2011年度大会のUTMBは2010年度を思わせるような天候不順で幕開け、
本戦は5時間遅らせてのスタートとなった。
その中からTDSに出場したSさんの完走記をご紹介します。
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2011年のTDS、2回目の大会でまだまだ情報量は少なかったと思います。
そのことがフィジカルやメンタルのパフォーマンスに影響しましたか？
それはまったくなかったです。
高低差があるからきついレースなのだろうなとは思いましたが、
変に情報があってビビるよりも、「出てみなくちゃわからない」と開き直れたので楽ちんでした。
レース前立てた予想と実際のレースでの走りは異なりましたか？
・レース前の予想
全長112kmのうち、20時ごろの日没までの11時間で全行程の半分の56km、
夜中は速度が落ちるので1時間3kmのペースで30kmほど追加（合計86km）、
夜が明けたら残りの26kmを十分な余裕をもって走破。
うまくいけば2時間くらい余裕でゴールできる予定でした。
・実際のレース
コース変更があり120.3kmとなりました（大会公式サイトからダウンロードした完走証PDFでは119km）。
20:15の時点で55km地点だったのでここまではおおよそ予定どおり。
ちなみにヘッドライトが必要になったのは20:50ごろです。
50km過ぎぐらいからコース変更がありました。
元々は79.6km地点ということになっていたCol du Jolyに到着したのが、
ヘッドライトが必要なくなってから10分程度経過した後の6:36。
コース変更後の実際の距離は87.6kmとのことなので、進捗としてはおおよそ予定どおりですが、
この時点で残り32.7kmは誤算で、十分な余裕どころかギリギリの展開でした。
Col de la Youlazへの最後の登り（11kmぐらい）
ルート変更があった2011年のTDS。主催者側からのレースに関する情報はどのように手に入れましたか？
また情報は確実にゲットできましたか？
レース後、「ルート変更しているから道標に注意しなさい」という旨のSMSが携帯に届いているのがわかりました。
実際には走っている最中に地図と地形が違うので、
大会役員のいたところ（上述の「実際のレース」記載の55km地点）
でコース変更が起きたのか質問をして分かった次第です。
2011年のTDS、自身にとっての「ヤマ場」はどこで迎えましたか？
Col de Tricot（103.6km）からの下りです。
両足の足底に痛みを感じ、座って休んだあとで歩きを再開するものの、左足を捻ってしまい座り込む。
しばらくその繰り返しでした。
結局、Les Houches（112.4km）までの道のりで、
左足を3回捻りそのたびに座り込んで痛みが引けるのを待つこととなりました。
TDSルート中、「気持ち良かった区間」を教えて下さい。※または走りたかった区間
Col de Tricotからの下りです。
足を痛めていなければ軽く走りながらもっと写真を撮りたかったです。
夜中にとぼとぼ進んだCormet de Roselend（68.60km）からCol du Joly（87.60km）を
昼間走ったらどんな景色だったろうかなどとも考えます。
TDSルート中、「苦手だった区間」を教えて下さい。
暑さが苦手なので、第一関門のLa Thuile（21.2km）を過ぎたあとは地獄でした。
熱中症でふらふら。夜間のCormet de Roselend（68.6km）へ向かう途中のロードは眠くて最悪でした。
第一関門のLa Thuileへ（16kmぐらい）
レース中、エイドで「美味しかったもの」を教えて下さい。
特別においしいと思ったものがありません。まだまだですね。
パスタを食べたかったのですが、見落としなのか品切れなのかありませんでした。
レース中、エイドで「食べなかったもの」を教えて下さい。
フランスパンです。硬いパンは好きですが、レース中は手を出す気にはなりませんでした。
代わりに、干しぶどう入りの黒食パン（みたいなもの）やクッキーは食べました。
レース中、水分摂取はどのようでしたか？
エイドではコーラを飲んでから水を飲みました。
マイカップを使用している関係で、水があとだとべとつかずに済みます。
それとエイドではハイドレーションに水を補給しました。走っている最中は水だけです。
それ以上の特別なことはしていません。
TDS中に訪れた大エイド、主にどのように利用しましたか？
エイドに留まる時間は10分以内を目指しました。
ハイドレーションの水の残量は必ずチェックもしました。
第二関門Bourg St-Mauriceを抜けた直後（44.5kmぐらい）
TDSはどのような大会でしたか？
