さかきの教授日記

九州産業大学 工学部 バイオロボティクス学科の教員である榊が、学生を教えていて気がついたことをつづった日記

例えば、、、で考える

2005年05月31日 09時43分21秒 | Weblog
■バイオロボティクス学科や機械工学科でレポートを課す。それを学生諸君が持ってくる。ざっと目を通して、いくつか質問する。さあ、答えが大変だ。
■「それは当たり前です」(あなたの当たり前は私の当たり前ではない、だから質問している)「だってそういうもんじゃないんですか?」(基礎的なことかもしれないが、どの程度理解しているかをみているんだよ)「え、、、」と絶句する人もいる。質問されるのは想定外だったらしい。
■共通するのは、問題をえらく抽象的に考えていることだ。例えば冷蔵庫の仕組みについて調べたとする。温度管理についての何かしらのグラフを書いている。では、そのグラフの変動はどうやって起きるのか?何も書いていない抽象的なグラフより、ドアを開けたから、ちょっと温度の高いものを入れてしまったから、冷蔵のスイッチが入ったから、という説明を入れてみる。そうするだけで、ずいぶん考えやすくなる。説得力もつくし、役に立つかどうかの評価もしやすくなる。

高齢者と筋トレ

2005年05月30日 12時32分39秒 | Weblog
■福祉機器の最近のホットな話題は、高齢者向け筋力トレーニング装置だろう。健常でも高齢になれば、筋力や反射神経、平衡感覚が衰えてくる。転倒の危険性が高くなり、転倒した場合には、例えば大腿骨が折れ、それをきっかけに寝たきりになることもある。骨折後の手術とともに、転倒を予防することが大事である。
■10年くらい前から、まずはスポーツ施設のいわゆる筋トレマシンをつかった調査研究がではじめているようだ。ただ、若年者用のしかもスポーツトレーニング用では、高齢者のパワーや体格があわない。そこで、数年前からは、高齢者向けに絞ったマシンも製品化されている。
■筋力がアップすれば転倒時の踏ん張りがしやすいなど良い結果もでており、介護度が軽減した報告もある。しかし、効果が無い、もしくはかえって悪化するケースもある。結論的には、やみくもに行うのではなく、きちんとした医師・療法士・トレーナの管理のもと、実行するのがよいということだろう。

まずもって図を書く

2005年05月27日 09時46分39秒 | Weblog
■きのうはレポートでの図の大事さを述べた。特に、①全体のイメージ、②中心となるシステム、③そのシステムの動きがポイントだ。これをきっちり書く。そして、それを説明するように文章を書くと、書きやすいし、抜けもなくなる。
■読むほうにとっても、「つっこみ」がしやすい。つまり、内容を理解して、さらに質問がしやすい。おもしろいのは、図で書くとごまかしが利かないところだ。あまり検討していない、あいまいなところは、図もなにかしらあやしげなものになっている。それは一目でわかる。
■機械科学生にレポートを出させたときも、何かごまかしているところがあると、すかさず突っ込む。学生は、う~んとうなったまま、、、「じゃ、そこをもう少し説明できるように」とつき返す。幾度も往復しているうちに、だんだん内容がしっかりしてくる。

そこをつっこめ

2005年05月26日 10時09分29秒 | Weblog
■機械科3年生対象(150人)の「メカトロニクス基礎」では、前回教えた回路が身の回りの製品にどのように使われているか、というテーマでレポートを課した。これがとてもおもしろかった。
■おおよそ、これこれこのように使われています、とA4半分くらいに文で書いて出すのが大半だ。
■でも、それじゃあおもしろくない。その場でつきかえす。「へえ、じゃあどんな場面でつかうの?」「どこにその回路(センサーやその処理回路)があるの?」「例えばその回路はどんなふうに働くの」と聞くと、たいていの学生はぐっと詰まる。絵や図をまず書けというと、へえ?と。
■ついでに、「それがどう動けば便利だと思うの?」とつっこんでみる。自分の生活に照らして考えることを要求され、さらにぐっと詰まる。
■そんなこんなで、3回も4回もつきかえされ、書き直してくる。私の居室に長蛇の列が、、、おかげで、おもしろいレポートがたくさん出来上がった。

能ある鷹は

2005年05月25日 09時37分47秒 | Weblog
■毎度おなじみ知人から聞いた話だが、そこの部長は指示がコロコロ変わるので有名らしい。「この通りにしてくれ」といわれたので、その通りにしたら「これじゃ駄目だ」という。完成まじかで、もう材料もすべて発注済みのタイミングでも、「あ、これは変えてくれ」と気にしない。
■つかえる部下は大変だろうね。その部長、全く才能がないわけではなく、結構センスはある。でも「天才のひらめき」で動くので、周りは右往左往する。理屈で動く人ではなく、バランス感覚がないわけだ。
■でも、こういう上司につかえたら、上司を越える能力を目標に訓練を積むことができる。ある指示を受け取ったとき、「ははん、これは後でひっくりかえるな」というのがだんだんわかってくる。こっそりと準備をしておく。指示が変わったら、あまり遅くないタイミングで、それを実行する。能力をモロに見せずに勝負をしかけるのがこつだ。もし自分の思惑通りに運んだら、自分のレベルに自信を持ってよいかもしれない。