TUGUMI  吉本ばなな

2021年05月28日 17時51分29秒 | Weblog

 有名だけど、まだ読んでいなかった、吉本ばななさんの本!

ようやく図書館で見つけた。緊急事態宣言中、図書館が閉館するのに合わせて借りた本、いよいよラスト!

ラストを飾るにふさわしい、「死が近い」ばなな小説。

 例えば、石田衣良さんの小説を手に取って読んでみると、毎回、新鮮な気分になる。

もし、石田衣良作品を全く知らず、読んだことが無い人が、作者名とタイトルを伏せられた状態で彼の小説を読んだなら...

10冊なら10冊、20冊なら20冊とも、別々の人が書いたと思うだろう。

これは凄い事だと思う。恐らく誰も真似できない。 主人公は、女子大生だったり、主婦だったり、中年男だったり、老人だったり、小学生だったり。

扱うテーマも幅広いのだ。引き出しが沢山あるのね。努力家で彼自身、もの凄い読書家で、そして才能だなぁ~ 尊敬する!

 

 一方の 吉本ばなな(よしもとばなな)さん。

『キッチン』を読んでも、『TUGUMI』を読んでも、『エッセイ』を読んでも...

彼女が書くものは、どれを読んでも、 何を読んでも、「ばなな作品🍌」なんだよなぁ。

同じ空間、同じ熱、同じ世界、同じ光と闇、そして月夜を感じる。

いつも月を眺めている気がする。 

あの独特の空間で。同じ熱を帯びて。どんよりと暗い闇で。月夜のような おぼろげな光を感じる小説っていうか...

とにかく、ばなな小説なんだよなぁ。 

どこまで行っても、ばなな。

これは、これで、凄い事だと思う。

誰も真似できない。

唯一無二。

 

そして...どういう訳か、彼女の本について書く時、自分も引っ張られてしまうんだよなぁ。(苦笑)

 

以下、TUGUMIについて、自分も思っているか、感じていることだ!通った箇所を抜粋します;

 

「ひとりの人間は あらゆる段階の心を、あらゆる良きものや汚いものの混沌を抱えて、自分一人でその重みを支えて生きてゆくのだ。まわりにいる好きな人達になるべく親切にしたいと願いながら、ひとりで。」47ページ 3行目~6行目

 

 つぐみは首をかしげて、つぶやくように、ささやくように言った。

「... 会話の前半、略。

 (注:これまでの恋愛を火に例えて語る、つぐみ)

 「対岸の火事を暗い川辺で見てるのさ。いつ火が収まるかまで見えちまって、眠りそうに退屈だった。そういうのは、きちんと終わっちまうからね。恋愛に何を求めているんだろうと思ったよ。この年で」

 「そりゃそうだよ。人は、自分が出した分を返してくれなかったら必ずいつか去ってしまうものだ」

 父は言った。

 (135ページ6行~11行)

 

現五郎(犬)と戯れながら、犬は人間みたいに裏切らない、という会話から~

「...っていうかさ、人間ってどうしても次々に新しいものと出会って、ちょっとずつ変わっていくだろう。いろんなことを忘れたり、切り捨てたり、どうしてもしちゃうしね。やることがいっぱいあるからだろうけど」 (151ページ3~5行目)

 

特に、最後に抜粋した、「人間ってどうしても...」これって、まわしく今の自分だな~と。多くの場合、自然と疎遠になるものだけど、中には 無意識に切り捨てたり、意図的に終わらせたり、切り捨てられたりしながら、最初の引用文に戻って、

「ひとりの人間は あらゆる段階の心を、あらゆる良きものや汚いものの混沌を抱えて、自分一人でその重みを支えて生きてゆくのだ。まわりにいる好きな人達になるべく親切にしたいと願いながら、ひとりで。」47ページ 3行目~6行目 

そう、誰にでも、じゃなくて、好きな人達に、です。

当たり前だけど、人生は ひ・と・り・で。

「幸せとは、自分は実はひとりだということをなるべく感じなくて良い人生だ」

と、「キッチン」に記されてあったのを見て、衝撃的だったし、これから先、ずーっと、この作家さんと、これから先の人生も歩んでいくのだろうな、と直感した。

実際、その通りになった。

作家って、本って、凄いことだよね、ほんと!

 

 

 

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