花冠創刊号投句

青空のかくも深きや鳥渡る
茶の花の蕊清々し乳搾り
茅葺きの屋根白々と後の月
ざわざわと紅の萩さわさわと白の萩
あちこちに子らの喚声栗林
朝顔の藍咲き上り白雲へ
黍の穂の揃い青空遠くなり

釣舟草10/18

＜四季の森公園吟行句＞
倒木の洞に顔出す赤のまま
池の面に影投げかけて柳散る
葦原の命の水の時刻み
群れ咲きてそよとゆるるや柚香菊
池端に一本残る彼岸花
背のリュック少し揺れをり釣舟草
木漏れ日やまだ彩見せぬ山紅葉

十三夜10/13

＜十三夜句会投句＞
ざわざわと紅の萩さわさわと白の萩
赤い実と葉の触れ合って花みずき
白雲を横切る飛機の灯十三夜

金木犀10/5

挨拶を交す街角金木犀
鳩くくと飛び立つ斜面泡立ち草
線路沿い芒穂続くどこまでも

水引きの花10/3

ジンジャーの仄かな香り星月夜
水引きの日に耀ひて武相荘
振り向けば柿の木覆う長屋門

実むらさき9/27

公園の角を曲れば実むらさき
教会へ一筋の道花すすき
葉の滴こぼれ枝垂れる萩の花

彼岸花9/20

入らぬと決めて詣でる秋彼岸
彼岸花彼岸へ一歩誕生日
＜孫からの手紙＞
郵便受颯太の手紙敬老日

葛の花9/17

あちこちに子等の喚声栗林
すっぽりと老木覆う葛の花
木漏れ日の水引灯す雑木林

栃の実9/16

＜十五夜ネット句会投稿句＞
雲晴れて孫と眺める良夜かな
守衛所に栃の実盛られ体育館
はらはらと桜紅葉の雨に散り

鳳仙花9/1

凡凡と一日過せり鳳仙花
稲妻やおどろ激しき雨連れて
嬰を抱く余生数えて秋薔薇