年1月30日夜に教育テレビで放送された「問われる戦時性暴力」。00年12月に東京で市民団体が開いた「女性国際戦犯法廷」を素材に企画された。

 ところが01年1月半ば以降、番組内容の一部を知った右翼団体などがNHKに放送中止を求め始めた。番組関係者によると、局内では「より客観的な内容にする作業」が進められた。放送2日前の1月28日夜には44分の番組が完成、教養番組部長が承認したという。

 翌29日午後、当時の松尾武・放送総局長(現NHK出版社長)、国会対策担当の野島直樹・担当局長(現理事)らNHK幹部が、中川、安倍両氏に呼ばれ、議員会館などでそれぞれ面会した。

 中川氏は当時、慰安婦問題などの教科書記述を調べる研究会「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表、官房副長官でもあった安倍氏は同会元事務局長だった。

 関係者によると、番組内容の一部を事前に知った両議員は「一方的な放送はするな」「公平で客観的な番組にするように」と求め、中川氏はやりとりの中で「それができないならやめてしまえ」などと放送中止を求める発言もしたという。NHK幹部の一人は「教養番組で事前に呼び出されたのは初めて。圧力と感じた」と話す。

 同日夕、NHKの番組制作局長(当時)が「(国会でNHK予算が審議される)この時期に政治とは闘えない。番組が短くなったらミニ番組で埋めるように」などと伝えて番組内容の変更を指示したと関係者は証言。松尾、野島両氏も参加して「異例の局長試写」が行われた。

 試写後、松尾氏らは(1)民衆法廷に批判的立場の専門家のインタビュー部分を増やす(2)「日本兵による強姦や慰安婦制度は『人道に対する罪』にあたり、天皇に責任がある」とした民衆法廷の結論部分などを大幅にカットすることを求めた。さらに放送当日夕には中国人元慰安婦の証言などのカットを指示。番組は40分の短縮版が放送された。

 このいきさつを巡り、NHKで内部告発をしたのは、当時、同番組の担当デスクだった番組制作局のチーフ・プロデューサー。番組改変指示は、中川、安倍両議員の意向を受けたものだったと当時の上司から聞き、「放送内容への政治介入だ」と訴えている。

 一方、中川氏は朝日新聞社の取材に対し、NHK幹部と面談したことを認めた上で「疑似裁判をやるのは勝手だが、それを公共放送がやるのは放送法上公正ではなく、当然のことを言った」と説明。「やめてしまえ」という言葉も「NHK側があれこれ直すと説明し、それでもやるというから『だめだ』と言った。まあそういう(放送中止の)意味だ」と語った。

 安倍氏は「偏った報道と知り、NHKから話を聞いた。中立的な立場で報道されねばならず、反対側の意見も紹介しなければならないし、時間的配分も中立性が必要だと言った。国会議員として言うべき意見を言った。政治的圧力をかけたこととは違う」としている。

 番組内容を事前に知った経緯について両議員は「仲間から伝わってきた」などとし、具体的には明らかにしていない。

 NHK広報局は「(内部告発に関しては)守秘義務がありコメントできない。番組は、NHKの編集責任者が自主的な判断に基づいて編集したものだ」としている。

 〈憲法21条〉 (1)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。(2)検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 〈放送法3条〉 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない。



朝日新聞(asahik.com) 2005年5月17日現在の記事の姿

中川昭・安倍氏「内容偏り」指摘 NHK「慰安婦」番組改変
2005年01月12日

 01年1月、旧日本軍慰安婦制度の責任者を裁く民衆法廷を扱ったNHKの特集番組で、中川昭一・現経産相、安倍晋三・現自民党幹事長代理が放送前日にNHK幹部を呼んで「偏った内容だ」などと指摘していたことが分かった。NHKはその後、番組内容を変えて放送していた。番組制作にあたった現場責任者が昨年末、NHKの内部告発窓口である「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に「政治介入を許した」と訴え、調査を求めている。

 今回の事態は、番組編集についての外部からの干渉を排した放送法上、問題となる可能性がある。

 番組は「戦争をどう裁くか」4回シリーズの第2回として、01年1月30日夜に教育テレビで放送された「問われる戦時性暴力」。00年12月に東京で市民団体が開いた「女性国際戦犯法廷」を素材に企画された。

 ところが01年1月半ば以降、番組内容の一部を知った右翼団体などがNHKに放送中止を求め始めた。番組関係者によると、局内では「より客観的な内容にする作業」が進められた。放送2日前の1月28日夜には44分の番組が完成、教養番組部長が承認したという。

 翌29日午後、当時の松尾武・放送総局長(現NHK出版社長)、国会対策担当の野島直樹・担当局長(現理事)らNHK幹部が、中川、安倍両氏に呼ばれ、議員会館などでそれぞれ面会した。

 中川氏は当時、慰安婦問題などの教科書記述を調べる研究会「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表、官房副長官でもあった安倍氏は同会元事務局長だった。

 関係者によると、番組内容の一部を事前に知った両議員は「一方的な放送はするな」「公平で客観的な番組にするように」と求め、中川氏はやりとりの中で「それができないならやめてしまえ」などと放送中止を求める発言もしたという。NHK幹部の一人は「教養番組で事前に呼び出されたのは初めて。圧力と感じた」と話す。

 同日夕、NHKの番組制作局長(当時)が「(国会でNHK予算が審議される)この時期に政治とは闘えない」などと伝えて番組内容の変更を指示したと関係者は証言。松尾、野島両氏も参加して「異例の局長試写」が行われた。

 試写後、松尾氏らは(1)民衆法廷に批判的立場の専門家のインタビュー部分を増やす(2)「日本兵による強姦(ごうかん)や慰安婦制度は『人道に対する罪』にあたり、天皇に責任がある」とした民衆法廷の結論部分などを大幅にカットすることを求めた。さらに放送当日夕には中国人元慰安婦の証言などのカットを指示。番組は40分の短縮版が放送された。

 NHKで内部告発をしたのは、当時、同番組の担当デスクだった番組制作局のチーフ・プロデューサー。番組改変指示は、中川、安倍両議員の意向を受けたものだったと当時の上司から聞き、「放送内容への政治介入だ」と訴えている。

 一方、中川氏は朝日新聞社の取材に対し、NHK幹部と面談したことを認めた上で「疑似裁判をやるのは勝手だが、それを公共放送がやるのは放送法上公正ではなく、当然のことを言った」と説明。「やめてしまえ」という言葉も「NHK側があれこれ直すと説明し、それでもやるというから『だめだ』と言った。まあそういう(放送中止の)意味だ」と語った。

 安倍氏は「偏った報道と知り、NHKから話を聞いた。中立的な立場で報道されねばならず、反対側の意見も紹介しなければならないし、時間的配分も中立性が必要だと言った。国会議員として言うべき意見を言った。政治的圧力をかけたこととは違う」としている。

 番組内容を事前に知った経緯について両議員は「仲間から伝わってきた」などとし、具体的には明らかにしていない。

 NHK広報局は「(内部告発に関しては)守秘義務がありコメントできない。番組は、NHKの編集責任者が自主的な判断に基づいて編集したものだ」としている。

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