途中、野生の藤が満開。

あの、樹齢200年を越える天神藤も、咲いているのだろうか?それもついでに見てこなくちゃ。
天神山の入り口の緩やかな坂を登り始めると、何やら立ち止まっている人たちがいた。その視線の先に目をやると、愛くるしいエゾリスがいた。
普通は人の目を避けて直ぐに姿をくらませるのに、このリスは経験が浅く危険な目にあまりあったことがないのだろう。みんなに見守られながら無邪気に木の根本の周りを動き回っている。しばらくすると、歩道を挟んだ反対側へ渡ろうと、広い歩道へ出てきた。
丁度坂の下の方から、小さな女の子がこちらへ向かって走って来るところだった。その後ろにはご両親がゆっくり登ってくる。
リスがすごい勢いで、女の子の目の前を駆け抜けた。女の子のお父さんが大きな声で「リス!リス!」と叫ぶと、女の子は立ち止まり、そのすぐ目の前をリスが走る。
リスが道を渡り終わってから、しばしの沈黙のあと、女の子とその家族の笑い声が響いた。驚きと嬉しさを含んだ、楽しげで幸せな笑い声だった。その場にいた誰しもが幸福な気分になったと思う。
その後も、その場にいた人たちは、私も含めてリスの行方を追い、「あそこにいる!」「ほら、そこに!」と色々な人の声が飛び交い、知らない人同士が一体となって、リスの観察がほんの少しの間続いた。
リスが完全に見えなくなってしまってから、私は頂上を目指し登り始めた。登りながら、今しがたの出来事を振り返り、なんて幸せな瞬間に遭遇したのだろうと、心から幸せな気分になった。
そして、目的の天神山の頂上の桜。大分散ってしまったけれど、まだしぶとく咲いていた。地面は一面ピンク色。

今年、札幌の桜は4月23日に開花し、5月5日に来た時は桜が一斉に開花し、天神山は満開だった。
しだれ桜も梅も何もかもが、一斉に咲いた。



この桜が散ると、今度は天神山の頂の八重桜が咲き始め、随分長らく桜を楽しむことが出来るのだ。
八重桜の咲き残りを確認した後、山を降りながらそのままスーパーへ向かった。しばらく歩いてから、天神藤を見に行くことを忘れていたことに気づいた。しまったー。
帰りにまた戻って見に行こうと決め、スーパーへ入った。
今日のお買い物の最大の目的は、「千葉関東フェア」の落花生最中を買うことだ。
早速売場へ行ってみたところ、見当たらない。体格の良い店員さんに聞いてみると、「ご案内致します」と弾むように意気揚々と案内してくれた。さあ、ここです、とばかりに指す場所に、目的の物は残念ながらひとつもなかった。
店員さんも初めて気づいたようで、アレ?という顔をしていた。
みんな好きなんだな。名物だもの。もっと早く、午前中に来れば良かった。また入荷するだろうか?
別の店員さんに入荷予定を聞いたところ、売り切れたらそれで終わりだと言う。残念だったけど、しょうがない。
あきらめて、買い物リストを見ながら店内を回っていると、さっき落花生最中の入荷の件を尋ねた店員さんがやって来て、「落花生最中ありました!」といって、持ってきてくれた。
まだ在庫が沢山あったのか、あるいは奇跡的に1個だけあったのかは知らない。だけど、わざわざ私を追いかけて持ってきてくれたことに、とても感激した。今日は幸せなことが、連続して起きた良い日だなあとつくづく思ったのだった。
買い物の帰り、天神フジを見に行った。



樹齢200年越え。堂々たる咲きっぷり。
家に近づくと、ライラックの花も満開。

何もかもが幸せにつながる。そんな一日だった。