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ポジティブな私 ポジ人

踊り子のコメント欄

2022年大晦日のNHK紅白歌合戦に初出場したvaundyを、この時まで私は全く知らなかった。歌った曲は「怪獣の花唄」。再生回数一億回超えの歌で、当時彼は現役の大学生だった。
若者の圧倒的な支持を得ている曲だったけれど、昭和生まれの私には今ひとつピンと来ず、特別私に響く曲ではなかった。
全く知らない歌手の、全く知らない曲を初めて聞いたからかも知れない。

後日娘と音楽の話をしていた時、「vaundyの怪獣の花唄良いよね!」と娘が笑顔で言った。その時私は、曖昧な笑顔で応えたのだった。
子供が「良い」と言うと、私の錆びついた感覚が刺激を受け、その良さに気づき始めることはよくある。

最近、小松菜奈をミュージックPVで見かけた。彼女の魅力と共に曲も魅力的だったので調べたら、vaundyの「踊り子」という曲だった。

一度YouTubeでそのPVをフルで見て、別の日に再び見た。
YouTubeのコメント欄は、ほとんど読まない私だったが、チラリと目に入った「小松菜奈最強」の文字に惹かれ、コメント欄を開いた。

そのコメントのすぐ下には「この歌がもしも森鴎外の舞姫からできた歌だとして…」から始まる投稿があった。それは「踊り子」の歌詞を小説「舞姫」のシチュエーションに当てはめた考察だった。

自分もフルで聞いたのだから、歌詞は耳に入っていたはずなのだが、特に歌詞には注意を払わず、メロディーと小松菜奈ばかりに見入っていた。
情景が見えやすい昭和の歌詞ならすぐ頭に入ってくるのだが、vaundyの歌詞は私にとっては抽象的だった。

この曲を聞いて、森鴎外の舞姫につなげて解釈する若者の鋭い感性に驚いた。
コメントの中で「サビの『あの子と僕』は、豊太郎とエリスを歌っていて…」と考察が続き、その考察に「ひとりで興奮している」で終わっていた。

それに対する返信は100を超えていた。みんなどんな反応をしているのか、興味を持ってその返信を読んでみた。
「興奮した」「鳥肌立った」と共鳴する人、同じ事を考えていたという人や、「舞姫最近やった(習った)」とか「高3だな」とか、このコメントが好きで探してまた読んでるとか、多くの若者のコメントが続々と続く。若者達の会話をその場で聞いているような気になった。若者と接する機会の無い私にとって、それはとても新鮮な事だった。

3回目にYouTubeで踊り子を聞いた時、「小松菜奈の最強さ…」から始まるコメントの方も読んでみた。
そのコメントは、vaundyの才能や菅田将暉への思いを綴り、来週テストだと書いてあった。
このコメントへの返信は300を超えていた。

その返信を読み始めると、「テスト頑張って」とか、自分も昨日からテストだ等など、応援や「一緒に頑張ろう」等の温かなコメントがずっと続く。読んでいると、ポジティブな優しい若者たちがここに集っているようで、私も心が温かくなった。

娘の言葉と小松菜奈に導かれるようにvaundyの曲「踊り子」に惹かれ、期せずして多くの優しい若者たちの言葉に触れた。

娘の使った国語の教科書を読んでみようと思って机の上に出してあった。娘も習ったのかなと思って開いてみると、目次に舞姫があった。
読んでみると、冒頭から旧仮名づかいの難解な文章で、1行読んだだけで、読む気が失せた。

そう言えば、あの「舞姫と絡めた踊り子の考察」を読んだ一人のコメントに「このコメント見て一気にテストやる気出た」というのがあって、ちょっと笑えた。

テストやる気になった子、偉い!


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