鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジン開発物語 その17

2010-01-17 04:54:41 | 車・バイク

また工業製品として歩留りを良くするための研究、さらに出来上がったカーボンの中から非破壊で良品を選び出す検査方法の開発が行われた。

カーボン製アペックスシールを量産するにあたって、やはり精度を確保しなければいけない、品質も当然の課題。量産したカーボン製アペックスシールが、うまいことエンジンのなかで作動して長時間もつということが必須である。

1本1本、保証しなければいけない。アルミ含浸は、石垣みたいにうまいことアルミの隙間をカーボンで埋める複合材である。ムラがないか、均一かということを確認しなければいけない。初めてのことだから誰もその方法を知らない。量産の精度、品質を保証するための検査方法を開発しなければならなかった。

大関は、レントゲンを撮ってくれと、このアペックスシールを持って本社の向かい側にあるマツダ病院へ行った。カーボンの中に金属がどう入っているか、均一であるかが見える。それでなんとなく判断できる、ということが分かった。
大関は、専用のレントゲン撮影機を入れたり、あるいは電気抵抗を測って、純カーボンと、アルミ含浸がキレイにできているモノの標準値を作成して、バラツキを調べたりした。金属が余計に入ってないか、それこそミリグラム単位で重量を測って、それで分かるとか、手探りでいくつかの項目をチェックして、これは大丈夫だと確信持てるまでになった。

この様にしてロータリーエンジンは十分商品として実用に耐えるものへと近づいていった。

カーボン製アペックスシールの開発で、日本カーボンに特別チームが作られたが、多くのエンジン部品は、社外の協力無くして開発は不可能である。

電気関係の三菱電機を始め、スパークプラグのNGKとデンソー、それからオイルシールの日本シール、シール用スプリングの日本発条。これらの部品はレシプロでは使わないような技術を要求されていた。

特に、スパークプラグでNGKとデンソーの協力が得られたことも大きかった。
今まで市販されているスパークプラグをロータリーエンジンに装着したら、100時間も運転したら溶けてしまった。レシプロエンジンだったら冷たい吸気で冷やされるが、ロータリーエンジンでは常に高温にさらされているためすぐにダメになってしまう。スパークプラグ屋さんにはもう三日もおかず、ダメでしたといって何10種類と試作品をお願いした。

スパークプラグのガイシのところは、焼き物で、粘土からつくって、いろんな種類つくるのに何ヶ月もかかる。試作にものすごい時間がかかった。

マツダでも、スパークプラグをちょっと奥にひっこめたりしてテストしたが、これだけでもすごい時間かかった。

最終的にはスパークプラグ屋さんが、白金の電極を主体にして解決してくれた。
後に、レシプロエンジンにこの技術が生かされ、今では10万キロ無交換となている。

オイルシールも、日本シールに無理をいって、色々な材料や寸法のものを開発してもらってテストした。

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