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電気設備等の受注Know-how

長年、通信設備などのシステム受注の仕事で得たKnow-howをまとめたブログです。
何かの参考になれば幸いです。

08.概算見積方法:歩掛による机上試算方法

2019-04-20 23:36:04 | 07.受注前フェーズ

歩掛の必要性と使い方です。

歩掛とはなんだ
 歩掛は、一つの工種(設定作業、取り付け作業、場合によっては、標準設計
  作業)について、純材費以外に掛かる労務費用の割合を「歩掛」と呼んでい
 ます。

歩掛で何ができる、
 特に工事見積は現場調査が出来ない場合も多々あり、それでも仮試算の見積
 が必要になるケースがあります。このような場合には、歩掛を用いた机上試
 算を行います。
 活用できることは、工事だけでは有りません。
 自社の設計作業データを集め単位作業、単位時間の割合を出しておくことで、
 その作業の工数を算出できます。
 評価データがあれば、評価時の工数試算も可能になります。

 多くの概算見積で活用できる歩掛は、システム事業の必須ツールともいえます。

 歩掛は、1960年ころより利用され始め、1964年には、歩掛を纏めた製本も出
 ています。
  → 改訂54版 建設工事標準歩掛(平成29年度版)
      土木工事、建築工事、機械設備工事、電気設備工事など広範な
      標準施工歩掛をまとめた1冊です。
  
  範囲は狭いが、公共建築工事標準単価積算基準(平成30年版)の電気設
  備工事として単価積算基準が公開(毎年更新)されています。こちらも参考
  になります。

使い方は、
  1つの工程の作業に分割して工数の割合を算出していきます。
  自社の歩掛が算出できれば、世間の歩掛との比較もできます。
    標準歩掛と自社歩掛の2つの差異のズレを吸収(切磋琢磨する)こと
    で、市場価格を見据えた見積原価の精度を上げることもできます。
    ただし、机上により概算見積の範囲を超えていませんので、詳細見積
    時では、要件や作業工数を踏まえた、見積が必要になります。

歩掛 の事例

工事費の歩掛試算事例
  スピーカ1個を取り付けるときの工数を1時間30分要する(自社の標準作業
  時間と仮定)とした場合。

   1台の取付け時間:1人で1時間30分
   1日の労働時間:8時間
   とした場合、スピーカを1台取り付けるために必要な作業工数(人工)は、
       人工とは、1人の作業者が1日(8時間)で行える作業を言う。
    人工=1人×作業時間/8時間
    1日当たりの人工は0.18となり、これが歩掛の係数になる。

   例:30台のスピーカを取るつける場合、必要な作業工数は、
       0.18(歩掛) × 30台 = 5.4人
  
       1日で30台のスピーカを取り付ける場合、5.4人の作業者が必要
       になる。
        1人で作業した場合には、5.4日(5日と半分=6日)必要になる。

     過去の工数からそれぞれの作業を係数化し、見積時時間が不足して
     いる場合に補助的な試算を行うことが出来る。

労務費の歩掛試算事例
   労務費=所要人数(設計作業量×該当作業の歩掛)×労務単価(時単価×
       1日労働日(8時間)+特殊勤務(高所作業費など))
   から算出できる。
    (建設物価の設計作業量などを用いれば、世間の労務費を試算すること
    が出来る。)

   30台のスピーカを取り付ける労務費試算
     労務費=所要人数 × 労務単価 = 5.4人 × 23600円(建設物
        価労務費から引用)= 127,440円
  
    30台のスピーカを取り付ける労務費は、12万7千5百円(工事労務費)
   と試算することが出来る。

     設計作業量がない場合でも取付け作業飲みとして歩掛した値にすれ
     ばよい。
      過去データがあれば、JKPI固有の歩掛データを作ることも出来る。

設計作業費(開発費)の歩掛試算事例
  類似システムの見積仕様書(システムの見積設計)時の場合、
   (見積設計書から設計書に作り変える前提のコスト)

    1システムの作成時の工数の平均値:1人で13時間
       類似システムのノード数(スピーカーの数や、セキュリティカ
       メラの数など)によるシステム構成が異なる場合には加味が必
       要。
       見積仕様書をモデル仕様で書くことで基本システムとして再利
       用性が高くなり、若干の工数で完成させることができる。
    13時間の活用方法
      モデル設計として用いる場合、
        1システム×13時間/1人 = 13時間、
      モデル部を細分化した場合、
        コア部(処理や操作部など)・ノード部(SPやカメラなど)
        ・共通部(電源系など)に分割し、それぞれの見積設計比率
        を算出する。
          コア部 = 70%
          ノード部 = 10%
          共通部 = 20%
        になったと仮定した場合、

       13時間の内訳は、
          コア部 = 70% × 13時間 = 9.1時間
          ノード部 = 10% × 13時間 =1.3時間
          共通部 = 20% × 13時間 = 2.6時間
       となる。

    この時間に時単価を積算する。
       時単価:経理で算出した技術直課工数 
           例=5,863円/2015年のシステム系設計者の標準単価。
           コア部の見積仕様書設計工数 
                = 9.1時間 × 5,863円 = 53,353円
          ノード部 = 1.3時間 × 5,863円 = 7,622円
          共通部 = 2.6時間 × 5,863円 = 15,244円
          (合算価格は、76,219円)
       となる。
          内訳の必要がなければ、 
            13時間 × 5863 =76,219円
       見積仕様書の見積設計工数は、76,219円(設計労務費)

 自社で歩掛を持っているシステム会社や、工事会社多数ある。
 建設物価適用の入札案件はほぼ全ては歩掛で試算し、その後に詳細精査を実
 施して原価を作り上げている。



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