Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

中国が大規模海洋調査

2005-05-16 00:41:45 | 国際
中国政府は、建国以来最大規模の海洋総合調査をおこなうことを発表した。だが、今後4年間で予算総額250億円というから、それほど大規模な計画とはいえない。この程度の海洋調査をやらなければ、このところ躍進著しいといわれる中国海軍としても、やがて運用上で行き詰ることになるだろう。

問題は対象とする調査水域だ。また、海洋資源開発などとも関連性がだれだけあるのかだ。内水面や領海内は問題ないとしても、「領海に連なる海域」はどういう考え方になるのか。日本の排他的経済水域まで含めて考えているのか。

日本は海軍を保有しているわけではないが、東アジア海域における随一の海上防衛力を保有している国家である。その海上防衛力が常に有効に機能を果たしていけるように、海洋調査事業も手を抜かないで進めて欲しい。

ところで、海洋調査事業については、ともすれば独立行政法人「海洋研究開発機構(JAMSTEC、Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)」だけに委ねようとするのはいかがなものか?

本来、日本近海の海域における海洋調査といえば、国土交通省所管の「国土地理院 (GSI、Geographical Survey Institute)」が取り組むべき事業ではないのか。

海洋科学や海洋資源開発が重要ではないといっているのではない。我国近海海域は我国国土と同等に考えなければならないといっているのである。そもそも「国土」の英訳は"land"ではなく、"domain"である。この"domain"の語源は"dominium (主人)"というラテン語らしい。つまり、「国土」とは主権と深い繋がりを持つ概念なのだ。

ところが、我国の「国土交通省」の英訳は"The Ministry of Land, Infrastructure and Transport"というのだから、海域主権に関してはどうも意識外らしい。


産経新聞(共同配信)
中国が大規模海洋調査 隣接海域も対象
2005年5月15日 20:49

 15日付の中国各紙によると、中国国家海洋局は14日、1949年の建国以来最大規模の海洋総合調査を昨年から2009年までの予定で開始したことを明らかにした。調査にかける総予算は約20億元(約250億円)としている。

 調査は、中国近海の資源や環境などを総合的に調べ、行政管理や防災、安全保障などの基礎データを整えるのが目的。対象面積は計67万6000平方キロで、内水面や領海のほか「領海に連なる海域」も含めるとしており、日本の排他的経済水域(EEZ)も対象にしている可能性がある。(共同)

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