Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

英紙、日本の現況を論評

2005-05-30 09:22:18 | 国際
平生、私は英紙フィナンシャル・タイムスに目を通すことは少ない。だが、昨日(2005年5月29日)の中央日報にフィナンシャル・タイムスの日本に関する論評が紹介されていたので、久し振りにその原文「A Sorry State」を読んでみようという気持になった。

この原文「A Sorry State」は長文で、ここにコピーすると1エントリー1万文字の制限を超えてしまう。そのため次のリンクを付けておくことにする。

A Sorry State


イギリスのジャーナリストが書いたこの論評の結論となるのは次の箇所であろう。

Denial, then, is not the whole story in Japan. And neither is the lack of official remorse. The problem is that history was politicised from the moment the American victors chose to remake Japan in their own image. This turned out to be successful in many respects: Japan has a flawed but functioning democracy; militarism is pretty much dead; and most Japanese lead secure, prosperous lives. But when constitutional law, military defence, foreign policy and history education become hopelessly entangled, the last thing people care about is the honest truth.

《仮訳》
「日本の歴史全体の否定ではない。公式の謝罪が欠けているわけでもない。問題は勝者アメリカがその勝利のときから、彼らのイメージに合せて歴史を政治的に利用したことだ。この事実に立ち返れば、多くの問題が解決していくだろう。日本は曲がりなりにも民主主義が機能しており、軍国主義は死んだも同然である。また、ほとんどの日本人は安全で豊かな生活を営んでいる。しかし、憲法、国防、外交については混乱の極みで、希望すらを持つことができない。こういうときに人々が最後に関心を抱くのは真実を直視することである」


私もこの通りだと思うが、さて、ここで「真実を直視すること(the honest truth)」とは具体的にどういうことであろうか。

一方、フィナンシャル・タイムスのこの論評を紹介している中央日報の記事は、この結論部分を訳出していない。韓国人は「真実を直視すること(the honest truth)」について、いったいどういう見解を持っているのだろうか。


中央日報
「日本の歴史歪曲は左派没落のせい」
2005年5月29日 19:21:12  

「日本が歴史歪曲(わいきょく)を繰り返すのは、日本社会の中の左派没落によるものであり、極右派は歴史のわからない若者を糊塗している」--。

英国のフィナンシャルタイムズマガジン28日付が診断した北東アジア歴史論争の背景だ。

マガジンは「Sorry State」という企画記事で「日本が過去の歴史問題に対して繰り返し謝罪をするのにもかかわらず、韓国や中国など周辺国との歴史論争が絶えないのは真の謝罪をしていないため」と指摘した。 マガジンは「日本の歴代首相はもちろん、明仁天皇まで謝罪を繰り返した点から先送りされ、日本が暗い過去の歴史問題を否認しないことは確かだ」と認めた。それにもかかわらずアジア国家が謝罪を受け入れないのは「日本人が過去の歴史問題を根本から受け入れられないため」という説明だ。

マガジンは「1980年代まで日本で極右的発言が盛んに行われなかったのは、2次大戦終戦後、占領軍であるマッカーサー司令部が日本の教育を変えたため」と主張した。マッカーサー司令部は日本の好戦性を抜本的に根絶するため、その根源である天皇崇拝と選民思想など極右イデオロギーを批判する教育を実施した。 日本の戦争責任と非人道的な戦争犯罪に対しても教えた。

この過程で戦争と天皇制を批判する左派知識人らが相当な社会的影響力を確保した。マルキシストを含む広範囲の左派勢力らは天皇制を封建の残りかすとして糾弾し、軍部と軍需業者を帝国主義尖兵として批判した。 特に教員労組に左派の影響力が大きく作用した点は重要だ。学生たちに左派的思考、すなわち過去の歴史問題に対する反省の気持ちを植え付けたためだ。

日本の極右派らが消えたのではない。 戦争に責任ある右派政治家たちが48年の中国大陸の共産化につながった韓国戦争の渦中に米国の反共第一主義によって復権した。 しかし彼らは過去の歴史問題に対する反省を強調する社会的雰囲気では何も言えなかった。

右派らの声が大きくなった決定的契機は91年第1次湾岸戦争だ。 日本は莫大な戦争費用を出しながらも何の発言権がなかった。 安保を依存する状況で米国の要求に従わざるを得なかった。 この事件は日本の極右派はもちろん、多くの国民の自尊心を傷付けた。 平和憲法改正と再武装の要求が感情的に受け入れられた。

こういう雰囲気を反映して拡散した代表的な例が小林よしのりの漫画『戦争論』だ。 98年に出版された漫画の第1巻は60万部売れた。

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