ポータブルゲームの好きな利用者の方がいた。ゲームソフトを買いに小職と他の利用者の方１名と共に街へ出た。他の利用者の方は衣類購入と外食が目的だ。ゲームソフト目的の方は入り用のソフトを求めるため、次々と店名を挙げ、その都度我々も足を運ぶ。都合、４ヶ所をお付き合いすることとなるがこの間、他の利用者の方の「えっ？えっ？」との表情が消えることはなかった。
昼食はラーメン店と決めた。店に着くなり、「僕はコンビニでカップラーメンを食べる」と強く主張、意を曲げる様子もない。小職は不承不承「私が奢るから、ラーメン屋さんの本物のラーメンで我慢してくれない？」との変？な妥協案を提示、何はともあれどうにかラーメン屋さんに落ち着くこととなる。このやり取りを見ていた他の利用者の方の目は終始丸かった。
“一行”は、目的のソフトを手に入れ、ご満悦で帰園し玄関に入った。
と、その途端、小職の背中後方より、「アレ？ソフトがない！どこかに忘れてきた！落としてきた！」との悲壮な大声が響いた。小職の身体が凍りついた。『ヤバイ・・・』 タクシー会社はもとより、立ち寄った店全てに問い合わせの電話を入れるも良い返事はどこもなし。小職は腹をくくった。「行こうか・・・」 心なしか声が小さかった。 時は夕刻、外は薄暮れかかっていた。本人のたっての強力な希望により、各店を駆け巡ること１時間、買物途中用事で立ち寄った区役所、とある課、長椅子背もたれ裏下ゾーンにゲームソフト店のあの懐かしい青いビニール袋がかしこまっている・・・のが目に入った。
おしまい
ちなみに、この利用者の方は入所日は当日も当日、「ゲームソフトを買いに行く」ととの頑なな要求を提示し、挙句、園長を連れまわすこと（運転は園長）約半日、帰ってきたのが夜の８時過ぎ・・・との「伝説」を作る。
