
蓮は
花のなかに
ひかりを宿して咲く。
まるで、
おのずから
ひかりを発しているようだ。
身のうちのひかりを
ほんのりと
外に透かして
たおやかに風に揺れている。
蓮の精
天女
この世ならぬ
そんな美しいものが
開いた蕾からあらわれても
きっと驚かない。
そんな花だ。
ひっそりと
心ゆくまで眺めていたい。

近所の蓮池は
6月上旬からずっと
カワセミと蓮のショットを狙うカメラマンが
朝早くから詰めかけていて
四六時中
池の周りをぐるっと囲んでいる。
セレブを待つカメラの列みたいで
すごい密で、
恐れをなして近づかなかったのだけれど
今朝はちょっと人が少なくて
引き寄せられた。
淡いひかりを
ほんのりと宿す花を眺めていると
時間が消え去る。
止まるのではなくて
時間そのものが消え失せる。
写真を撮るのも忘れていて、
そのうちに
なんだか人が増えてきてハッとして、
去り際に、あわてて数枚。

蓮も
盛りはもう過ぎてしまっていて
シャワーヘッドのような実がたくさんできていた。
真夏が、やって来ますね。
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