鉄人 須藤 將のホームページ

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【鉄人】新型レガシィのコンセプトを明確化した大型化戦略その2

2009-07-29 06:48:19 | 車・バイク


富士重工業は第二次大戦中、世界的に優秀な戦闘機を数多く生み出した、当時の日本で最大の航空機メーカー「中島飛行機」の流れを汲んでいる。戦後は、モノコック構造の軽量ボディーなど航空機の設計思想を自動車に応用して、国民車の「スバル360」を開発した。

続けて開発したのが「スバル1000」で、水平対向エンジンをフロントに搭載してフロントホイールを駆動する(=FFレイアウト)画期的なクルマだった。当時はまだ世界的にFFの技術が確立していなかった時代で、多くのクルマに影響を与えている。

スバル1000が現在のレガシィへと発展する過程で、排気ガス対策装置の設置、エンジン排気量の拡大・高出力化(6気筒化を含む)、衝突安全性の問題が出てきて、スバル1000のシンプルなレイアウトが難しくなった。

先代レガシィは、水平対向エンジンの前方を持ち上げた形で斜めに搭載していた。通常は平行にレイアウトするフロントフレームは、ダッシュボード側を狭くして車両前部を広げ、サスペンション搭載スペースなどとのバランスを取っていた。 このレイアウトでは、フロント衝突時の衝撃吸収性能で少し不利になる。

新形レガシィはボディー大型化によってエンジンルームの幅も拡大され、こうしたレイアウト上の課題が解決し、スバル1000のレイアウトの自由度を再び取り戻したのではないだろうか。フロント衝突時の衝撃吸収性能も向上し、さらに重量増を抑制したボディー構造を採用している。

バランスが取れた優れたフロントレイアウトによって、優れた走行性能や安全性などを進化させ、さらに乗る人すべてが快適に過ごせる居住空間と優れた環境性能を実現している。スバルが掲げる「より遠くまで、より愉しく、より安全に」というグランドツーリングの一貫した思想が、さらに強化されただろう。


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