三木正夫 好きです須坂! がんばろう!

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子どもの才能伸ばすには 塚田みほりさんに聞く 褒めるより「できた」という実感

2015年06月19日 | Weblog

子どもの才能伸ばすには 塚田みほりさんに聞く 褒めるより「できた」という実感

信濃毎日新聞2014(平成26)年5月5日(月) 朝刊8ページ

 2014年2月にスイス・ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝し、4月に米ニューヨークで開かれた国際コンクールで1位になった二山治雄さん(松本市)。二山さんの才能を見抜き、小学生のころから指導しているのが、白鳥バレエ学園(長野市)教師の塚田みほりさん。

 子どもに対して物分かりが良く、時として摩擦を避けがちな親も多い中、子どもを鍛え、その才能を伸ばしていくには何が必要なのか。そのヒントを聞いた。

 子どもの才能を伸ばすには、教師との信頼関係が大事です。小学校高学年から治雄君を指導していますが、最初はバレエの基礎をあらためてやり直しました。一度できても、次の日はまた同じことをやり直すこともあり、本当に苦労しました。

 治雄君は体の柔軟性と強い筋力とを併せ持った珍しいタイプ。身体能力の高さは天性のものです。性格はおおらかで素直。常に周囲への感謝を忘れません。誰かが見ていようといまいと踊っている。踊ることが本当に好きなんです。

 おおらかな半面、弱気になるところもあります。ローザンヌの決勝の日は、前日の演技がうまくいかなかったこともあり自信をなくしていました。会場に向かうバスの中で泣きだしたので、頭を切り替えさせようと、自閉症の人の作品などを展示する美術館に連れて行きました。

 作品を見ながら「(自閉症の人たちは)他人から認められたい―ということでなく、自分の思いを表現している。(決勝では)出来不出来は考えず、終わってから『やり切った』と思えるようにしなさい」と助言しました。バレエは、才能のある人をつぶそうと、リハーサル室でけがをさせようとする人もいるような世界。まだ17歳。米国留学をきっかけに、自分の殻を破ってほしいと思います。

 子どもは褒めて伸ばす―という話を聞きますが、私はあまり褒めません。もう少し詳しく言うと、教師が外から褒めるよりも、子ども本人が自分の中で「できた」と実感することを大切にしてほしいのです。私が指導する時は、「今、こういう状態だから、こういうトレーニングをやってごらん」と助言します。それを受けて本人が努力し、できるようになると、「この感覚か」と実感できる。こうして可能性が広がります。

 最近は、子どもは変わりませんが、親が変わった。子どもの意見を聞きすぎる親が増えていると感じます。子どもの言うことはころころ変わるし、ちょっと痛かったり、つらかったりするだけで練習を嫌がります。それを見てすぐに「もうやめます」という親もいる。

 でも、一度やると決めたら、親は無理にでも続けさせることが大事。子どもが泣く姿を見るのは親にとってつらく、恥ずかしいかもしれませんが、そこで我慢する。子どもに自分の力でやらせ、危ないことがあれば手助けする。結果はすぐには出ません。親の役目は、子どもができるようになるまで寄り添い、見守ることです。

 親は子どもをわがままにしてはいけません。「自分はできる」と素直に信じて努力すれば、必ずできるようになります。

 努力の結果を実感できれば、バレエが面白くなり、もっと頑張るようになる。指導する側は、自分の今の力量を超えて頑張ることの大切さを教える。みんながみんな、ローザンヌで優勝できる訳ではありませんが、努力したことは、その分野に限らず必ず自分に返ってきます。

 子どもたちはみんな、すごい才能を持っています。それを見つけられるかどうか。治雄君がバレエに出合ったのは偶然です。運もありますが、子どもに、そうした出合いをつくってあげるのも大人の役割だと思います。

 [経歴]塚田みほり 白鳥バレエ学園教師

 白鳥バレエ学園(長野市)を主宰する母・塚田たまゑさんの指導で3歳からバレエを始める。短大卒業後、モナコに留学し故マリカ・ベゾブラゾバさんに師事。帰国後、同学園教師として指導に当たっている。

 白鳥バレエ学園(長野市)を主宰する母・塚田たまゑさんの指導で3歳からバレエを始める。短大卒業後、モナコに留学し故マリカ・ベゾブラゾバさんに師事。帰国後、同学園教師として指導に当たっている。

 


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