菜の花1/29

春風を連れて二歳の孫来る
桜草まだ咲きかねて葉にひそみ
水揚げて愛でし菜の花食膳に

大寒1/26

大寒やきりりと箍を締め直し
漱石の辿りし路地や初句会
つんつんと梢空指す栃冬芽
さんさんと雪さんさんと庭を埋め
八十媼音吐朗々初吟会
一月や眉の白髪紛れ無く

沈丁花1/20

指に触れかさと崩れる蝉氷
沈丁花淡き色香の漂いぬ
二歳児の屈む庭先福寿草

臘梅1/18

十円の豌豆の苗店頭に
侘助や犬長々と日溜りに
臘梅や朝錬に行く女子学生
寒禽の梢を揺らす声残し

寒椿1/17

寒の水井戸に溢れる奈良井宿
寒暁の屋根も梢もシルエット
寒椿生誕の碑立つ夏目坂

広州・海南島1/10

冬晴れの珠江一筋香港え
初春や眼下に秀麗富士拝す
鑑真の修行の洞や冬日影
海坂を滑るが如く冬落暉

水仙1/4

水仙の花おちこちに日を集め
幸せは二日の空の水色に
孫去りて静けさ戻る二日かな