・コースやエイドなどルートに関して
ルート変更がありロード区間が長かったのはちょっと残念な気もしますが、
ちょうど眠い時間帯だったので、こちらのほうが安全だったのかもしれません。
夜間は景色もまったく楽しめなかったですが、最後のCol de Tricotの絶景ですべて埋め合わせです。
・大会の雰囲気などに関して
途中の応援もシャモニの街の応援も言うことなしです。
UTMBの中で一番最初に終わるレースであるTDSに出たので、
UTMBのスタートやゴールの応援を楽しめたのも良かったです。
国内で数々のマラソン大会の経験豊富なSさん。その経験は今回の大会で生かされましたか？
ウルトラトレイルでは、時として足が動かなるような痛みや全身の機能低下に襲われることがあっても、
ちょっと休んだり補給食をとったりするだけで再び走り出す（歩き出す）ことができるという経験が生きました。
それと、私はふだんからトレイルレースの時は行動食などたくさん持ち、
ザック総重量5kg以上で走っているので、
レギュレーションのきびしいこの大会での装備（ザック総重量6kgぐらいになりました）でも特に気になりませんでした。
UTMBに参加されて、国内大会と異なるところはありましたか？
シャモニの街全体がレースを支えているということです。
シャモニの街・市民・観光客の登山やアウトドアスポーツに対する敬意は1年や2年で培われたものではありませんね。
(残念ながら日本のトレイルランレースのほとんどは、住民とも観光とも切り離されて「好き者が勝手にやっている」
という感じの大会が多いのではないかと思います。
もちろんそれは変えていく必要があり、その責任は私たちひとりひとりにあると思います。）
Les Contaminesを抜けた後Col de Tricotを目指す（101kmぐらい）
レース中、まわりの選手との具体的なエピソードがあれば教えてください。
熱中症になった区間(第一関門のLa Thuile 21.2km を過ぎたあと)、多くの選手から心配されました。
フランス人の選手となんとか会話が通じたのがうれしかったです。
フランス人「大丈夫？」
私「大丈夫。暑いです」
フランス人「xxxxxxxx」
私 意味がわからないという顔をする。
フランス人 川の水でタオルを濡らしてうなじや顔を冷やすんだよ、という身振り手振り。
私「はい。ありがとう」
フランス人「どうしてxxxxxxxx」
私（熱いのにどうして手袋をしているのという意味と理解）転んだ時に手をつく物まねをする。
フランス人 うなずく。
（xxxxxxxxは聞き取れなかったところ）
Les Houches（112.4km）までの下りで3回目の左足を捻ってしまい、
座り込んでいた時に追い越そうとした選手2人（国籍未確認）が
「関門まで残り時間がないよ」と英語で言ってくれました。
足はボロボロだけれど、この二人について走って行こうと思いました。
Les Houchesに到着したのは関門10分前です。
（距離が延長になったせいか、Les Houchesはそれから10分後に締め切りにはならなかったようです。
TDSの完走者とされる781人中81人は制限時間の31時間を越えてのゴールでした。）
沿道の応援に「Merci」と何度も言いながら、恋い焦がれたゴールへ
2012または2013年のUTMBには出場予定ですか？その場合、よろしければ目標を教えて下さい。
TDSでぎりぎり完走なのにおこがましいですが2012年に出るつもりです。
2011年の大会はUTMB落選でTDSに振り替え出場しましたが、2012年のUTMB優先エントリー権があります。
目標は完走です。第二目標は写真をとりまくること。
第三目標はフランス語をもうちょっと話せるようになること。
第四目標はストックなしで挑戦すること。
最後の目標は気が変わるかもしれません。TDSをストックなしでけっこうきつかったので。
UTMB以外で参加してみたい(参加してよかった)大会国内・海外を問わず教えて下さい。
トレイルかロードを問わずウルトラ系が好きです（完走だけが目的でいつもへろへろですが）。
おんたけウルトラトレイル、信越五岳。ロードでは野辺山、えちご・くびき野。
短めのレースでもおもしろいなあと思う大会はあります。
2009年の名栗U字連山スーパートレイルランはトレイルの魅力満載だったと思います。
小布施見にマラソン（ハーフマラソン）も大好きな大会です。
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※ルートマップはUTMB公式サイトからのものです。
※画像はSさんのブログ「しらちゃん日記」からのものです。
・関連情報
TDS完走記～Sさん01～
他のUTMB/CCC体験記を見る
