My life is in Your Hands

カナダに居るのんきな大学院生の毎日です。

パリのコーヒー屋さん

2005年09月01日 01時34分01秒 | 思い出し話
2ヶ月のバックパック旅行の最後の地は
パリでした。
パリは何度も遊びに行っていたので、
お気に入りのお店とか色々自由に歩ける街の一つだったんです。

そのとき、私達はエッフェル塔のすぐ近くにある
ユースホステルに泊まっていました。

私はイギリスのお婆ちゃんに
何かお土産を・・・と思っていました。

近くのマーケットを覗いたりして
ユースに帰る途中、
エッフェル塔が真正面に見える
小さなコーヒー屋さんのウインドウが眼に入りました。

かわいい・・・・

小さい透明の袋に色んなコーヒー豆を入れて
カラフルなリボンで縛ってあったんです。

これだ!!!

お婆ちゃんはコーヒーが大好き・・・
こんな可愛いパッケージなら
お婆ちゃんも凄く喜ぶ!!

そんなわけで、次の日、
お店が開いている時間に凄い勢いで入店。

最初はフランス語で
「コーヒーが欲しいんです」

店員は30代くらいの男性で、
「どのコーヒーが欲しいの?」と
色々指を指しました。
「これ」
と指を刺し返したら
その人が持ってきた袋は大きかった・・・

慌てて、
「それじゃなくて、小さいの!」
と言うと、
「これ以上小さいのは無いよ」
と言います。

私は困って
ウインドウのコーヒーを指差して、
「あれが欲しい」

「あれは売り物じゃないよ・・・」

ものすごくがっかりした私・・・
が、そこではひるまない・・・・

ここまではなんとかフランス語で乗り切りましたが、
もう限界です・・・

突然
「私、これ以上はフランス語で説明できないし、
あなた、絶対英語分かるでしょ?
私も頑張ったんだから、今度はあなたが頑張ってくれる?」
とめちゃめちゃな理由で英語で話しました。
お店の人も
「え?ちょびっとしかわかんないよ・・・」と言いながらも
私の勢いに飲まれたか、「どうぞ」

私は2ヶ月旅行している事。
旅行中、お土産は大きいものが買えなかったこと、
パリでお婆ちゃんのお土産を探しても
ぴったりなものが見つからなくて困っていたら、
この店のウインドウを見つけた事。
お婆ちゃんはコーヒーが大好きで、
その上アーティストで、どうしても、
ディスプレーされている形でコーヒー豆を
どうしてもあげたい事・・・・

こんこんと説明をする私を
じーっと見ていたお店の人、
話し終わった後、
「分かったよ!」
と一言言って、
そのパッケージを作ってくれました。

そして、リボンとか
凄く凝ってくれたんです。

包み終わって
「はい、どうぞ!」
と渡されました。
「ありがとう!!いくらですか?」
と聞くと、
「お金は要らないよ。
パリの色々なものの中で、
これをお婆ちゃんにどうしてもあげたいって思ったなんて
僕は光栄なんだ。
お婆ちゃん喜んでくれたら良いね!!」

パリでこんな事が起きるなんて、
思いもしていなかったので、
あまりにビックリしたのと、
なんだかその心がとっても嬉しかったので、
「ありがとう」を何度も言ったら、
「君の嬉しそうな顔を見ていると、
僕の方がありがとうをいいたいよ。」
と笑って
「じゃあね!」と送り出してくれました。






バジルの恋

2005年05月17日 13時11分27秒 | 思い出し話
私の友人カップルがどうやって結婚したかという話を
最近聞いてびっくり・・・

どんな話かというと・・・

バジルは若い頃とってもマリリンが好きだったんです。
で、「俺には彼女しか考えられない!!」と・・・
好きで好きでたまらなかったマリリンは
ある日他の人と結婚してしまいます。
バジルは他の人と結婚することはとても考えられず
ずーっとマリリンを愛し続けていました。

