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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ホレス・シルヴァー/シルヴァーズ・ブルー

2014-03-29 11:45:49 | ジャズ(ハードバップ)

本日はファンキー・ジャズの伝道師、ホレス・シルヴァーをピックアップします。シルヴァーと言えば言わずと知れたブルーノート・レコードの看板ピアニストで、50年代から60年代にかけて多くの名作を同レーベルから発表しています。本作「シルヴァーズ・ブルー」はそんな彼のキャリアの中では例外的にエピックから発売された作品で、それゆえに入手困難な1枚でしたがこのたび待望の再発売となりました。嬉しい限りです。全7曲、2つのセッションに分かれていて、メンバーが若干異なります。56年7月2日のセッションはリーダーのシルヴァーに加え、ジョー・ゴードン(トランペット)、ハンク・モブレー(テナー)、ダグ・ワトキンス(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム)と言った布陣。7月17&18日のセッションはトランペットがドナルド・バードに、ドラムがアート・テイラーにそれぞれ代わっています。特に後者のラインナップはドラムをアート・ブレイキーに代えれば、当時のジャズ・メッセンジャーズと全く同じです。実はこの頃、ブレイキーとシルヴァーが袂を分かち、初代ジャズ・メッセンジャーズが分裂する微妙な時期だったようですね。



肝心の内容に関してはもう文句のつけようがないですね。シルヴァーはピアノソロでももちろん活躍していますが、むしろ作曲者として才能を発揮しており、前者のセッションでは“To Beat Or Not To Beat”“Shoutin' Out”、後者のセッションでは“Silver's Blue”“Hank's Tune”とハードバップのエッセンスを凝縮した名曲の数々を提供しています。後年のようにファンキー一辺倒ではなく、ミディアムテンポのナンバーが多いのがこの時期のシルヴァーの特徴ですね。ブルーノート盤「スタイリングス・オヴ・シルヴァー」に似たスタイルと言えば、コアなジャズファンならわかっていただけるでしょうか?スタンダード曲もバラードの“How Long Has This Been Going On?”はイマイチですが(シルヴァーはバラード演奏が苦手)、“I'll Know”“The Night Has A Thousand Eyes”と出色の出来。特に後者はコルトレーンのモードジャズバージョンが有名ですが、ややエキゾチックで哀愁を帯びた本バージョンの方が数段素晴らしく、同曲の決定的名演と言っていいでしょう。モブレー、バード、ゴードンら当時の俊英達のプレイも存分に堪能できますし、ハードバップ好きなら絶対に期待を裏切られない鉄板の1枚です。


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