本戦は5時間遅らせてのスタートとなった。
その中からTDSに出場したSさんの完走記をご紹介します。
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2011年のTDS、2回目の大会でまだまだ情報量は少なかったと思います。
そのことがフィジカルやメンタルのパフォーマンスに影響しましたか？
それはまったくなかったです。
高低差があるからきついレースなのだろうなとは思いましたが、
変に情報があってビビるよりも、「出てみなくちゃわからない」と開き直れたので楽ちんでした。
レース前立てた予想と実際のレースでの走りは異なりましたか？
・レース前の予想
全長112kmのうち、20時ごろの日没までの11時間で全行程の半分の56km、
夜中は速度が落ちるので1時間3kmのペースで30kmほど追加（合計86km）、
夜が明けたら残りの26kmを十分な余裕をもって走破。
うまくいけば2時間くらい余裕でゴールできる予定でした。
・実際のレース
コース変更があり120.3kmとなりました（大会公式サイトからダウンロードした完走証PDFでは119km）。
20:15の時点で55km地点だったのでここまではおおよそ予定どおり。
ちなみにヘッドライトが必要になったのは20:50ごろです。
50km過ぎぐらいからコース変更がありました。
元々は79.6km地点ということになっていたCol du Jolyに到着したのが、
ヘッドライトが必要なくなってから10分程度経過した後の6:36。
コース変更後の実際の距離は87.6kmとのことなので、進捗としてはおおよそ予定どおりですが、
この時点で残り32.7kmは誤算で、十分な余裕どころかギリギリの展開でした。
Col de la Youlazへの最後の登り（11kmぐらい）
ルート変更があった2011年のTDS。主催者側からのレースに関する情報はどのように手に入れましたか？
また情報は確実にゲットできましたか？
レース後、「ルート変更しているから道標に注意しなさい」という旨のSMSが携帯に届いているのがわかりました。
実際には走っている最中に地図と地形が違うので、
大会役員のいたところ（上述の「実際のレース」記載の55km地点）
でコース変更が起きたのか質問をして分かった次第です。
2011年のTDS、自身にとっての「ヤマ場」はどこで迎えましたか？
Col de Tricot（103.6km）からの下りです。
両足の足底に痛みを感じ、座って休んだあとで歩きを再開するものの、左足を捻ってしまい座り込む。
しばらくその繰り返しでした。
結局、Les Houches（112.4km）までの道のりで、
左足を3回捻りそのたびに座り込んで痛みが引けるのを待つこととなりました。
TDSルート中、「気持ち良かった区間」を教えて下さい。※または走りたかった区間
Col de Tricotからの下りです。
足を痛めていなければ軽く走りながらもっと写真を撮りたかったです。
夜中にとぼとぼ進んだCormet de Roselend（68.60km）からCol du Joly（87.60km）を
昼間走ったらどんな景色だったろうかなどとも考えます。
TDSルート中、「苦手だった区間」を教えて下さい。
暑さが苦手なので、第一関門のLa Thuile（21.2km）を過ぎたあとは地獄でした。
熱中症でふらふら。夜間のCormet de Roselend（68.6km）へ向かう途中のロードは眠くて最悪でした。
第一関門のLa Thuileへ（16kmぐらい）
レース中、エイドで「美味しかったもの」を教えて下さい。
特別においしいと思ったものがありません。まだまだですね。
パスタを食べたかったのですが、見落としなのか品切れなのかありませんでした。
レース中、エイドで「食べなかったもの」を教えて下さい。
フランスパンです。硬いパンは好きですが、レース中は手を出す気にはなりませんでした。
代わりに、干しぶどう入りの黒食パン（みたいなもの）やクッキーは食べました。
レース中、水分摂取はどのようでしたか？
エイドではコーラを飲んでから水を飲みました。
マイカップを使用している関係で、水があとだとべとつかずに済みます。
それとエイドではハイドレーションに水を補給しました。走っている最中は水だけです。
それ以上の特別なことはしていません。
TDS中に訪れた大エイド、主にどのように利用しましたか？
エイドに留まる時間は10分以内を目指しました。
ハイドレーションの水の残量は必ずチェックもしました。
第二関門Bourg St-Mauriceを抜けた直後（44.5kmぐらい）
TDSはどのような大会でしたか？
・コースやエイドなどルートに関して