そして何年も何年も経って・・・・

ある日バジルはひょんなことから
マリリンと再会したのです。

そのときマリリンがご主人を亡くし、
未亡人になっていたことを知るのです・・・・

こうしてめでたくバジルはマリリンと結婚することが出来ましたとさ・・・

バジルは一生独身で居るつもりでいたんですって。
すっかり歳をめされてから
こんなことが起きるとは思っていなかったそうです。
それも、ずーっと会っていたわけじゃないしね・・・

素敵なお話です・・・

ヴァンス・・・マティスと教会

2005年05月16日 07時58分59秒 | 思い出し話
ニースからバスで20分くらい(と記憶しています)に
ヴァンスという小さい村があります。
そこにマティスがデザインした
ステンドグラスがあるという教会に行きました。

その教会は本当に小さくて、
とってもシンプルでモダンな作りなんだけど、
でも三角屋根のいかにも村の小さい教会という
感じでした。

中に入ると
真っ白な壁に黒のアウトラインで
両手を広げたイエス・キリストがメインに書かれています。
色んな言葉や絵があるんですけど、
どれも太い黒のアウトラインで、
ディーテールは一切ありません。

で、何が起きるかといいますと・・・

時間が経つにつれ、ステンドグラスの色が
そのアウトラインに乗せられていくんです・・・
そのステンドグラス自体は何も聖書的メッセージが
描かれていない、とってもシンプルな
マティスらしい、海草のようなパターンの
ものなんです。

とーっても不思議な世界です。

まるでアウトラインの一つ一つが
時間をかけてスポットライトを浴びていくようです・・・

普段ステンドグラスを見る場所って
往々にして古い石造りの教会で
暗いところに色つきの光が見えるというのが
定番(?)と思っていましたが、
ここは、白でめっちゃ明るい所に
色がかけられていくという発想でした。

なんだか天国を現したかったのかなと
思ったり・・・

カトリック教会ですから、
メディテイションを大事にしているわけです。
あの場所なら丸一日
メディテイションしたくなるなぁと思います。

アンティーブのピカソ

2005年04月23日 19時04分01秒 | 思い出し話
ニースでシャガールを観た話をしましたが、
その後、アンティーブという小さいニースの郊外にある町に
ピカソの60代の頃のアトリエがあるというので、
行きました。

南仏に居る頃のピカソの写真ってキャパが撮った
日傘をかざしている写真とか良く見ますよね。
なんだかちょっとお茶目な写真も多いと思います。

このアンティーブのアトリエは小さいんですが、
日の光が暖かいのと、
丸い窓が海に向かって並んでいます。
丸い窓から水平線やヨットが見えるんです。

この頃の作品はネオ・クラシックというやつが多いんじゃないでしょうかね。
(詳しくなくてごめんなさい)
なんだか、可愛らしい陶器の作品も多いんです。

なんだかそこでしばらく時間を過ごしていて、
ふと、ピカソってこの時期一番幸せだったんじゃないかなぁと思いました。

ピカソはワークホリックで有名ですよね。
大体ヨーロッパのピカソ美術館は回ったと思うんです。
バルセロナのは青の時代とか本当に初期の頃の作品が
沢山あるので有名ですよね。有名なお父さんの裸婦像を描いたデッサンもあります。

個人的には青の時代って彼の孤独を見る気がするんですよね・・・

アンティーブのアトリエの作品はピカソの笑顔が見える気がしました。
優しい作品が多いと思うんです。なんかがつがつした感じが無くて・・・

パリのピカソ美術館は私の一番好きなピカソ美術館です。
小さいけど、全体的に作品があるので、彼の芸術の流れが見えるからです。

私は特にネオ・クラシックの時代の作品がやはり一番好きですが・・・。

彼のデッサンの量の多さにいつも圧倒されます。
最後の「作品」にたどり着くまでのプロセスを見る時
彼の偉大さを感じるんです。

そして写真を見るといつもおしゃれですよね。
彼が良く来ている横じまのシャツはバスクシャツです。
彼自身はバスクじゃないと思うんですけど・・・違いますかね?

