2月27日(木)保健所地下講堂にて、
杉並どうぶつ相談員<企画広報班>が生活衛生課の協力のもとに実施する、
第3回 区民講座「ペット同行避難と犬・猫の防災」を開催しました。
「広報すぎなみ」で大きく告知いただき、能登半島地震から1年、
阪神淡路大震災から30年という節目の時期とも重なり、
区民の防災意識が高まっていたためか、告知から数日で満席となりました。
ペットの災害対策を語るには、先ず人の為の防災知識を得ていただく必要があります。
ペットの命を守るには、飼い主が無事でいなければならず、
最良の選択肢である在宅避難を可能にするためにも、一般的な防災知識は必須です。
そこで、講座第1部では、杉並区の被害想定をスライドで見ていただき、
震災時、最大の脅威は火災であることを念頭に、
飼い主が自分の命を守るために取るべき行動についてお話しました。

<第1部 杉並区のペット災害対策~同行避難と在宅避難~>
担当相談員 佐伯由紀子/杉並区地域防災コーディネーター
日ごろの対策としては、家屋の耐震化や不燃化、耐震シェルター、
家具・家電の固定、電気火災を防ぐ感震ブレーカーの設置など…。
防災情報の収集先や区の支援制度についてもご紹介しました。
そのうえで、同行避難と同伴避難の意味の違いや、震災救援所にペット
を連れて避難した際に飼い主が注意すべきこと、飼育場所の設営方法、
震災救援所のペット受入れ態勢の現状や課題など、
最新の情報をお伝えしました。
第2部<犬の防災>では、日ごろからの備えについてスライドを
見ていただきながら、具体的にお話しました。
揺れに驚いた犬が室内で逃げ込める安全な場所の用意、
脱走予防対策、水、エサ、薬など、必需品の備蓄の他、
同行避難する際に必要なペット用品や排泄物の臭い対策、
震災救援所で避難生活を送るために必要なしつけと健康管理についても
説明しました。

<第2部 犬の防災>
担当相談員 匹田健二/ドッグ・トレーナー
通常は<ペット防災>として一括りにされる犬・猫ですが、
習性の違いに基き、平時の備えや震災救援所に避難した際に生じる問題、
注意点も異なりますので、今回は第3部<猫の防災>を設けました。

<第3部 猫の防災>
担当相談員 目黒美佳/東京都動物愛護推進員
大きな揺れに驚いた猫の多くは家具や家電の隙間などに
隠れてしまいます。このため、日ごろから猫が隠れたら捕まえ
られない場所をすべて封鎖しておくことや、捕まえやすいように
猫がふだん隠れる場所にキャリーや段ボール箱をセットし、
寝床にしてもらうような工夫についてお話しました。
猫は移動や環境の変化に弱いので、震災救援所では、
飲食や排泄を絶つリスクがあり、
なるべく早く預け先を見つけて移した方が良いこと、
逸走への備えとして身元表示やマイクロチップ装着の必要性をお伝えしました。

(講演後の質疑応答では生活衛生課の職員も加わりました)
震災救援所での飼育はペットにとって過酷です。
平時から預け先を複数確保しておきましょう。
また、地域の飼い主コミュニテイを作っておくことも大切です。
ペットの一時預かりや必要な物品の提供、逸走した際の捜索協力など、
地域での<共助>は被災した飼い主とペットが災害を乗り切る
大きな力となります。
杉並どうぶつ相談員としても、地域の飼い主コミュニテイ形成
に向けてご協力できれば幸いです。

会場に展示した同行避難用品。右側(手前)が猫用、
左側(奥)が中型犬用。
猫のトイレは紙箱をポリ袋で包み、新聞(夕刊一日分)
を細断して砂の代わりとしています。ふだんのトイレ砂を
一掴み混ぜて臭いづけをします。

(同行避難グッズの説明を聞く参加者の方々。
震災救援所で飼育場所を設営する際に使う器材も
ご覧いただきました)
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(猫の防災ポーチ)
百円ショップで購入できるポーチ(約20㎝×14㎝)に
以下の物を入れています👇
薬、おやつ、ワクチン接種証明書、猫の特徴が分かる写真、
ペット用ウエットティッシュ、ポリ袋、油性マジック、
🐱動物病院名が印刷されている「くすり袋」に薬の名称、
投与方法、病名、猫のデータ、飼い主情報を書いておきます。
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参加者からのアンケートでは「初めて知る情報が多かった」
「平時からの備えの大切さが分かった」
「同行避難が具体的にイメージできた」など、様々な感想が寄せられ、
毎年開催して欲しいとのリクエストも多数いただきました。
講座に参加された皆さまには、日ごろの備えや共助について考えていただき、
震災救援所の訓練に参加し、ペットの受入れ態勢を確認していただければ幸いです。
写真撮影: 小林相談員