杉並どうぶつ相談員

杉並区と協働し、人と動物が和やかに暮らせる地域をめざします。

狂犬病の予防接種は必要です。

2015-03-25 22:35:14 | イヌ
朝日新聞 「狂犬病 世界で発生 注射は必要」より転載します。

(倉吉動物医療センター会長 山根義久氏へのインタビュー)

◇ペットとともに

 ――毎年春になると、役所から狂犬病予防注射の案内が届きます。

狂犬病予防法で生後91日以上の犬は、飼い始めた日から30日以内に
住んでいる市区町村に登録する必要があります。
そのうえで毎年4~6月に狂犬病のワクチン接種が義務付けられています。


狂犬病は、発症している哺乳類にかまれ、その唾液(だえき)中に含まれるウイルスが
傷口から体内に侵入することで感染する病気です。
犬の場合、潜伏期間は2週間から2カ月程度。まず挙動が不審になり、
次第にかみつくなど凶暴化し、最終的に麻痺(まひ)状態になって死に至ります。
発症するとほぼ100%が死ぬたいへん恐ろしい病気です。
さらに問題なのは、人と動物の共通感染症であるという点。
人も感染し、発症すれば治療法がなく、ほぼ100%死にます。

 ――日本では狂犬病の発生がしばらくないそうですが。

1956年を最後に国内感染の発生事例はなく、日本は狂犬病清浄国です。
2013年7月現在で、農水相が指定する清浄国・地域は、日本以外では世界に六つだけ。
つまり世界のほとんどの地域でいまも発生しているのです。


春が来た!予防接種の季節だわン♪


国内で登録されている犬は6割程度で、
そのうち狂犬病予防注射を受けている犬は7割程度とされています。
7割以上が予防接種をしなければ、予防の効果は期待できないと言われ、
周辺国の発生状況を考えれば、
日本は常に侵入の脅威にさらされていると思ったほうがいいです。


 ――毎年打たないといけないのが面倒だし、副作用も心配です。


欧米では3年に1度打てば効果があるワクチンが開発され、その利用が一般的です。
ところが日本では、毎年打つ必要があるワクチンしか認められていないのです。

副作用としてはアレルギーによるショックがあります。
予防注射の前後には激しい運動は避け、健康状態に変化がないかよく確認してください。
特に持病持ちの犬や老犬は、かかりつけの動物病院で
健康状態を確認してから打ったほうがいいでしょう。

     *


 山根義久(やまね・よしひさ) 1943年、鳥取県生まれ。
動物の循環器系疾患が専門で、倉吉動物医療センターの会長。
前日本獣医師会長で動物臨床医学研究所理事長でもある。