ずっと「ピカソはさっぱりわからない」と思っていたんですが、
美術館に行ってすっかり好きになりました。

もし彼と実際出会っていたらきっと恋をしたかもしれないと
思います。

続ピサの斜塔でスリを逮捕するーあゆみ編

2005年04月10日 15時42分23秒 | 思い出し話
前回、ピサの斜塔でスリを捕まえたという話をしましたが、
なぜ、あゆみ(仮称)がスリとにらみ合っていたのか・・・・
その謎(?)にお答えします。

********
ダイアンと分かれてあゆみはスリの後をつけた。
着かず離れず着いて行くと突然スリご一行様はばらばらになった。
「おや?」と思っていると、
二人がアイスクリームをのんびり食べているお爺ちゃんに向かって
「○△×☆」と怒鳴りだしたじゃあないか!
あゆみは「これって私達にやろうとしたのと同じ手口じゃないの!!」
と心で叫んだ。
お爺ちゃんはきょとんとした表情でアイスクリームをそれでも食べている。
そしてこの二人はまたまた大声でお爺ちゃんに何かを言っている。
そしてのこりの二人はお爺ちゃんの背後に忍び寄っていた・・・

ああ、もう我慢できない!!!

「お爺ちゃん!!!あぶなぁぁぁぁい!!!!!」

あゆみは居ても立っても居られず、とうとう大声でニホンゴで叫んだ。

するとお爺ちゃんに大声で何かを言っていた男の一人が
あゆみをにらんだ。
そして、ポケットに手を入れ、
まるでナイフか銃でも持っているかのそぶりをしながら
何かをいいながらあゆみに向かって近づいてきた。

「ダイアンはやく警察をつれてきて!」と
心で叫びつつ、あゆみはその男をにらみ返した。

やれるもんならやってみろ!

そう思ったとたん、
ダイアンの「あゆみ!!!」という叫び声が背後にした。
そして振り返るまもなくあゆみの横を白馬が・・・・
***********

後は前回の記事を読み返してくださいませませ。

ピサの斜塔でスリを逮捕するーダイアン編

2005年04月07日 13時11分47秒 | 思い出し話
バックパック旅行の話をしましたが、この旅行、
笑えることが沢山あった旅行だったんです・・・。

ローマでふと「せっかくイタリアにいるんだから、
ピサの斜塔をみないとだめなんじゃない?」
(計画があってないような旅行だったので・・・)
そんな調子でピサの駅に着きました。

まずはリュックを駅に預けて
ベンチに座り、パンを二人でほおばっていると・・・
「×○△☆」
と4人組みの男の子が私達に話しかけてきました。
食事を邪魔されてむっとしつつ「はぁ??」って顔でそっちを
見たとたん、イタリア人のおばちゃんが彼らを怒鳴りつけました。
とたんに雲の子を散らすように彼らは走り去りました。
私達は「何のことやら」と思っていたら、
このおばちゃん英語で
「あの子達あなたたちのかばんを狙っていたのよ。気をつけてね」
と言って去っていきました。
初の泥棒との接触に私達もどきどきしつつ、食事を終え、
さて、斜塔へ・・・と思ったら、
「ちょっと所までご同行願えませんか?」
と突然警察官が・・・
「何で?悪いことしていませんけど」と食って掛かると、
「いやいや、実はスリにあって困っている人がいて、
あなたがたもスリに会いそうになったと聞いたので、
どんな人だったのか聞きたいんです」
なるほどね・・・と思いつつ(今思えばなんで知ってたんでしょう)
警察署に・・・・。そこにはパスポートも取られてほとほとこまっている
アメリカ人の女性が座っていました。
かわいそうだな・・・と思いつつ、特徴等を話して、
警察署を出ました。

