阪神間で暮らす-2

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子供を作らない話がなぜ「生産性」という言葉で語られたのか (抄)

2018-08-10 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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子供を作らない話がなぜ「生産性」という言葉で語られたのか

 月刊誌「新潮45」8月号に杉田水脈自民党衆議院議員が「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるか。LGBTは子供を作らない。つまり『生産性』がない」と主張したことに批判が相次ぎ、当初静観する構えを見せた自民党も「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた」との理由で注意処分を行った。

 杉田氏に寄せられた批判は、性的マイノリティに対する差別を助長し人権を無視しているということで、それはその通りだが、フーテンが初めに思ったのは、「子どもを作らない話がなぜ『生産』ではなく『生産性』という言葉で語られたのか」という疑問だった。

 日本語ではものを作ることを『生産』と言い、作る効率のことを『生産性』と言う。子供を作る話を『生産』とか『生産性』で表現することに抵抗はあるが、しかし杉田氏の『生産性』発言を考えるため、あえてその言葉を使って比較する。

 LGBTつまりレスビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーが子供を作らないと言うのであればそれは『生産』がないのであり、『生産性』がないのではない。『生産性』がないというのは「2人の親から2人以下の子供しか作らない」ケースだろう。それでは間違いなく人口が減るので効率がよろしくない。つまり『生産性』がない。

 杉田氏が『生産』と言うべきところを『生産性』と言ったのはなぜか。そこに安倍政権が掲げる「働き方改革」の影響をフーテンは感じ、また杉田氏が米国の共和党政権を支える宗教右派の「LGBT撲滅運動」を模倣しているようにも見えた。この2つが「LGBT生産性」を言わせたと思うが、しかし2つとも日本の伝統とは相容れない外来思想である。

 まず「働き方改革」だが、狙いは先進諸国と比べて著しく低い日本の「労働の生産性」を引き上げる目的がある。何しろ世界を驚かせた高度経済成長期にあっても日本の労働の生産性は先進諸国で最低だった。

 米国、英国、イタリア、フランス、ドイツ、カナダと労働の生産性を比較すると、1988年から93年までのバブル期に日本の生産性が英国をやや上回ったことがあるだけで、その前も後も日本は各国に比べて最低である。

 逆に言えば日本は生産性が低くとも驚異的な経済成長で1985年に世界一の債権国に上り詰め、その後も「失われた20年」と言われながらその地位を維持し続けた。中国に抜かれたとはいえ今でも世界3位の経済大国である。

 日本を経済大国にした高度経済成長期の日本は、労働者の賃金が上がり続け、それに伴って物価も上がり続け、東京が世界で最も物価高の都市と言われた。労働者は今日よりも明日が良くなることを信じて企業の「社畜」となり、「24時間働けますか!」を合言葉にモーレツ社員を目指した。

 そして海外では安売り攻勢を仕掛けて相手国の産業を廃業に追い込み、日本企業が海外の市場シェアを奪うことに精を出した。産業を潰された相手から見れば日本は「失業輸出国」となる。安売りによって海外で損した分は国内の物価でカバーした。それでも国民は毎年賃金が上がるので誰も文句を言わず「社畜」に励んだ。

 しかしこのからくりがいつまでも続くはずはない。バブル崩壊とともに日本はデフレの時代を迎え、物価も下がるが賃金も下がる希望の持てない時代になった。しかも深刻なのは人口減少が始まったことである。労働者の数が減れば労働の生産性を上げない限りGDPは減少する。生産性を高めることが日本の至上命題になった。

 ではどうやって生産性を上げるか。生産性で常に世界一を続けているのは米国だ。「働き方改革」の高度プロフェショナル制度や裁量労働制はいずれも米国でやっていることを日本に導入しようとしたものだが、それがうまくいくかが問題である。

 フーテンは国柄に違いがあるのでうまくいくとは思えない。日本は個人より組織が優先される。「出る杭」は打たれる。そして今でも企業は「社畜」を求める。しかし米国では「出る杭」ほど尊重され、労働者は能力さえあれば次々に職場を変える。だから生産性が高い。この違いをなくさない限り米国を真似する「働き方改革」などお笑いだと思っている。

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 生産と生産性の違いが分かっていないんじゃないか、その程度。
 いずれにしろ首相や幹事長にかばってもらえるから増長する。


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