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【鉄人】電気自動車の将来と未来のクルマ社会を占う《後編》その4

2009-10-07 17:20:35 | 車・バイク



都市に人口が集中するにしたがって、都市には人流、物流の効率化が求められる。また、そうした巨大都市の機能を支えるエネルギーと情報、生活用品、生鮮食料品などの供給の仕組みを再構築する必要がある。

都市の主な人流の交通機関は垂直・水平移動、斜め移動、鉄道などの公共交通機関となる。つまり、エレベーターや動く歩道、エスカレーター、ビル間を結ぶ新交通システム、鉄道・地下鉄、それに老人用の進化した電動車椅子などだ。

そして物流は、エアーシューターや磁気浮上を利用した無人の配送システムを都市内に縦横に張り巡らせることで、効率化と省エネルギー化を図るのが望ましい。

現在の個人所有の自動車による都市交通は、積極的に否定されるべきだ。一方で、緊急自動車や消防車、工事作業車、パトカーなど公共の車両は、現状の自動車に近い形態の電気自動車として残る。

都市の周辺には、工場や住宅地域、農地、エネルギーセンター(変電や蓄電設備、都市全体で太陽光発電など)、データーセンターなどを配置する。こうした周辺と都市との移動手段は、公共交通機関が中心になる。

住宅地域から工場や公共機関の駅まで、買い物には個人所有の小型の電気自動車が用いられ、その走行距離は短い。駅の駐車場は太陽光発電設備を有し、駐車中に充電を行う。休日に遠出する際は目的地近くまで公共機関を使い、そこから電気自動車のレンタカーを利用するパーク&ライドシステムになる。

大きく変化するのは、農業地域だ。工場生産に近い形になり、耕作や生産、収穫に必要な農業機材はすべて電気エネルギーによって駆動される。また、農家の人たちの買い物や公共機関の駅までの交通には個人所有の小型の電気自動車が用いられ、その走行距離は短い。

以上が、筆者がイメージする電気エネルギーを主体とした社会の具体像だ。自動車は個人で所有するものから、社会で共有して必要時に利用するものに変わる。そして長距離移動は公共機関で行い、自動車は100km程度までの短い距離の移動手段へと変わるだろう。



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