「こんなこともあるんだね~」なんて話をしながら
バスに乗って斜塔につくと、そこには見覚えのある顔が・・・・

そうです、スリです。

スリご一行様は私達より一足先に斜塔についていらっしゃったのです。

私達は考えました。
選択は二つ。
1.知らない顔をして斜塔を見学する。
2.警察に届ける。

私達の目にあの警察署でのアメリカ人女性の姿が浮かび、
バックグラウンドにはバイオリンの音が・・・・

「知らん顔なんてできない。警察に捕まえてもらおう!!」

二人で警察を探しつつ彼らをつけました。
彼らは大きなお土産や街を通り抜けていきます。
友達は彼らから目を離さず私はお土産やで「警察を呼んでください」と
お願いして歩きました。

大きなお土産やが近づいてきました。
「あそこならきっと英語が通じるはず」と私は直感しました。
スリご一行様はその角を曲がろうとしていました。
友人は「あんた、あの土産やにはいりーや。私はこいつらつけるわ」
ああ、なんて勇敢な大和撫子たちでしょう・・・

ここで私達は分かれて、私は急いでお土産屋さんで事情を話しました。
そうです、そこまで何件のみやげ物店で説明したことか・・・
英語がやっと通じたのです!!!
お店の人も慌てて警察に電話してくれました。
そして二人で店の外で警察を待っていると・・・・

ぱかぱかぱか・・・とひづめの音が・・・

警察は白馬に乗って現れたのです・・・・

その頃には店先には黒山の人だかりができていました。
店員さんを通訳に今の状況を説明して、
白馬の警察と店員さんと私と見物人のみなさんは
急いで角を曲がってみると!

友人とスリがにらみ合っているじゃないですか!!!

「あゆみ!!!(仮称)」という私の叫び声に振り返る友人。
そして私達をすり抜けてスリご一行様を逮捕する白馬の警察・・・・

本当にあった話です・・・・

アナナスの謎

2005年04月06日 12時19分48秒 | 思い出し話
イギリスで学生をしている頃、友達と2ヶ月バックパックの旅に出ました。
イギリスから船でベルギーにわたり、オランダ、ドイツ、スイスを抜けて
イタリア、南フランス、スペイン、フランス(パリ)そしてイギリスに
戻るというのんびりと貧乏旅行をしたわけです。

ユースホステルか友達の家か駅か車中泊か・・・
なかかなバックパッカーな旅でした・・・

イタリアのビチェンツァという街に住んでいる友達のところに
泊まっているとき、あまり暑いのでカフェで一休みした時のことです。
何を飲もうかという話になって、この友達、
「こういう日はアナナスジュースが美味しいんだぜ!」と言います。
「アナナスって何?」という私達の質問に、
しばらく天を仰いでいた彼はこう答えました。

「トロピカルフルーツなんだけどバナナじゃない」

その答えに全員が天を仰いで考えました。

・・・・わからない・・・・

分からないからたのんじゃえ!!とたのみました、
アナナスジュース。
こいつがうまい!!!

そんなわけで、この
「バナナじゃないトロピカルフルーツ」にはまりました。

毎日のように「バナナじゃないトロピカルフルーツジュース」を
飲み続け、とうとうフランスにたどり着きました。

そしてある日、その謎が解けたのです・・・

フランスについてスーパーマーケットに行きました。
やはりここではフルーツでしょう!みたいなノリでフルーツセクションに行くと・・・
Ananasと書かれた札が・・・
「!?」

「バナナじゃないトロピカルフルーツ」は
パイナップルでした・・・

どうしてジュースの味で分からなかったんだろう・・・

まさか、パイナップルという言葉を知らないとは思わなかった
私達が不覚でした・・・・。




ラブ・ストーリー①・・・メグの場合

2005年04月03日 02時20分00秒 | 思い出し話
私がイギリスに居るころからお世話になっている素敵なカップルが
居るのですが、ふと、彼らの話をしたいと思いました。
そんなわけで、2回に分けて彼らのラブ・ストーリをお届けします

