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(07/06/01)

あなたを忘れない

2007年01月26日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。
1月27日公開の「あなたを忘れない」の試写会に行ってきました。
NANA以上に中身のないバンド映画と化していて、すぐに忘れそうな作品でした。
事実に基づいたフィクション、ですか。要するにフィクションで、おいしい事実だけつまみ食い、と。
2001年に新大久保駅ホームに転落した酔っ払いを助けようとして轢死した
韓国人青年を題材にしています。
迫り来る電車がありながら線路に下りる行為は誰にでも出来るものではありませんが、
その場にいればそうしてしまう人間は決して一人ではありません。現にこの事故でも
もう一人同じように轢死しています。
言うならば事故の直前までの彼はどこにでもいる平凡な人間です。その半生をそのまま
映画にして多くの人の心を動かすような存在ではありません。平凡な人間の平凡な日常。
そんな映画として成立しえない映画に何を描くか、それはまさに作り手の本性が
現われると言ったら言い過ぎでしょうか?
平凡な人間だからこそ現われる人間の普遍性のようなものがあったのではないでしょうか?
ところがこの映画では、事実に基づいてはいてもフィクションだから足りない部分は
嘘っぱちで安っぽいありきたりのフィクションで水増ししてしまえ、と言わんばかりの
頭を抱えてしまいそうなエピソードのオンパレードになってしまいました。
もちろんどこまでが事実なのかは部外者のわてには分かりません。しかし全ての
エピソードが「パチンコで勝ってぬいぐるみに換えて子供にプレゼント」とか
「タクシーに撥ねられてフロントガラスを割るような大事故なのに通行人全員
見て見ぬフリ」とか「見知らぬグループのサッカーに突然さわやかに乱入」とか、
ワンパターンな嫌韓の原因とか、そんな噴飯ものと同じ並べられ方をされた日にゃ、
どんな美談も風化した砂上の楼閣です。
上映中あちこちで鼻をすすり上げるような音、涙を拭くような動きが見られたのですが、
これは自己犠牲の事実に涙をしていたのであって、映画に感動したわけじゃないと思いますよ。

今年見た4作品中4位

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