ルート変更がありロード区間が長かったのはちょっと残念な気もしますが、
ちょうど眠い時間帯だったので、こちらのほうが安全だったのかもしれません。
夜間は景色もまったく楽しめなかったですが、最後のCol de Tricotの絶景ですべて埋め合わせです。
・大会の雰囲気などに関して
途中の応援もシャモニの街の応援も言うことなしです。
UTMBの中で一番最初に終わるレースであるTDSに出たので、
UTMBのスタートやゴールの応援を楽しめたのも良かったです。
国内で数々のマラソン大会の経験豊富なSさん。その経験は今回の大会で生かされましたか？
ウルトラトレイルでは、時として足が動かなるような痛みや全身の機能低下に襲われることがあっても、
ちょっと休んだり補給食をとったりするだけで再び走り出す（歩き出す）ことができるという経験が生きました。
それと、私はふだんからトレイルレースの時は行動食などたくさん持ち、
ザック総重量5kg以上で走っているので、
レギュレーションのきびしいこの大会での装備（ザック総重量6kgぐらいになりました）でも特に気になりませんでした。
UTMBに参加されて、国内大会と異なるところはありましたか？
シャモニの街全体がレースを支えているということです。
シャモニの街・市民・観光客の登山やアウトドアスポーツに対する敬意は1年や2年で培われたものではありませんね。
(残念ながら日本のトレイルランレースのほとんどは、住民とも観光とも切り離されて「好き者が勝手にやっている」
という感じの大会が多いのではないかと思います。
もちろんそれは変えていく必要があり、その責任は私たちひとりひとりにあると思います。）
Les Contaminesを抜けた後Col de Tricotを目指す（101kmぐらい）
レース中、まわりの選手との具体的なエピソードがあれば教えてください。
熱中症になった区間(第一関門のLa Thuile 21.2km を過ぎたあと)、多くの選手から心配されました。
フランス人の選手となんとか会話が通じたのがうれしかったです。
フランス人「大丈夫？」
私「大丈夫。暑いです」
フランス人「xxxxxxxx」
私 意味がわからないという顔をする。
フランス人 川の水でタオルを濡らしてうなじや顔を冷やすんだよ、という身振り手振り。
私「はい。ありがとう」
フランス人「どうしてxxxxxxxx」
私（熱いのにどうして手袋をしているのという意味と理解）転んだ時に手をつく物まねをする。
フランス人 うなずく。
（xxxxxxxxは聞き取れなかったところ）
Les Houches（112.4km）までの下りで3回目の左足を捻ってしまい、
座り込んでいた時に追い越そうとした選手2人（国籍未確認）が
「関門まで残り時間がないよ」と英語で言ってくれました。
足はボロボロだけれど、この二人について走って行こうと思いました。
Les Houchesに到着したのは関門10分前です。
（距離が延長になったせいか、Les Houchesはそれから10分後に締め切りにはならなかったようです。
TDSの完走者とされる781人中81人は制限時間の31時間を越えてのゴールでした。）
沿道の応援に「Merci」と何度も言いながら、恋い焦がれたゴールへ
2012または2013年のUTMBには出場予定ですか？その場合、よろしければ目標を教えて下さい。
TDSでぎりぎり完走なのにおこがましいですが2012年に出るつもりです。
2011年の大会はUTMB落選でTDSに振り替え出場しましたが、2012年のUTMB優先エントリー権があります。
目標は完走です。第二目標は写真をとりまくること。
第三目標はフランス語をもうちょっと話せるようになること。
第四目標はストックなしで挑戦すること。
最後の目標は気が変わるかもしれません。TDSをストックなしでけっこうきつかったので。
UTMB以外で参加してみたい(参加してよかった)大会国内・海外を問わず教えて下さい。
トレイルかロードを問わずウルトラ系が好きです（完走だけが目的でいつもへろへろですが）。
おんたけウルトラトレイル、信越五岳。ロードでは野辺山、えちご・くびき野。
短めのレースでもおもしろいなあと思う大会はあります。
2009年の名栗U字連山スーパートレイルランはトレイルの魅力満載だったと思います。
小布施見にマラソン（ハーフマラソン）も大好きな大会です。
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※ルートマップはUTMB公式サイトからのものです。
※画像はSさんのブログ「しらちゃん日記」からのものです。
・関連情報
TDS完走記～Sさん01～
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