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ポジティブな私 ポジ人

夫という男

最近気がかりなのは、会社を退社してから3年が経過した夫の事だ。
会社を辞めてから、会社の方との交流はほぼ一切無いし、旧友に会うこともない。近所付き合いも全く無い。一人で外出することもほぼ無いのだ。

それでも駐車場で、親しく声をかけてくれる同年輩の方がいるらしい。ただ話が長く、クセの強い方なので、夫は出来るだけ会わないように避けているようだ。

夫の話相手は、ほぼ私だけ。あまり健全とは言えない。もし私が先に逝ってしまったら、夫は完全に孤立してしまう。

そういえば、そんな独り身の初老の男が出てくる映画があったなあと、ふと思い出した。

トム・ハンクス主演の「オットーという男」。2015年公開のスゥェーデン映画「幸せなひとりぼっち」のリメイク版だ。

そんな人付き合いが苦手で孤立した「夫みたいな男」が出てくる映画を、今後の参考までにちょっと観てみようと思った。

どうせなら、二本まとめて観比べてみよう。
順番はオリジナル映画から。

スゥェーデン映画はあまり馴染みがないと思ったけれど、過去に観た「ぼくのエリ」や古くは「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」もスゥェーデン映画だった。

「幸せなひとりぼっち」の主人公は妻に先立たれた初老の男オーヴェ。頑固で人付き合いが悪く、よく人と揉める。なにかにつけ「バカモノ」と口に出す。

それでも、彼は毎朝町内の物置の施錠を確認したり、違法駐車が無いかなど町を見回り、自分の役割をキッチリ果たす律儀な男だ。
彼は、亡き妻だけを思い、他の事はどうでもいいと思っている。妻の後を追おうと、首をつるためのローブの準備をしていた。

そんな時に、向かいの空き家に若い夫婦が引っ越して来て、自殺の機会を逸してしまう
特に、妊婦のパルバネと関わりをもってから、オーヴェの心境が少しずつ変化していく。

スウェーデン映画の方は、全く馴染みのない俳優が主役だ。主人公オーヴェをロルフ・ラスゴードが演じている。
原作では58歳の主人公らしいが、見た目は太めのお爺さんだ。

妻との若き日の回想シーンが素敵だった。
オーヴェの現実の日常と対比することで、空虚な彼の日々が説得力を持つ。
明るくて知的な妻のソーニャ役は、イーダ・エングヴォルが好演している。とても美しい女優さんだ。
妊婦のパルバネはイラン人の女性で、頑固なオーヴェに果敢に関わるタフな女性だ。

アメリカ映画の方は、お馴染みのトム・ハンクスが主人公オットーを演じている。
内容はほぼ同じだが、主人公や隣人の妊婦さんの名前などが変えられている。

トム・ハンクスは原作に近い外見で、とても若々しい。お腹も出ていない。
妊婦のマリソルを伴って訪れたカフェのシーンでは、素敵なベストを着ていて、とてもおしゃれで似合っていた。

妻ソーニャの回想シーンはあるのだが、若き日のオットー役を、トム・ハンクスの実の息子、トルーマン・ハンクスが演じているので、そちらに目を奪われてしまう。

若夫婦の妊婦さんマリソルは、陽気なメキシコ人の設定。とにかく明るいので、苦虫を噛み潰したようなトム・ハンクスの嫌なオヤジ感を相殺してくれる。

二本の映画を見比べると、お国柄や国民性、時代が反映されていて、それぞれ特徴があり面白かった。ただ、両作品とも自殺を繰り返しては失敗するシーンが何度かあるので、そこが心痛む。

スウェーデン版は、よりシリアスな感じがした。
オーヴェの生い立ちは貧しく悲惨な感じが際立っていた。

アメリカ版は、
トム・ハンクスの作品を多く観てきたので、何となく観る前から安心感があった。スウェーデン版を観てストーリーもわかっていたけれど、アメリカならではのユーモアも楽しめた。
若き日のオットーに注目するあまり、若き日のソーニャの印象がかすむ。

トム・ハンクスの作品は数々観たが、特に「ビッグ」が好きだ。私の中では、この映画の明るいイメージが強い。
今回の映画では、人付き合いの悪い頑固でいつも不機嫌な男の役だ。主役はトム・ハンクスじゃなくて、違う俳優でも良かったんじゃないかと思ったりした。

映画の感想は、見る人により変わる。あくまでも私の個人的感想だ。

オーヴェとオットーは、日本の昭和一桁生まれの頑固親父を彷彿とさせる。
根は優しくて真面目で良い人なのに、表向きは口うるさく、融通が利かない不器用な男。そして言葉がいつも足りない。

夫は昭和二桁だが、私亡き後、マリソルみたいなおせっかいな隣人でも居ない事には、夫はおこもり生活になってしまうのでは無いか。
夫に何か新しい事にチャレンジするよう促しても、あまり関心は無い。
ただ、映画の主人公たちのように、車にだけはこだわりがある。それでよく駐車場に車の状態を確認しに行くから、ご近所さんとも会うみたいだ。

ここで意外なのは、夫が私よりもご近所の情報に通じていることだ。どうも、駐車場でご近所さんとの短い会話で、多くの情報を得ているらしい。

映画を観てつくづく思うのは、年を取るごとにご近所付き合いも重要だということ。

ここにもう30年以上も住んでいるが、私はすれ違いざまに、挨拶を交わす程度のお付き合いでしか無い。
近隣のことに関しては、夫より私の方が疎い。ご近所さんと顔を合わせる機会が無いからなぁ。むしろ、私が独り身になった時の方が、孤立するかも。

いや、しかし夫は75歳で免許を返納すると言っているから、それ以降は駐車場に行く機会がなくなるから、やっぱり孤立する。

映画を観ても、考えても、この先の不安はつのるばかりだ。
考えていてもしょうが無い。なるようになるさと気楽でいるより他ない。未来は誰にもわからないのだから。





コメント一覧

ポジ人
@donmac-life 今晩は。
退職おじさんアルアルでも、意識の持ち方だと思うんですよね。その点、ドンマックさんは全然心配ない方です。絵を書いたり、ブログを書いたり、モコ助ちゃんと散歩したり、旅したり…行動を起こされていらっしゃる。お料理も出来るのですから、100点満点です。

過去には団地での、素敵なご近所付き合いがあったんですね。そう言えば、うちのマンションも子ども達が小さい時は、お呼ばれでピザパーティーなんかもやっていましたね。

やはり、これからは家にこもらず積極的に行動ですね。
donmac-life
こんばんは。
私みたいな退職おじさんアルアルですねえぇ…😮‍💨
 響子さんは結婚の条件として五代くんに「私よりも1日でも長生きをして…」と言ってましたが、ポジ人さんの旦那様や私なんかは寧ろ妻には長生きしてもらわないと…が本心です😅。
 あの映画、若い頃はトム・ハンクスの息子だったんですか?なんかボ〜ッとしてたけど、あんな事があってだんだん頑固者に変わってしまったという演技だったのかなあ?
 ご近所にあんな素敵な人たちが住んでたら良いんですがね。うちの団地も私が入った25年前は運動会や花見や月見会、綱引きなど忙しい位でみんな顔見知りで和気あいあいだったけど、人が入れ替わって若返り全て無くなりました。
 やはり定年後は無理をしてでも、お金をかけてでも何かの団体、グループに参加してみたりした方が良いかもですね。
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