**********
1950年代のイギリス ケント州に住むメグは30半ば独身の高校教師だった。
メグは女性なのに、神学でマスター(修士)を持つ宗教学の教師だった。まだそのような
学歴の先生が少ない時代から彼女は教師として働き、その業界ではそれなりに有名だった。
彼女の趣味はガーデニングの腕前もその人柄の良さも有名だったが、なぜか彼女自身の中に
「結婚をしたい」という気持ちがそれほど無いまま、30代半ばを過ぎようとしていた。
この頃の30代半ば独身というのはなかなか稀で、周りも色々せき立てたり、
お見合いまがいなことをしたり、色々するのだが一向にだれかと付き合うわけでもなく、
周囲の人々や両親もため息をついていたのだった。

30代の半ばに差し掛かった頃、メグは自分の将来を考えた。
自分がこの先一人で生活するためには・・・・・・
そうだ、家が必要だ!

そんなわけで、メグは家を買った。シングルライフを全うすべくだ。
一人で住むのはもったいない、と考え、知り合いの女性と家をシェアしつつ、
彼女はシングルライフを謳歌していた。
もう、このこの先結婚することは無いだろうと心のそこまで思っていた。

ある夏、友達のジェシカと夏休みに小旅行をすることになった。
彼女達はお気に入りの宿がオックスフォードにあったのだが、
どうしてもそこが取れず、同じようなクリスチャンが経営する値段が手ごろな
宿(B&B)が見つかったので、旅行は湖水地方と決まった。
メグは読みかけの本をかばんに入れ、ジェシカと、久しぶりの湖水地方へと
向かった。二人は忙しい仕事から一息つけるのを心待ちにしつつ、
湖水地方に行くのはいつ振りだという話をしながら、旅をした。

目的の宿は彼女達が想像したのをはるかに超えて素敵でかわいらしい
B&Bだった。わくわくしながら彼女達は宿に足を踏み入れた。

二人は夕食の後、ラウンジでしばらくおしゃべりをしていたが、
普段は元気なジェシカが珍しくこう言った。
「メグ、なんだか私疲れて眠いのよ。先に部屋で休むね」
「わかった。私ももう少しこの本を読んでから部屋に行くから、
先に休んでて」
ジェシカが手を振りながら二階の部屋に消えた後、メグは本の続きを
読んでいた。

すると突然、「その本、面白いですか?」と男の声が・・・・
顔を上げるとメグとニコニコ笑っている背の高い男性が立っていた。
「ええ、とっても面白くてなかなか途中でやめられなくって」
メグも笑って答えた。
「ここに座ってもよろしいですか?」
男は笑顔のまま丁寧にメグに聞いた。
「ええ、どうぞ」

その後、彼らはこの本について議論を交わし、
お互いの話をした。この男の名前はケン。メグが修士を取った同じ学校の卒業生で、
メグが入学した歳の卒業したと言うではないか。「奇遇だ」とメグは思った。
ケンはシェフィールドで牧師をしていた。院での専攻は音楽だと言う。
声の通る男で、なかなか好感のもてる人だと思った。
彼も忙しい仕事から一息つこうとお気に入りの湖水地方へ来たという。
趣味は油絵。

そんな話をして居る間に夜もふけたので、再会を約束して別れた。

その後の休暇はジェシカ、メグ、ケンの3人でハイキングをしたり、
食事をしたり、お互いを楽しみつつ、ゆったりと過ごした。

別れの朝、住所と電話番号を交換して、ケンはシェフールドへ、ジェシカとメグは
ケントへそれぞれ帰っていった。

それからメグはケンと手紙のやり取りを始めた。そしてそれはデートへと変化して行き、
とうとう二人は結婚することになった。メグは30代後半を迎えていた。彼女の結婚の知らせに
周囲は沸き立った。メグが結婚する?一体どんな相手と???

