完成図書には、大きく分類すると2つの目的があります。
1.システムの電気的、機構的、能動的な動作振る舞いを含めたシステムとしての完成図書
分類銘として電気設備完成図書やシステム完成図書などと予備場合もあります。
ここでは、システム完成図書として、工事の前段階のシステム仕様に関わる完成図書の位置づけとします。
2.前記(1項)のシステムをッ建物に取り付けるための電気設備取付工事関わる完成図書
こちらの分類は、工事完成図書として位置づけます。
この2つの図書は、同じシステム名称であっても同じ図書名であっても全く目的が異なります。
システム完成図書の目的は、
発注者の要求が満足していることが第一義の目的。
発注者の要求とは、仕様で明示されている要求とお客さんが当たり前だと思っていること。
しかし、受けている弊社は、お客さんの当たり前がなかなか見えません。
そのために、お客さんの業務を知っていくこと、これがシステム受注時の営業活動で必要になります。
この、お客さんが当たり前と思っている要求を引き出していくことがシステムの設計品質を完成させる。
そして、もう一つ、非機能要求です。
お客さんの業務や使い方から、機能としての補間の必要性などを詰めていくことになります。この行為がないと、異常時に要件とされる機能が停止してしまう可能性があるなど、重大なクレームに繋がるからです。
このように、システム完成図書は、顧客要求の聴取からシステム情報の流れ、制御の流れ、運用及び立会検査までを網羅した
図書として納入するものです。
完成図書には、客先指定事項が仕様に明記される場合があります。その指定事項は必須ですが、それだけでは完成図書として不合格。
数年たってメンテナンスや部分更新、異常時の改修などで現場に行かなければ何一つ判らないことになってしまいます。
まして、利用年月が10年要のシステムも多々ありますので、担当もどんなシステムか判らなくなります。
お客さんも同様に当時の担当は異動してシステムを把握することが出来ないでしょう。
このような状況下でも、システムを維持できる図書にしなければシステム事業は破綻していきます。
要約すると、
顧客の要求、要求の実現方法、システムの基本運用方法、運用時の例外操作(異常時の操作など)、システム(動作)説明、制御信号の伝達方法、種類、情報の伝達方法種類、試験時情報要素、要求機能仕様(動作振る舞いが主体)、非機能(動作振る舞いが主体)、システム系統図(全体システム、階層部システム、など、運用毎に分割できる場合、構成毎のシステムの系統)、信号系の線種(通線等は、工事完成図書)、コネクタ仕様、機器の仕様(折込の仕様ではありません、特に機材の一部にユニットや機器として利用している場合、入力信号、出力信号(インタフェース仕様)や、処理(何を入力、何をを処理し、何を出力するのか)が判れば、数弁護のメンテナンスで異常が発生しても、置換することが出来る。(そのときに購入しなければならないユニットや機材が製造中止になっていることが多々あるため)、システム外観図、機材外観図(接地に関わる情報は、工事完成著書に譲る)、異常時の一次対応、応急処置、設定しなければ機能が正常に稼動しないシステム機材は、設定仕様書及び設定情報(設定方法とデータが記載されている)書が必須。
これを見れば、システムが最低限維持できる為の図書であることが理解できると思います。
工事完成図書の目的は、
対象となるシステム機材構成要素(機材リスト、型名、メーカ、員数、設定の有無(通電だけで動作する機材は必要なし)全体系統図から参照できる通線図(配管図)、設置姿図、システム機材仕様(この仕様は、折込設計などで用いる仕様に準拠できます。寸法、重量、1次電源容量、発熱量(収納機材の場合必要)、取付方法(特殊な取付の場合、他社では、工事時点の写真で引用している)、工事後の通電方法、一次確認方法、取付工事試験成績書(工事に関わる検査を集約する場合も有り、顧客によっては、動作振る舞いも含める場合がある。このときには、システム完成図書を用いる)。
電気設備の取付に関わる全貌が把握できて、運用時や改修時当のシステム維持に必要な図書です。
完成図書や納入図書は、
機材明細書や機材の仕様(スペック)、外観図/寸法図、手配品の仕様や外観図、接地姿図(ラック図)、系統図、取付位置図等だけでなく、上記のシステム完成図書の目的に合致できる納入図書にしなければならない。
弊社の不足している要素は、システム要件、システム動作振舞、異常時初期対応、メンテナンス時の対応部材(機材)、弊社特注の接続ケーブル等、システムを維持するために必要な情報を網羅しなければ、納入会社が後に困ることにある。