さくらんぼ6/29

額の花谷戸の庄屋の長屋門
五列縦隊彩艶々とさくらんぼ
合歓の花高層マンション竣工す

白粉の花6/26

花木槿旅の思い出湧く如く
街角の白咲き初め白粉の花
赫々と空引き寄せる淩霄花

竹落葉6/21

高き樹に低き草にも蛍の火
夕暮れて竹落葉踏む峠道
掌に溢れ毬紫陽花の軽々と

淩霄花6/19

未央柳金糸の蕊の搖蕩ぬ
蛙聴く夕暮れ近き谷戸の道
音信の途絶えし友や淩霄花

蛍6/17

蛍火や彼岸此岸を漂いぬ
思い出は蛍火の如し父母の事
乱舞にはあらねど谷戸の夕蛍

明け易し6/14

明け易し丑三つ時の深夜便
万緑をかすめ爆音基地の町
さっぱ舟水棹操り梅雨に入る（潮来回想）

額の花6/12

木洩れ日の紫陽花の路老夫婦
真青に斜面染め上げ紫陽花
こっとんと水車は回る額の花

バラ園6/11

もくもくと溢れ零れて栗の花
暮れ泥む空は我が物夏燕
バラ園の孫の後追い一巡り

花栗6/9

鶏鳴や枇杷の色づく角曲る
花栗のむくむく溢れ坂下る
通学路真赤なカンナとすれ違い

百合6/8

里山の山百合の香の慎ましく
去年よりきれいに咲いて庭の百合
紫陽花を打つ雨激し厨窓