taimuのひとり言

毎日の生活の中で感じた事を 徒然なるままに・・・。

「バッテリー」 読書日記8

2007-09-13 19:33:05 | 読書

 「バッテリー」(あさの あつこ著)
 
 友人のOさんが 自分の読んだ本をたくさん
 貸してくれました。その中で 最初に手にとったのが
 この「バッテリー」でした。
 とても 評判の良い本だということは 知っていましたが
 正直なところ 私はこの本を本屋で手にしたり
 図書館で借りようとか それまでは 
 思ったことはありませんでした。 

 でもどうしてもっと早く読もうと
 思わなかったんだろう

 「児童書」ということですが 充分に大人の読み物だと思います。
 もうすぐ 中学生という年齢の巧、と弟の青波、と
 巧とバッテリーを組む豪、のまたその家族との
 係わり合いを 描いています。

 12歳ごろって あんなに大人だったかな~?
 自分のことは もう思い出せないくらい遠い昔のことなので・・・。
 私の子供達も 実はこんなふうだったんだ。
 大人と同じように 考え、悩み、気を使い、プライドを持ち、
 生きていたんだ。
 私は そんなことに気づかずに 彼らは 何もできない、弱い、
 私達が守り、保護しなければ生きていけない、と信じてきました。

 でも 彼らは 未熟、繊細、ということだけでなく 傲慢、自信、
 抵抗、挫折、を 合わせ持つ「子供」だったのだ。

 「あとがき」のなかで あさの氏は

 「わたしは、運動能力に恵まれず、他の資質にも乏しく、
  強靭な意思も屈せざる精神も持たず、ささやかな抵抗と
  挫折と服従の繰り返しの中で、思春期と呼ばれる時を
  生きてしまった。押し付けられた少女の定型から抜け出せず、
  苦しくて堪らなかったのに、抜け出すことが怖くて定型の枠に
  しがみついていたのだ。いつか飛んでやると飛翔の夢を抱きつつ、
  自らの翼の力を信じることができなかったのだ。
  だから、書きたかった。
  自分を信じ、結果のすべてを引き受ける。
  そういう生き方しかできない少年をこの手で、
  書ききってみたかった。」

 と 書いています。このあさの氏の文を読んで 私も あさの氏と
 全く同じ思いであったことを 気づかされました。

 だから 何故こんなにこの少年たちを 身近に感じ、応援し、
 思い入れを強くして物語に入っていけたのか わかったように思いました。

 この少年達の 歩もうとしている道は 平坦ではありません。
 いったいこれから どんなふうに 一歩一歩 歩んでいくのか、
 私も数十年前の気持ちに戻り 一緒に進んで生きたいと
 思いました。