拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

  欠けた円相会

2023年11月12日 | 娑婆惰罵駄(シャバ・ダバダ)

  一昨夜、聞きに行ったコンサートについての雑感。

  秋も深まり過ぎ・・・冷たい風雨にさらされてローザンヌは湖畔に近いプライベート・ハイスクールにある教会を訪ねた。

  昔よく散歩した公園の奥にある小森に隠れていて、こんなところに高校があったのか…と、初めて行く場所であった。

 

  今夜、この教会で行われるコンサートに行くきっかけとなったのは、数週間前に相方ニコルがジュネーブのビクトリアホールでの

  クラリネット奏者の演奏にいたく感銘を受け、彼の演奏をYoutubeで私に見せた事と、彼のコンサートがローザンヌであるという情報を入手した為だ。

 

  こじんまりとした教会内には、教会の例の板の椅子にぎっしりと詰めて坐るように案内があり、350〜400人ぐらいの観客がいたであろうか。

  私達は、中央の通路側、前から10列目あたりであったので場所としては比較的良い席であったが、ただ演奏場所の前面中央に教会備え付けの祭壇テーブル

  にかけられた白い布・・・が陣取っており、演奏会としては異様な風景として私の眼に映った。

 

  いつもの如く、前情報無しに来ているので、始まってからドイツから来たチェンバロ、リュートをふくむ、管楽器がオーボエであとは

  全員弦楽器の総勢20人ほどの、黒い衣装の室内弦楽団と、スエーデン人の有名なクラリネット奏者のコラボレーションであるとわかった。

 

  私はいつもプログラムを見ない。見てもわからない・・・からで、それでもビバルディであることは相方から聞いていた。

  室内弦楽団の演奏が始まり、まぁ〜ビバルディなのであろう音楽が流れていたが、肝心な(?)チェンバロは楽器そのものが

  祭壇大テーブルによって裁断され(視覚的に)全く観えず、演奏者の女性の頭部のみが前後に揺れてリズムを取っている様子がうかがえるのみ。

  その隣に正面を向いて坐っている、大きめのリユートを持った若い女性の演奏は全く聞き取れなかった。(私の耳がわるいのかも?)

 

  それに例の有名なクラリネット奏者が加わり、祭壇の前・・・私のほぼ眼の前で踊る如くクラリネットを演奏する、なんだか圧倒的な演奏テクニック

  を駆使しているのであろう・・・演奏に聴衆の感銘の拍手は鳴り止まなかった。

  私といえば、彼の踊り回る演奏の視覚的情報過多をそれこそ裁断してちょうどいいくらいに感じ、途中から目を閉じて聞いていた。

  彼等の演奏を聞きながら、なんだかじょんがら三味線とか尺八のような演奏を聞きたくなってしまっている自分に驚いたが・・・。

 

  なんだか、音符で空間を埋め尽くしているような音楽にうんざりしている自分を感じた。それは私にクラッシック音楽の素養がないからであろうが

  私は静寂が共鳴するような音楽により惹かれるタイプの人間なのだ・・・と、今回のコンサートで思い至った気がする。

  白い布がかけられた祭壇がど真ん中に据えられた演奏会は、円(縁)を欠いた円相(会)ではなかったか・・・

 

         

          さすが芸術の秋、陶芸家の友人が主催した陶芸仲間達の作品展・・・髑髏(どくろ)好きの私は、10万円の作品(左)と

          7万円の般若心経髑髏・・・の友人の作品いずれかを、『2万円にまからんかね…』と無理な注文をだしたが、返事はいまだ無し・・・。

  

 

  



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