taimuのひとり言

毎日の生活の中で感じた事を 徒然なるままに・・・。

「オリンピックの身代金」奥田 英朗 (著)

2010-06-08 23:35:33 | 読書


 

 内容(「BOOK」データベースより)
  昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。
  この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。
  そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」
  という脅迫状が当局に届けられた!しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。
  警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。
  「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。

 
  東京オリンピック開催の直前に起きた爆弾事件を捜査する警察と、
  一人の若者が東京と地方の経済格差に疑問と憤りを感じ、
  東京オリンピックの開催を妨害するために身代金を要求していく過程。
  それがそれぞれの立場で描かれ、最後に対決する様子は最後まで目が離せず
  フィクションなのにノンフィクションのような感覚で 全編に緊張感があり
  読み応え十分でした。

  ただ東京オリンピックは無事に開催されたのだから 物語の結果は予想でき
  奇妙な安心感がありました。 
  東京オリンピックの年 私は小学校低学年で当時の記憶は定かではないが 
  学校で競技のテレビ中継を見たような・・・。

  当時 これだけの熱気と国民感情の高まり、そしてその裏で出稼ぎ労働者の
  過酷な現実、そんなことがあったなんて全く考えたこともなかった。

  中卒の出稼ぎ労働者が「秋田弁」で語る言葉が 現実的で的確に現状を捉え
  それでいて温かい雰囲気で 悲惨だけれども「秋田弁」にひかれるものがありました。

  「三丁目の夕日」とはまた違った一面の「昭和」を感じることが出来る本だと思います。

  もっと奥田 英朗氏の本が読みたくなってしまいました。