は る ひ べ

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偲ぶ

2007-08-06 | 写真と随想
あれから. . .

"あいつ"が旅に出て三ヶ月が経ったある日 
とある役所から連絡を受けた。

迎えに行くため車で家を出る
朝から雲行きが怪しい
高速道路に入り工業都市にさしかかった頃から雨になった
「海峡大橋」を渡る頃には嵐になり
ワイパーが効かない位の豪雨、横風で橋から落とされそうだ
"あいつ" が 来るのを拒んでいるようだ。

連絡をしてくれた役所になんとか着いた
役所の人に"あいつ"の居場所を教えて貰い
そこに向かった
そこは小高い海の見える寺だった。

予め連絡を受けていた住職が雨の中を 
傘をさして待って居てくれた
寺の裏は墓になっている
その一画に納骨堂があり そこに案内された。

"あいつ"は その中に居るらしい
案内した住職が鍵束から鍵を選んで鍵穴に差し込む
合わない
やっと三つ目の鍵で扉が開いた。

中は寺の檀家の骨壺が並んでいる
その一隅に無縁仏の骨箱が多数積み上げられていた
住職がこれだと骨箱を指した
開けて見るとそれは他人の骨だった
堂内を探しまわった。

危なく他人の骨を持ち帰る所だったが
"あいつ"を見付ける事ができた。

しかし これは最後の抵抗だったのかも知れない
帰り道 海峡の橋を渡る時 風が吠えた. . .

しかし俺を呼んだのは
"あいつ"が所持していた地名入りのポケットティシュだった。


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