結婚の2日前、式のリハーサルで顔を合わせたとき、ケンはメグに
「実は君に話していなかったことがあるんだ」と真顔で言った。
「話していないこと?ケンに秘密があるってこと?」
メグの心は波立った・・・・

続く・・・・・

ラブ・ストーリー②はもちろん①の続き・・・ケンの場合

2005年04月03日 02時00分08秒 | 思い出し話
1950年代のイギリス シェフィールド州に住むケンは40代に差し掛かっていた。
家族も「いい加減結婚したら?」と会うたび口がすっぱくなるほどケンに言うのだが、
本人は結婚をする気持ちがさらさらないらしく、家族もため息をつくばかりだった。
彼は牧師であり、ピアニストであり、歌を歌い、作曲をし、油絵を描くのが趣味だった。
同時にテニスやハイキングが好きというアウトドアな一面も持っていた。
彼のダイナミックな説教と堅く聖書に立ち、自分の神学を持つ彼は牧師としても
有名だった。

もう一つケンが有名だったのは、女性にモテルことだった。現在の彼がどんな人かというだけでも、
十分なのだが、それに加えて背が高くてハンサムなのだ。
その上、オックスフォード大学の出身でもあるのだ。
どれだけの女性が彼の妻になりたいと願ったことか・・・
しかし、どんなに可愛らしい女性が食事に誘っても、
どんなに美しい女性がケーキを持って牧師を訪れても、
ケンは一向になびくそぶりも無く、親切な態度はあっても、
全く恋愛の対象として彼女達を見るという傾向は無かった。
そうなると、「ゲイなんじゃないか」という噂が立ちそうなものだが、
そんな噂も立つわけでもなく、周囲の関心は
「あのケンが恋に落ちる日が来るのか?」に集まっていた。

ある夏、ケンはとても疲れていた。教会もケンを気遣って長い休暇を出した。
そこで、お気に入りの場所、湖水地方でたっぷり絵を描いて、ハイキングをして
リフレッシュしようと思い立った。
いつも滞在している宿をとり、ケンはこの休暇を心待ちにしていた。

旅行の前日、ケンは夢を見た。

夢の中でケンは湖水地方に居た。いつもの宿だ。
自分の部屋に居るのだが、どうしても眠れなくてラウンジに行く。
ドアのガラス越しに本を読んでいる女性が見える。
ドアを開けると、その女性は丁度自分が読み終えたばかりの本を読んでいるではないか。

そこで目が覚めた。
「よほど疲れているんだな・・・」ケンはそう思った。
まだ行っていない旅行の夢を観るなんて、小学生じゃあるまいし・・・
そう自分を笑った。

目的の宿について、彼は二日が経っていた。
いつものように夕食を終え、部屋に帰って本でも読もうと思った。
しかし、なんだか落ち着かない。
「お茶でも飲もうかな」
ケンは思って、部屋を出た。ラウンジでお茶を飲むためだ。

階段を下りて廊下を曲がるとラウンジだ。
ケンは廊下を曲がってラウンジのドアを何気なく見た。
ガラスの向こうに一人の女性が椅子に座って本を読んでいるのが目に飛び込んできた。
「!」ケンの心臓の鼓動は急に早く脈打ち始めた。
これは夢に出てきたワンシーンじゃないか・・・
そのとき、ケンはとっさに祈った。
「神様、もしあなたがこの人と結婚するように私をここに連れてきたなら
それを教えてください。彼女があの本を読んでいるなら、私はそれがあなたからの
答えだと信じます。」

そしてドアを開けた・・・

彼女は「あの本」を夢中で読んでいた。

ケンはその瞬間に「ああ、僕はこの人と結婚するんだ」と確信した。
そして喜びで顔がほころぶのを抑えきれずに彼女の前にたって、
こう言った。「その本、面白いですか?」

ケンは結婚式の2日前、メグに夢の話、そして最初に彼女を見たときから
この人と結婚するのだと確信していたことを話した。
メグはぽろぽろ涙をこぼしながらそれを聞いていた。
そして彼はもう一度彼女に言った。
「僕と結婚してくれるかい?」